新潟は1972年に中日国交正常化を実現した田中角栄元総理の故郷であり、中国生まれのトキの第二の故郷である。泉田裕彦知事は私がこれまで会った知事の中でもっとも故郷のPRが上手であり、知事が新潟に対して抱いている知識と愛情の深さがよく伝わってきた。
中国人観光客を新潟にお迎えしたい
—— 中国と深い縁を持つ新潟県の知事として、中日民間交流の重要性をどのように考えられますか。
泉田 中国からトキのペアが贈呈されて以降、佐渡においてトキの野生復帰が進み、中国と同様に佐渡の空でも美しいトキが舞っています。新潟県から見て、中国は親しみを感じる国です。私はもっと多くの中国人観光客を新潟にお迎えしたいと思っています。
数字から見ると、2014年の訪日中国人観光客は前年比で6割も増えています。これは大変うれしいことです。東京ディズニーリゾート、秋葉原、富士山、さらに関西へという訪日観光客のゴールデンルートがあります。
実は新潟と東京間にも縦のゴールデンルートがあるのです。新潟は米どころ、酒どころとして有名で、日本でもっともおいしいお米であるコシヒカリがとれ、そのお米からうまい日本酒ができますし、海外にも知られている湯沢温泉もあります。
それだけでなく、新潟は日本のスキー発祥の地であり、たくさんのスキー場があります。日本国内でスキー客が多く、世界最大級のゴンドラでつながっている苗場スキー場や、GALA湯沢スキー場もあります。GALA湯沢スキー場はJR上越新幹線の越後湯沢駅に隣接しており、東京から最速77分で到着し、大変便利です。スキーウエアのレンタルもあり、手ぶらで来ても心配なく、大人から子どもまで、雪でたっぷり楽しむことができます。
また、越後湯沢には800年以上の歴史を持つ温泉もあり、川端康成の代表作『雪国』はここが舞台です。越後湯沢には温泉旅館、ホテルをはじめ、日帰り温泉施設も多くあり、雪で遊んだ後には温泉でのんびりし、美味しい料理とうまい酒を味わえば、まさに極楽です。
新潟は日本海側の重要な港町で、2016年度には新潟港に大型クルーズ船が着岸できる施設も完成しますので、上海、大連、青島などからのクルーズ船に寄港していただきたいですね。
新潟ならではのゴールデンルートがお勧め
—— 知事一押しの観光スポットは何ですか。
泉田 芸妓さん、これは日本の伝統文化の粋とも言われ、新潟は、京都祇園・東京新橋とならび、芸妓さんが料亭文化を支えています。彼女たちは歌も踊りもでき、観光客は芸妓さんたちの芸を鑑賞しながら、おいしい新潟のお酒や食を楽しんでいただくことができます。いっしょに記念撮影もできます。
また、新潟には金で有名な佐渡金山があります。ここは江戸時代に徳川家康公により幕府直轄の天領とされ、最盛期には世界有数の金の産出量を誇っていたと聞いています。現在、佐渡金山も産業遺産とされていますが、観光客は金山で砂金採りの体験もできます。採った砂金はペンダントやストラップに加工して中国に持ち帰ることもできますから、なかなか得難い体験だと思います。これこそまさにゴールデンルートですね。
「春節祭」を新潟に根付かせたい
—— 昨年2月、新潟では第一回春節祭が開かれ、中国でも高く評価されました。
泉田 新潟で春節祭が開催できたことは大変よかったと思います。本場の料理や変面や獅子舞なども含む雑技のパフォーマンスもありました。新潟総領事館のご協力、程永華大使にご来県いただいたことに感謝したいと思います。
今後、私たちは春節祭を港町文化の一つとして盛り上げて、発展させ、日中民間交流を大いに促進すると同時に、より多くの中国の方たちが新潟の春節祭に来てくださるよう希望しています。
「県民性」が新潟を成功させる
—— 新潟の県民性にはどのような特徴がありますか。
泉田 新潟は典型的な雪国です。私が幼い頃は、春は田植え、夏は草刈り、秋は収穫、冬はただじっとして春を待つ。
このような気候のもとで生活している人びとですから、大変まじめで忍耐強く、幼い時から人に迷惑をかけないよう教育されていますので、誰かに頼まれるとそれをやり遂げます。
このような県民性は新潟の技術開発にも成功をもたらしています。世界中のiPodの裏面の金属は新潟の企業が研磨していたのです。1990年代後半から21世紀の初めまで私は通産省(現・経済産業省)にいましたが、当時、この世界で最も薄いパソコンを経済協力開発機構(OECD)の会議に持って行ったところ、ヨーロッパの国の人たちはびっくりして、「それは何だ」、「本当にパソコンか」と聞いてきたほどでした。
中国の「老朋友」として
—— 中国人の印象はいかがですか。
泉田 私はしょっちゅう中国に行っています。楊潔篪外交部長を表敬訪問した時には、15分間の予定時間が、意気投合して1時間以上懇談しました。また、21 世紀委員会の中国側首席委員の唐家璇さんは「やっぱり新潟はいい、新潟では腹を割って話せる」と言ってくださったり、2014年の知事会による中国訪問の際には、「やはり新潟にも来て欲しい」と言われて、急きょ他の予定をキャンセルし、訪中しました。
中国と日本は同じ漢字の国で、現在アジアでも漢字を使っているのは中国と日本だけになりました。『三国志』は中国でも日本でも人気の古典ですし、また以心伝心――お互いに思いやるという文化が日中両国の人びとの心に根付いているのではないでしょうか。
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