藤井 隆広 藤井隆広クリニック院長に聞く
世界一の内視鏡治療を提供

がん=人類の健康の最大の病気。がんにかかってしまうと、がんの完治は難しく、治りにくく死亡率も高い。がんは突然発症して、治療の予測も難しく、発見が遅れることが怖い病気である。しかし、最近は早期発見さえできれば治癒率や生存率を挙げることが可能になってきた。 特に大腸がんは内視鏡検査を受けて早期に発見すればほぼ100%根治できるがんである。大腸内視鏡検査は安全で、無痛で、高精度のがん検診であるが、多くの人は内視鏡検査を怖がり、苦痛を伴うのではないか、大量の下剤を飲むのも嫌であると言った理由で実際に検査を受ける人は少ない。 今回、5万例以上の内視鏡検査の実績を誇る藤井隆広クリニックを訪ね、内視鏡の第一人者である藤井隆広院長にお話を伺った。 藤井院長は、「当院では、食道並びに胃、また大腸の内視鏡検査は苦痛なく楽に受けられ、全ての検査は一日で終わります。40mm以下の大腸ポリープは、拡大内視鏡という特殊の内視鏡を使用することで、検査中に良性ポリープか悪性(がん)病変かの診断をつけることが可能で、そのときに内視鏡手術を行えるため、日帰り手術が可能です。患者様はモニターでその全過程をご自分の目で確認できます。手術後は入院の必要もなく、帰宅できます」と説明してくれた。医療技術の進歩は本当に驚異的である。

大腸がんは早期発見で100%治る

—— がんは現代人の命を脅かす最大の敵であり、日本人の死因トップです。近年、ピロリ菌を原因とする胃がんは減少傾向にありますが、大腸がんは日本と中国で発症・死亡率がますます高くなってきています。がんは早期発見がカギだと言われますが、その検査と早期発見の必要性についてご説明いただけますか。

藤井 どの部位のがんでも早期発見が一番大切です。早期発見の中で大腸がんの場合、治癒率はほぼ100%ですが、残念ながら日本において大腸がんは女性のがん死亡率1位であり、更に2020年には男女ともに死亡率1位のがんになると予測されています。

なぜ大腸がんが増えるのでしょうか? その要因は便潜血テストで陽性と判定されてもきちんとした精密検査を受けず放置しているからです。便潜血で疑われても症状を軽く考え、この出血は痔かも知れないと勝手な自己判断をしたり、仕事が忙しい、恥ずかしいなどの理由で、精密検査を受けない方が多いためです。

現実に便潜血で陽性と出ているにも関わらず二人のうち一人、50%の人しか大腸内視鏡などの精密検査を受けていません。特に女性は、多くの方が恥ずかしいという理由だけで内視鏡検査を受けないため、早期発見、早期治療のチャンスを逃しています。大腸がんが肝臓や肺などに転移して末期の状態で発見されることが多く、そのような状況ではすでに手遅れとなってしまっています。これは本当に残念なことです。

国立がん研究センターの研究調査によると、大腸内視鏡検査を受けた40歳以上の方、二人に一人(50%の割合)で大腸がんになる腺腫性ポリープが発見されています。大腸がんになる高いリスクは、腺腫性ポリープが3個以上見つかった、または10mm以上のポリープがある方々です。

このような方は定期的に大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。40歳を超えたら一度は大腸内視鏡検査を、初めての検査から続けて2年間検査を受けて下さい。これは病変の見逃しを防ぐ意味です。異常がなければ、2~3年後に間隔を拡げていくことで良いかと思います。

がんにはそれぞれ原因とされる事が明確になってきています。胃がんの原因=ピロリ菌、肝臓がん=ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝機能障害、喉頭がん、食道がん=アルコールなどです。しかしながら大腸がんだけは未だに原因が不明です。

大腸がんの予防は大腸内視鏡検査を受けて、腺腫性ポリープを発見し摘除することのみです。米国で発表された研究結果では、大腸の腺腫性ポリープをすべて摘除することにより、大腸がんの死亡率が50%以上の減少につながることが明らかにされています。ですから内視鏡検査が重要になります。

世界の内視鏡分野での第一人者

—— 先生は内視鏡分野の第一人者として、内視鏡検査と治療を5万例以上手がけておられ、国内外に注目されています。先生の内視鏡検査は他の病院とどう違い、なぜ入院することなく日帰り手術ができるのですか。

藤井 大腸内視鏡検査は、辛い検査と言われ敬遠されがちです。なぜなら大腸内を綺麗にするため、まず腸管洗浄液という大量の下剤を1~2L飲まなければなりません。これはかなり辛いという方が多くいられます。

