越酒、再び天下に行き渡る―「只此青玉」が東京で異彩を放つ
黄酒と中華料理の融合が生む魅力

封じられた甕は誰のために開けられるのか、なみなみとつがれた盃は憂いを忘れさせる。6月19日、「古越龍山『只此青玉』を楽しむ会」が、由緒あるホテル椿山荘東京で開催された。

同イベントは、中国紹興黄酒集団有限公司と浙江古越龍山紹興酒股份有限公司が主催、中国国際貿易促進委員会紹興市委員会が共催、古越龍山東京事務所、株式会社永昌源、三菱商事ライフサイエンス株式会社、紹興酒日本株式会社、日本浙江総商会と日本紹興同郷会が協賛した。

宴会場あおばに中日両国のゲストが一堂に会し、共に庭園の「雲海」の絶景を眺め、美酒と美食の盛宴を堪能した。

衆議院副議長の海江田万里先生、中国駐日本大使館広報部の張沛霖公使参事官、科学技術部の洪志傑参事官、東京中国文化センターの羅玉泉センター長、日本を代表するワイン専門家であるワインアンドワインカルチャー株式会社の田辺由美代表取締役、株式会社横浜君嶋屋代表取締役社長で日本ソムリエ協会副会長の君嶋哲至氏、在日中国企業協会の王家馴会長、中国国際貿易促進委員会駐日代表処の史銘首席代表、全日本華僑華人社団聯合会の賀乃和理事長、日中経済協会の伊藤智業務部長、株式会社永昌源の大山拓郎代表取締役社長、三菱商事ライフサイエンス株式会社の工藤裕之常務執行役員ら、中日の政界、ビジネス界及び文化界の専門家など約70名が出席した。

主催者を代表して、浙江古越龍山紹興酒股份有限公司の徐東良総経理が挨拶し、中国最大の黄酒生産地である紹興及び紹興で誕生した中国黄酒のリーディングカンパニーである古越龍山について次のように述べた。

古越龍山の傘下には、古越龍山、女児紅、状元紅、鑑湖と沈永和の五つのブランドがあります。中でも古越龍山は、『国粋黄酒』、『東洋銘酒の最高峰』と称えられる中国黄酒のトップブランドです。日本は紹興酒の最重要の海外市場です。中国黄酒業界のリーディングカンパニーとして、古越龍山は2020年12月に東京に初の海外事務所を開設し、紹興酒の国際化を進めています。今後も日本市場の開拓に一層注力し、皆さまが紹興酒文化に触れる機会をより多く提供してまいります」。

張沛霖公使参事官は、この度のメーカーズディナーの意義について語った。

「紹興の特産品であり重要な産業である紹興黄酒は、中国の文化観光を普及促進し、地域の経済発展を促進するという重要な役割を担っています。この度のメーカーズディナーの開催は、ブランド価値を高め、市場を開拓したいとの企業の意気込みの表れであり、中日民間友好交流に新たな力を与えるものです。各界が中国の発展の機会を捉え、今後も紹興黄酒集団をはじめとする中国企業の日本における発展に関心を寄せ、共にウィンウィンの新たな章を綴っていくことを期待しています。中国駐日本大使館はこれからも両国の実務協力をサポートしてまいります」。

王家馴会長が挨拶し、在日中国企業協会の概況について紹介するとともに、協会の会員である古越龍山東京事務所及び夏良根所長の、企業ブランドを普及し、中国文化を広め、中国の声を伝える突出した貢献に賛辞を述べた。

田辺由美代表取締役は紹興酒との縁を振り返り、本年4月に紹興を視察に訪れた際の思いを語った。「数十年熟成された紹興酒は、『世界第一の美酒』と称されています。皆さまとともに、紹興酒の魅力を知り、芳醇な香りを味わいたいと思います」。

