コラム >> 石田隆至


長すぎた「戦後」に向き合う(7)

アニメ動画で切り拓く新時代の日中友好

日本の若い世代にとって、中国は経済発展が続き、先端技術の導入も進む未来を感じさせる国と映っているだろう。日本のメディアは中国の成長減速をことさらに取り上げるが、日本の若い...

長すぎた「戦後」に向き合う(6)

他者の痛みを感じ取れる社会に:精神の自由と森井眞

積極的に「戦後」を終わらせようとした人々もいる。 昨年8月に103歳で亡くなった森井眞はその一人だ。年齢から推察できる通り、学徒出陣で帝国海軍に徴兵されている。敗戦後に...

長すぎた「戦後」に向き合う(5)

沖縄における「信頼の政治」のアジア的文脈

沖縄では、「戦後」がよりはっきりとした形で続き、冷戦構造も継続している。近年では琉球弧の軍事要塞化も進んでいる。 そうした状況下でも、独自の平和追求の文化が静かに長く脈...

長すぎた「戦後」に向き合う(4)

戦跡と苦闘した青年が見出す民衆理性と平和

中国では近年、戦史研究が活発に進められている。戦闘だけでなく、戦時下の経済や社会、文化の実態についても若手研究者の関心が集まっている。過去の連載で取り上げた武凌宇もその一...

長すぎた「戦後」に向き合う(3)

戦争被害の語りから何を聴き取るか

日本軍による侵略を経験した中国の民衆は、長い「戦後」を経て、今どんな思いで過ごしているのだろうか。 2023年12月、浙江省桐郷市で地元の戦史を掘り起こす調査研究を続け...

長すぎた「戦後」に向き合う(2)

罪を赦す苦しみを受けとめる:加納莞蕾の戦後

戦後の平和教育といえば、広島・長崎の被爆体験が主に扱われてきた。繰り返してはいけない惨劇であることはいうまでもない。しかし、日本の枠を越えてヒロシマ・ナガサキを捉えるとき...

長すぎた「戦後」に向き合う(1)

平和を作り出そうとした 戦争経験者と「伴走」する

私たちは当たり前のように「戦後」という枠組で “いま”を捉えている。これは奇妙なことではないだろうか。 対中国15年戦争が終わってからまもなく80年にもなる。新中国の建...

日中の平和友好への鍵を探る(6)

自らの主体性を 取り戻すための反省へ

侵略戦争への贖罪意識だけでは戦後生まれの世代には継承されにくい。“戦略的互恵関係”といったドライな理念は時の状況に簡単に翻弄されてしまう。日中関係を開く「鍵」は思いもしな...

日中の平和友好への鍵を探る(5)

地域の被害を掘り起こす:青年が未来に託す歴史

半年ほど前、自分が暮らす地域の戦時中の歴史に向き合う中国の青年と知り合った。若い世代が負の歴史に積極的に関心を持つのは、中国でも珍しい。経済成長が進んで自己実現の機会が高...

日中の平和友好への鍵を探る(4)

2つの「10月25日」と「台湾問題」

現在の日中関係の焦点の一つは「台湾問題」にある。 これについて語るとき、必ず言及されるのが「一つの中国」という立場である。台湾を含めて中国は一つの主権国家であるという概...

日中の平和友好への鍵を探る(3)

国交回復後の世代が紡ぐ 日中友好の“かたち”

45年前、平和友好条約の締結に臨んだ人たちは、後に続く世代の日中関係をどう思い描いていただろうか。 筆者を含めた国交回復後に育った世代には、「日中友好」というフレーズは...

日中の平和友好への鍵を探る(2)

地域の加害責任に向き合う 日中友好運動

近年、日中友好を掲げる運動の中にさえ「中国脅威論」の浸透を感じることがある。さすがに“中国は脅威だ、攻撃に備えよう”とまでは言わない。ただ、“中国は発展して大国になり、膨...

日中の平和友好への鍵を探る(1)

「以民促官」で 原発汚染水処理を!

「中国脅威論」が高まっている。とはいえ、中国に対する警戒感を持ってはいても、できれば日中関係を好転させたいと願っている人々は少なくないだろう。ましてや、中国を敵視する現状...

国交回復後の50年を生きなおす(5)

「台湾問題」:日本社会はどう映っているか

 この秋、日本社会の戦争観に関する文献を中国の大学院生と輪読した。田中角栄元首相に関する受講生の反応が興味深かった。「私たちが受けた教育の中では、田中は中国への侵略だった...

国交回復後の50年を生きなおす(4)

戦争の「後遺症」のなかで

前回取り上げた孟生保さん(83歳)は、戦争で失われた家族やその戦友たちの尊厳を取り戻すために戦後を歩み続けた。被害調査を続けるのが難しくなった2000年代には、高校生だっ...