また、大腸は、1.5メートルと長く屈曲している臓器なので、内視鏡操作に慣れていない未熟な医師では、患者様にかなりの苦痛を与えてしまうことが現実問題としてあります。腸内を見やすくするため腸管内に空気を多量に送り、腸管を膨らませて挿入しようとするため、腸管の屈曲が一層強まってしまい自ずと挿入が難しくなり、そのような状況で内視鏡を強引に挿入しようとするため、患者様は激痛を訴え、拷問のような検査となってしまいますし、腸壁はとても薄いため、腸壁を傷つけるという医療事故も起こってしまいます。

当院では大量の下剤を飲まずにできる内視鏡検査を実施して居ります。今日まで約500名に実践し90%以上の方に好評を得ています。これらは2013年と 2015年の米国消化器学会で発表し、高く評価されております。

また大腸内視鏡の盲腸までの内視鏡操作挿入手技は、空気を入れずに腸管を畳み込みながら内視鏡を直線化して挿入するという技術を用いているため、全く苦痛なく5分以内に盲腸まで到達できます。

内視鏡機器は、ハイビジョン式の最高画質で100倍率の拡大機能を持つ内視鏡器具を使用、またNBI(Narrow Band Imaging 狭帯域光観察)など多くの機能を搭載した最新機器を使用しています。

通常の内視鏡では発見が難しい陥凹型がん(平坦あるいは陥没型がん)をNBIの使用により発見しやすくし、病変が発見された時には100倍の拡大観察を行えるので、瞬時に良性と悪性(がん)の診断ができます。

早期がんで大きさが30~40mmまでの病変は切除でき、日帰り手術が可能です。本来10mm以上の大きな病変は、手術後の合併症の出血や腸管穿孔の危険性を考慮して、入院設備の無い施設では治療せず、大病院を紹介しているのが通例です。

当院で10mm以上のポリープでも治療が可能な理由は、豊富な経験があることは勿論ですが、治療後の出血や腸管穿孔という不測の事態が起きた場合や大きな傷口に対しても即座に縫合できる特殊器具を用いての治療が可能だからです(これは特許を取得している器具です)。こういったことにより日帰り手術が可能となります。

これら一連の手技は、全く痛みがありません。治療の様子は患者様自身がモニターで確認でき、その場で説明を行っているため、患者様には安心と満足感のある医療が提供できていると思います。

当院では、感染防止対策として、内視鏡機械洗浄機は最も殺菌効果のある過酢酸消毒剤を使用し、内視鏡手術器具は滅菌消毒によるリユースの物ではなく、すべてディスポーザブルの使い捨て器具を使用しているなど、徹底した感染予防対策を行っています。

患者様には、説明ならびに検査のための時間枠を十分に設けた完全予約制を実施しています。内視鏡検査は全て院長の私自身が行っております。代診の先生はおりません。

内視鏡検査は、検査前の下剤を飲む前処置の負担を軽減すること、苦痛なく楽な挿入方法と確実な手術手技、拡大内視鏡による正確な診断による日帰り手術、検査前と検査後には快適に過ごせる個室の用意、プライバシーの確保と、様々な配慮、工夫を施しております。

簡単にまとめますと、当クリニックの内視鏡検査は以下の特長があります。①大量下剤の服用は不要、②痛みがない、③自分の目で手術過程が見られる、➃特許を持つ特殊な縫合法、➄徹底的な感染予防としての使い捨て器具、⑥最先端の精密検査機器、⑦豊富な治療経験、⑧内視鏡検診と内視鏡手術の同時進行、⑨手術当日の退院可能、⑩個室対応によるプライバシー確保、などから多くの患者様が当クリニックを選んで頂いています。内視鏡専門クリニックとして、患者様に最高に満足いただけることを目指し、日々進化し続けたいと考えています。

医療に国境はない

—— ここ数年、訪日中国人観光客は大変な勢いで増えており、医療ツーリズムが注目されています。今後、中国人の患者を受け入れる予定はありますか。また、中国との医療交流はありますか。

藤井 私の父も開業医であり、患者を治療することの素晴らしさをみてきたため、幼少期から私は医師になりたいと思っていました。医師の仕事は病人を救うことで、それには国境はありません。私は中国の方々にも最先端で、最も精密な内視鏡検査、がん検診を受けていただきたいと思っています。ただ当クリニックには中国語のできるスタッフがいませんので、受診の際には通訳を同伴されるようお願いいたします。

最近、多くの中国の病院から日本の内視鏡の専門家に技術指導に来て欲しいという依頼が来ています。これはよい流れで、もし検査・治療を体験した中国人患者が日本の医療技術に驚き、その結果、中国の医学界をサポートする機会を得、中国医療の進歩のために少しでもお役に立てれば、これほど光栄なことはありません。

取材後記

インタビュー終了後、院内を見せて頂いた。日本最先端の内視鏡機器をはじめ快適に過ごせる個室などどれも患者の事を一番に考えていると感じたが、患者全員に院長の携帯番号を知らせ24時間対応しているとの話に感銘を受けた。患者にとりこれほど安心できることはなく、素晴らしい医療体制であると思った。