高橋はるみ 北海道知事に聞く
プレミアム旅行券と北海道のワインで 中国人観光客に楽しんでほしい

この夏、北海道は外国人観光客向けに「プレミアム旅行券」を発行する。1冊6000円で購入すると1万円分使えるというもので、1人3セットまで購入できる。中国人にとって北海道は魅力あふれる観光地だ。今後さらなる観光客の増加が期待できる中、高橋はるみ・北海道知事を訪ね、知事一押しの特産物を聞いた。すると中国人に大人気のお菓子「白い恋人」ではなく、「ワインです!」との答えが返ってきた。

外国人観光客向けプレミアム旅行券を発行

—— 中国からの観光誘客にどのように取り組まれていますか。

高橋 中国からのお客様は、昨年度は約16万人と過去最高を記録しました。現在、外国人観光客を魅了する様々な観光資源の情報発信のため、Wi-Fi環境の整備やSNSなどを活用した観光スポットの情報提供を行うとともに、札幌市内だけでなく、道内各地で買い物をお楽しみいただけるよう、免税店の拡大に努めています。

特に今年度は、札幌市以外の免税店や観光・体験施設で利用できる外国人観光客向けプレミアム旅行券を発売する予定です。この旅行券は、1冊6000円で購入すると1万円分使えるというもので、1人3セットまで購入できます。専用ウェブサイトで予約受付ができますので、是非ご利用頂きたいと思います。

本年5月、自民党総務会長の二階俊博先生率いる3000人訪中団にご一緒させて頂きましたが、中国は大変大きな市場で、北海道は中国の皆様に特に人気があることを実感しました。

その際、対日投資セミナーやシンポジウムの場でプレゼンテーションを行い、北海道観光の優位性をアピールしたほか、若者の交流を目的とした教育旅行や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた合宿や試合観戦などのスポーツ・ツーリズム、相互に先進的な施設を視察する産業ツーリズムなどの提案をさせていただきました。今後とも、中国の皆様に積極的に本道観光をアピールしていきたいと考えています。

日本一のワインとチーズを楽しんでほしい

—— 知事一押しの特産品は何ですか。

高橋 ワインです。水産物のホタテやウニ、蟹もありますし、農産物ではトウモロコシやメロンなど何でも美味しいのですが、今売り出し中なのはワインです。実は、北海道はワイン用の葡萄の作付面積日本一なんです。ぜひ北海道に来てワイナリーをご訪問頂き、壮大なブドウ畑をご覧になりながら、北海道ワインを楽しんでもらいたいと思います。

それからチーズですね。ご承知のようにワインとチーズは相性がいいんです。北海道は乳製品の乳質が日本一なのですが、私は世界一だと思っています。

中国東北三省等との環境ビジネス交流会を開催

—— 中国とはどのような経済交流を行っていますか。

高橋 北海道ではこれまで、友好提携を結ぶ黒竜江省をはじめとした東北三省等との交流を深めるほか、上海に経済交流拠点を設置し、道内企業の中国進出支援を行うとともに、中国各地での食と観光の売り込みに取り組んできました。

平成24年度からは、主に現地でのニーズが高まる環境分野に重点を置き、東北三省等の企業等を招いた商談会を開催し、道内企業の中国へのビジネス参入を促進しています。

今後とも、現地ニーズを踏まえながら、交流分野や手法を工夫するなどして、各省政府との信頼関係を深め、中国との経済交流を進めてまいります。

「絆を未来に繋ぐ」中日青少年交流を

—— 中国との民間交流、青少年交流の重要性について。

高橋 民間交流では、来年、友好提携30年を迎える黒竜江省との間で、寒冷地稲作技術を通じた交流や、北海道と35年前から姉妹提携を結んでいるカナダのアルバータ州から学んだ「カーリング」を道内の民間団体が中心となって、黒竜江省に伝え、3地域での友情を深めてきました。

青少年交流は、地域間の信頼、友情を未来につなげるために不可欠であり、将来を見据え、継続して行う事が大事であると思います。私もこの「絆を未来に繋ぐこと」の重要性を、昨年10月に、北京の大学生約120名の前でお話ししましたが、より多くの学生が留学などを通じ、友情を育むことが後に北海道と中国に大きな成果を生み出すものと考えています。

国の建設に真摯に取り組む中国の要人たち

—— 中国人の印象について。

高橋 訪日される中国の要人の方はよく北海道に来られますが、近年では胡錦涛前国家主席にもご来道頂いています。中日友好協会の唐家璇先生とは北京でもお会いしていますが、会長就任の際には札幌でもお会いしました。

また、王毅外交部長が駐日大使だった頃、北海道にも何度もいらっしゃって、とても流暢な日本語を話され、道民にも多くのファンがいます。

皆さん包容力があって優しいという印象ですが、その中で、李克強総理が遼寧省党委員会書記だった頃、中国でお会いしたのですが、数字も交えて様々な政策課題について話されました。お国の将来に向けて、仕事に大変真摯な態度で取り組まれており、特に数字に強いという印象を受けました。

おおらかで開放的な道民性

—— 北海道の道民性について。

高橋 北海道は、世界自然遺産の知床をはじめとする豊かな自然環境、安全・安心で美味しい食、自然と共存するアイヌ文化や心潤うライフスタイルなど、多彩な個性が輝き、潜在力と可能性に満ちた大地です。

寒さとの戦いを極めた北海道開拓の歴史により、「耐える力」、「進取の気質」、「おおらかさ」が備えられたフロンティア精神に富む「道産子」に作りあげられたのではないかと思っています。

また、雄大な自然の中で暮らす北海道民は、「自然を愛する心」と「開放的な精神」が備えられ、他の土地から訪れる人たちに対しても分け隔てなく付き合う気風を持っていると感じています。