中国の高級酒「マオタイ」を製造販売する貴州マオタイ酒股份有限公司は、10日の間にマオタイアイスの直営店2カ所を立て続けにオープンし、若者を取り込もうと動き出している。
1個約1300円 ハーゲンダッツよりも高い
同社は貴州省遵義仁懐市にある直営ホテルのマオタイ国際大酒店にマオタイアイス直営店をオープンした10日後の5月29日、同州貴陽市にも直営店をオープンして、カップアイス3種類を売り出した。
業界の枠を超えてアイスを打ち出したからには、目指すは高級路線だ。3種類のアイスのうち、2種類は66元(約1270円)、1種類は59元(約1130円)とかなり高い。高い方は文化財をかたどった「高すぎるアイス」と言われる「鍾薛高(Chicecream)」と同じ値段だ。
即時配達費用は860円 1時間で4万個売り上げ
このアイスの配達費用もかなり高い。アイスは同社のデジタルマーケティングプラットフォーム「iマオタイ」アプリでオンライン販売もしており、3時間以内配達を選ぶと費用が1件あたり45元(約860円)かかる。
このように高額ながら、マオタイアイスは同プラットフォームで売り出されると51分で完売し、4万個以上を売り上げ、売上高は250万元(約4800万円)以上に達した。
同社は業界の枠を超えたアイス事業を、若者消費者層に主体的にアプローチするための最初のブレークスルーと捉えている。ネットユーザーからは、「マオタイ酒は高くて飲めないが、マオタイアイスなら節約すれば食べられる」といった声が上がる。
「マオタイアイスを食べた後で車を運転してもいいか?」も同じように注目を集める話題だ。同社の公式情報によると、マオタイアイスにはある程度のアルコール分が含まれているので、未成年者、妊婦、アルコールアレルギーがある人は食べてはいけない。車を運転する人も食べるのを控えた方がいいという。
若者消費市場を掘り起こせるか
「若者層アルコール消費報告2020」によると、「90後」と「95後(1995年から1999年生まれ)」の若者はアルコール市場にとって重要な成長の原動力だが、ニーズという観点で見ると、国産の白酒(蒸留酒、マオタイ酒もこれに含まれる)は若者が年長者や上司に季節の贈り物などをする場合の最良の選択肢となる。
コンサルティング会社の独ローランド・ベルガーがまとめたデータでは、中国では30歳以下の消費者のアルコール消費のうち、白酒が占める割合はわずか8%で、ビール、ワイン、カクテルなどの低アルコール飲料に遠く及ばないという。
各大手アルコールメーカーは若者に積極的にアプローチしようとしている。1組の統計データによれば、2018年以来、伝統的白酒メーカーが200種類以上の「青春時代の若者向け小容量アルコール製品」を発売した。
食品産業アナリストの朱丹蓬さんは、「ブランドの若返りと消費層の若返りを実現することは、白酒メーカーが現在直面する最大の問題だ。一方で、アイスクリームは若者世代が最も好む商品であり、ここ数年は好調な成長の可能性を示してきた。マオタイアイスはマオタイ酒メーカーがブランドの若返りを実現するための重要な試みだ」と述べた。
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