四川フェス2年ぶりに開催 陳家私菜が4回連続第一位

「食は中国にあり、味は四川にあり」と言われるように、四川料理は中国全土だけでなく、日本でも同様に人気がある。四川フェスが2年ぶりに東京・中野で「麻婆豆腐商店街」と銘打ったイベントが2日間にわたって開催され、そのホットな人気が大評判となった。

これは四川料理に特化して紹介するイベントであり、日本人が立ち上げた「麻辣連盟」が主催している。「麻辣連盟」の「総裁」である中川正道氏は、四川省に4年間留学、勤務した経験があり、その間200軒以上の四川料理店を食べ歩いた四川料理ファンで、その味が忘れられず、帰国後も仕事の合間に四川料理の普及活動に力を注ぎ、『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』(共著・書肆侃侃房)を出版している。

5月14、15日の2日間、会場の中野セントラルパークには1万人近くの四川料理ファンが大集合した。陳家私菜、四川飯店、香辣妹子、品品香、麻辣坊、味坊など有名な四川料理レストランや、在日中国厨師精英協会と華美が共同でブースを出し、真っ赤な波を巻き起こした。

これまで連続4回売り上げ第一位に輝いた陳家私菜は、1日目に5200皿を売り上げ、2日目にはブース前に200人以上の行列ができ、期待の眼差しで麻婆豆腐の出来上がりを待っていた。会場ではなんと陳家私菜のオーナーシェフ・陳龐湧氏がブースの前に登場し、自ら熱々の麻婆豆腐をお客に手渡し、一人一人に笑顔でお辞儀をしていた。

陳龐湧氏は赤坂、渋谷、丸の内、新宿、銀座、秋葉原など東京の繁華街に7軒の高級レストランを展開、年間の売上高1億元(約19億円)に上る有名人だ。彼は陳家私菜を設立する前、三井物産のエリート社員だったが、誇るべき中国の飲食文化普及のため、辞職して起業した。その時には周囲に「狂ったのか」と言われたそうだが、彼は「狂ったのではなく、信念だ」と述べる。

陳家私菜はNHKの看板番組「紅白歌合戦」の打ち上げ会場となっており、陳龐湧氏は『日本華僑報』の推挙によって、中国の中央電視台でも紹介された。大手レストランチェーン企業が陳家私菜に厚遇での加入を打診してくるが、陳龐湧氏は信念を守ために提携の誘いを断っている。「私が追求しているのは中華の飲食文化の頂点であり、金儲けの頂点ではない」と彼は言う。

陳龐湧氏が2日間、イベント会場にやってきた日本の四川料理ファンにお辞儀をし続けた姿は感動的だった。「何に対しても誠心誠意やる。イベントの最後尾に立って、民間を通し、日本人の中国や中国人に対するイメージを変えたい」と、彼は『人民日報海外版日本月刊』の記者に語った。

茅台酒や若者に人気の江小白も今回の四川フェスに登場し、豊潤な香りを漂わせた。茅台酒の日本総代理店である日和商事の郭斌氏によると、今回の四川フェスの来場者数はコロナ前の水準まで復活しただけでなく、彼にとって新しい発見もあったという。

「以前、茅台酒を知っているのは日本の高齢者だけだと思っていましたが、今回のイベントで茅台酒の旗を見て興奮してやってくるのは皆若い人でした。彼らは新宿、池袋、渋谷などで茅台酒の屋外の看板広告を見たと言ってくれ、北京冬季五輪中、日本のテレビで流れたCMも印象に残っているとのことでした」。

郭斌氏本人も「歩く広告塔」であり、「周大使」、「キム」と呼びかける日本人も多くいた。どちらも彼が出演した日本のドラマ『日本沈没』、『インビジブル』中の役名である。

在日中国厨師精英協会の潘顕其副会長も忙しい中、話を聞かせてくれた。「今回出品した青とうがらしと青山椒の麻婆豆腐は日本人客に好評だった。協会のシェフたちも積極的に今回のフェスに参加してくれた。味覚と味蕾を通して、もっと多くの日本人にディープな中国文化を楽しんでほしい」。

2年ぶりに開催される四川フェスでは、素晴らしい料理と人々が、ともに中国を語り、ホットで、情熱的で、誠実な中国文化を日本に伝えている。