中国の対外貿易はいつになれば回復するのか

2年以上にわたり高度成長を遂げてきた中国の対外貿易は、その勢いが目に見えて鈍化し、下方圧力が顕在化した。中国の対外貿易はどうなってしまったのか。いつになれば回復するのか。

長引くコロナ禍で輸出入増加率が急速に低下

4月の輸出入増加率の急速な低下は、海外と中国における新型コロナウイルス感染症によるものだ。

華興資本(チャイナルネッサンス)の首席戦略アナリストの龐溟氏によると、4月に英金融情報・調査会社のIHSマークイットが発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)のデータによると、米国のPMIは59.2%に回復し、ユーロ圏も55.5%に回復して、いずれも景気不景気のボーダーラインとなる50%を超えた。

ここから対外貿易の回復状況は全体として落ち着いていたことがわかる。

中国の対外貿易は比較的大きな下方圧力に直面しており、これは主に4月に感染症がリバウンドして企業活動再開が妨げられたこと、サプライチェーンと物流輸送の流れがスムーズでなかったことなどが原因だ。

また、中国国内企業の投資と個人の消費意欲が低下を続け、予想の安定、マーケットエンティティの安定、雇用の安定、成長の安定などに挑戦をもたらし、国際市場のコモディティ価格の上昇傾向とともに輸入を制約したという。

中国社会科学院世界経済・政治研究所の高凌雲研究員も、「4月の輸出入増加率の大幅低下は中国の複数の地域で感染症が散発的に発生したことの結果だ。しかし感染症が複数の地域の正常な生産活動に大きな影響をもたらす中で、4月の中国対外貿易は成長傾向を保ったのは中国対外貿易の強靱さの現れだ。感染症は今も続いており、5月の中国対外貿易にもある程度影響が出ることが予想される」との見方を示した。

感染状況が落ち着けば輸出入に『スプリング効果』

厳しい対外貿易情勢の中、政府は集中的な施策を打ち出し始めた。

輸出をめぐる税還付の進捗を加速させることを要求したのに続き、国務院常務会議はこのほど、新たな対外貿易安定措置を取ることを明らかにした。

同時に、感染症対策の科学的な正確さのレベルを絶えず引き上げ、企業活動の再開を規範化して秩序よく推進することも明らかにした。

高氏は、「現在の中国対外貿易の増加率低下は感染症によってもたらされたものであることを踏まえると、感染状況が落ち着けば、防疫政策が徐々に緩和され、輸出入に『スプリング効果』が現れ、これまでの制約が大きければ大きいほど、制約から解放された時の反動も大きくなる。今年全体を見通すと、複数の不確定要因がある中、中国対外貿易の増加率は過去2年間のような急速上昇の状態が終わるが、その規模は引き続き6兆ドル(約782兆円)前後で安定する見通しだ」と述べた。