雷 蕾 CJLYK株式会社代表取締役
石を金に変える―― ―般家庭の子女の日本留学の夢をかなえたい

 湖北省荆門出身の雷蕾氏は、はきはきとしたショートカットの似合う女性である。

 彼女はCJLYK株式会社の代表取締役であり、荆門市美恩文化発展有限公司の法人代表でもある。将来の夢を持つ中国の若者たちを日本の大学に入学させ、人生をステップアップしてもらうことが、彼女が一番重視している仕事である。

 雷蕾は四番目の子供であった。高校入学時、両親は経済的に逼迫して子供たち全員の授業料は払いきれないと言った。聞き分けの良い雷蕾は簡単に荷造りをして、武漢に働きに出たが、その時まだ17歳になっていなかった。昼間は勤勉に働き、夜は夜間高校で学び続けた。そこで忙しく充実した日々を過ごしたが、会社が従業員のために手配した「深圳ツアー」に参加して初めて深圳を見た雷蕾は、深圳という活気に満ちた都市に魅せられ、深圳に留まることを決めた。

 雷蕾は最初、深圳で仕事を探しはせず、貯金をはたいて夜間大学に入学し、アルバイトをしながら学び、夢を追い始めた。そして仕事でシンガポールや日本などの先進国の顧客に会うなかで、彼女はさらに広い世界に出ていきたいと思うようになったのである。

 2001年、雷蕾は日本で働くために来日した。当時のことを思い出し、彼女は「日本社会では仕事をするにしても、勉強するにしても、日本社会のやり方を理解し尊重する必要があります」と非常に厳しい表情で話す。中国人の子女の日本での留学と生活をサポートするときも、彼女は同様に自身の体験から彼らを導き影響を与えている。

 彼女が日本で結婚し、仕事もした経歴を知り、身近な親戚や友人たちは彼女に日本語を教わり、子供の留学をサポートしてもらいたいと考えるようになった。彼女はまず身内である姪から始め、そして一人、また一人と日本留学を実現させていった。彼女の評判はますます広がり、ついには日本留学の仲介を自身の仕事にするようになった。

 なぜ、中国人の親たちは子供を日本に留学させたがるのか。彼女は以下のように説明してくれた。

 「留学生が日本で受験する大学の入学試験は、留学生統一試験と呼ばれており、毎年6月と11月に行われるので、留学生には2回チャンスがあります。そしてスコアの高い方を大学の入学願書に使うことができるのです。大勢が狭き門を狙う中国国内の大学統一入試よりもチャンスが多いのです」。

 「また、留学生統一試験は総合点800点のうち、日本語が400点、文系総合または理系総合と数学が各200点ずつとなります。つまり、高校の成績の偏りによって中国国内の有名大学に合格できない受験生も、日本語さえ勉強すれば、日本で良い大学に入学でき、人生が逆転できるのです」。

 「そして、アメリカやイギリスなどの人気のある国に比べて、日本の留学費用はかなり安く、例えばアメリカのペンシルバニア州立大学の学費は年間3万2382ドル(約400万円)、寮費1万2000ドル(約150万円)、各種の費用を合算すると毎年少なくとも32万人民元(約624万円)必要であり、中国の一般家庭にとっては莫大な金額となります。でも、日本に留学すればその三分の一の費用で済みます。もし日本の国立大学に入学できれば、学費はさらに抑えられます。成績が良ければ奨学金を申請できますので、さらにお得になると言えます」。

 拡大を急がず、手っ取り早く儲けようとしない点が、雷蕾と一般的な留学仲介業者との違いだ。一人一人の留学希望者に対して、彼女は徹底的に面倒をみる。日本行きの申請から日本語学校入学まで、さらに日本の大学の受験準備まで、学生の学習面でも生活面でも、ことの大小にかかわらず解決をサポートする。「学生と保護者は私を信頼してくれていますから、私は絶対にその信頼に応えなければなりません」。

 情報の不均衡によって、留学の仲介業者の中には虚偽、無責任、不当な費用請求なども見られる。日本に来て1年間日本語学校に在籍しても日本語能力試験3級(N3)にも到達できなかった学生もおり、その学生の保護者は転校を求めたが拒否されたという。しかし最初に日本留学の手続きをした仲介機関はすでに影も形もなく、最終的に保護者はつてを頼って雷蕾に連絡し、彼女の仲介によって転校できたということもあった。

 「留学の仲介というのは、他の仲介とは異なります。子供たちの人生に責任を持たなければなりませんから」と彼女はきっぱりと話す。

農家の出身である雷蕾は、一般家庭の子女に対し共感を覚えやすいのだろう。今まで彼女は多くの中国人留学生をサポートし、日本の国立大学に進学させ奨学金を申請し、一般家庭の子女の留学と名門大学への入学という夢を実現させている。

 本の上で学ぶ知識は浅いので自身で徹底して実践しなければならない、と南宋の詩人・陸遊も詩に詠んでいる。雷蕾は多くの中国人留学生を日本の国立大学に合格するようサポートしたが、彼女自身も日本語能力検定1級を取得し、日本語教室の資格試験の準備に合わせ、留学生統一試験を受験することに決めた。

 現在、荆門市美恩文化発展有限公司は、湖北省、浙江省、広東省などの地域にオフィスを構え、雷蕾は他の地域の志を持つ人たちと共に、一般家庭の子供達がみな日本留学という夢を実現し、さらに広い国際舞台に羽ばたけるようサポートしている。