日本のFinTech関係法制度の激変
FinTechとは、英語の金融と技術を掛け合わせた造語であり、主にITを活用した革新的な金融サービス事業を指し、欧米から新たな潮流として進んできたが、日本では、2015年9月18日に、金融庁が「平成27事務年度金融行政方針」を発表し、初めてFinTech関連の施策を掲げた。「金融行政方針」において、「近年は、海外を中心に、ITベンチャー企業が、IT技術を武器に、伝統的な銀行等が提供していない金融サービスを提供する動きが活発化している。」のような金融界の環境激変を述べた。
もっとも、2014年9月26日に、金融審議会の下における「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」が設置され、その後さらに「金融グループをめぐる制度のあり方に関するワーキング・グループ」が設置され、この二つのワーキング・グループにおける審議結果に基づき、 2016年10月23日に、金融庁が「平成28事務年度金融行政方針」を発表し、「FinTechへの対応」を重点施策として掲げた。
また、この二つのワーキング・グループの報告書を受け、銀行法が改正され、この改正法は、2016年5月25日に成立し、6月3日に公布された。それと共に、合計11本の金融法が改正された。特に、「仮想通貨」についての対応が定められ、仮想通貨交換業者の登録制、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与の対策規制、利用者保護のためのルール等が整備しつつ、新たな潮流に対して大きな方向性、及び法制度の見直しの方向性を示した。
さらに、2017年4月1日に施行された改正法の下で、銀行法が再び改正され、この改正法は、2017年5月26日に成立し、6月2日に公布された。この2年連続の銀行法改正によって、日本のFinTech業界が激動している。
FinTechと「仮想通貨」
ビットコイン(BitCoin)をはじめとする「仮想通貨」は、代表的なFinTechの1つとして、FinTechへの注目を加速度的に高めるきっかけとなった。ビットコインは、正体不明のサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)と称する人物の論文に基づき、2009年1月にインターネット上に発表され、その流通が開始された。それと共に、ブロックチェーン(block chain)と呼ばれる分散型台帳に関するIT技術は、金融分野に限らず相次ぐ実証が進められ、世界中に広がりつつある。ブロックチェーン技術は、FinTechの新たな潮流を代表する技術として、金融各分野での応用が期待されている。
今回の上記に述べた日本のFinTech関係法制度でFinTechが定義されたように、ビットコインに代表される「仮想通貨」は改正資金決済法に規定された。次回から、日本の離陸した「仮想通貨」ビジネス、世界に広がるブロックチェーン技術を研究・検証しつつ、日本の仮想通貨に関する法制度を紹介したい。 [次回へ続く]
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