紹興酒は中国五千年の文明史とともにあった。紹興酒は穀物を原料とする世界最古の醸造酒として世界に名声を博してきた。紹興女児紅醸酒有限公司の王益翔総経理が、古越龍山の国醸20年「只此青玉」を紹介し、紹興黄酒がもつ四つの特長である「地理的環境」「重厚な文化」「醸造技術」「健康増進」についてプレゼンテーションを行った。

王益翔総経理はさらに、「只此青玉」のハイライトを四つの視点から論じた。一つ目に、「只此青緑、只此青玉」と謳われている通り、中国で人気の舞踏劇「只此青緑」とのコラボレーションである。二つ目に、その優れた品質である。「只此青玉」は三人の国家級醸造大師が丹念につくり上げた400種以上の旨味成分を含み、うち29種が黄金比率を形成しており、飲み心地が良く、酔いにくい。業界では高い評価を得ており、酒類の新製品の最高位に贈られる「青酌賞」、第三回中国酒業「青雲賞」を受賞し、古越龍山は第六回酒業マーケティング金爵賞優秀企業賞に輝き、十二年連続でアジアブランドトップ500にランクインしている。

夏良根所長は古越龍山東京事務所の概要を説明し、日本で黄酒と黄酒文化の普及に努めてきたこれまでの取り組みを紹介した。「日本人は昔から紹興酒を口にしてきましたが、詳しくは知られていません。わたしは紹興の出身者として、故郷の美酒を日本と世界に広めたいと強く願っています。昨年、東京事務所は紹興酒ソムリエ資格認定制度を創設しました。この制度によって、紹興酒が日本に根付き、家々に浸透し、正統の紹興酒製品と紹興酒の正しい理解が進むことを期待しています」。

続いて、盛大に甕開きが行われ、会場の雰囲気は最高潮に達した。進行役の「吉祥如意」「安康和平」「幸福美満」「繁栄昌盛」の音頭に合わせて、賀乃和理事長、君嶋哲至副会長、法政大学名誉教授で桜美林大学特任教授の王敏氏、永昌源の代表取締役大山拓郎氏ら来賓が木槌を手に甕の蓋を叩くと、音を立てて甕の蓋が割れ、芳醇な香りが溢れ出た。

音楽と美酒に酔いしれる中、海江田万里衆議院副議長が乾杯の挨拶を行った。ホテル椿山荘東京の川嶋正行料理長が季節の味覚を集めた7品について、調理過程や文化的背景を紹介した。日本のトップソムリエである伊藤寿彦氏が当日の紹興酒のサーブについて細かく指導し、料理とお酒のペアリングについてプロの視点から解説した。ゲストは高級黄酒と中華の美食が互いを引き立て合う絶妙な味わいを堪能した。

日本華僑華人文学芸術界連合会の郭敏会長が、抑揚のある美しい楊琴の演奏を披露してイベントに花を添えた。日本晋鴎芸術学院院長、西泠印社理事で書家の晋鴎氏が揮毫を行い、力強い筆致で「中華国醸 只此青玉」としたため祝意を表した。

 「酣飲して酔ひを知らず」。笑い声と拍手に包まれる中、夏良根所長は新旧の友人たちに感謝の意を表した。紹興酒によって参加者は固い絆で結ばれた。関係者の努力によって、紹興酒の知名度と影響力がより一層高まることが期待される。

古越龍山はメーカーズディナーの開催とともに、有明の東京ビッグサイトで開催された「FOODEX JAPAN 2024(第49回国際食品・飲料展)」に「只此青玉」、女儿紅桂花林蔵、金龍、銀龍、澄龍、純龍、善醸、夏之酒、珈琲紹興酒など数十種類の銘品を出品した。展示会場では、夏良根所長が来賓とともに、古越龍山の花雕酒の甕開きを行った。長い歳月からの贈り物である熟成された花雕酒については、多くを語る必要はない。

語ることのない銘酒は語る―「越酒、再び天下を行き渡る」。中国の悠久の歴史と重厚な文明を体現した紹興の銘酒は、友好の章を綴りながら次なる章を目指す。(撮影:蔡暉、郁従嘉)