浜田 恵造 香川県知事に聞く
日中の次代を担う若い世代の交流に取り組みたい

香川県は「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトを展開して5年目に入るが、「香川の魅力を広くPRするため、中国版ツイッター『微博(ウエイボー)』を活用した観光情報の発信にも取り組んでいます」と語る浜田恵造知事に中国からの誘客、中国との経済交流、友好交流などの取り組みについて伺った。

 

「微博」を活用し観光情報を中国に発信

―― 2014年、開港25周年を迎えた高松空港においては、上海線の増便により、航空ネットワークの充実が図られましたが、県内情報の発信など、県では中国人観光客誘致にどのように取り組まれていますか。

浜田 香川県では、企業活動を支えるともに、観光客の誘致を図るため、航空ネットワークの充実・強化に取り組んできました。こうした中、2011年7月に念願の高松―上海線が就航し、昨年3月からは週4往復に増便され、利用者の利便性が大きく向上しました。

本県には、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに三ツ星として掲載されている栗林公園や海の神様として全国から信仰を集める金刀比羅宮のほか、風光明媚な瀬戸内海国立公園内に位置するオリーブの島「小豆島」や現代アートの島「直島」など、魅力的な観光地が数多くあり、讃岐うどんをはじめ、瀬戸内の海の幸やフルーツなどグルメも充実しています。

こうした香川の魅力を広くPRするため、中国の旅行博での観光プロモーション、旅行会社やメディアの招聘を行うほか、中国版ツイッター「微博」を活用した情報発信にも取り組んでいます。

また、玄関となる高松空港において、中国語が話せるスタッフを配置した観光案内所の設置やWi-Fiルーターの貸出しなどを行うとともに、県内で快適に過ごしていただけるよう、無料Wi-Fiスポットの拡充や県内主要駅などの案内板等の多言語表記にも努めています。

 

時代を担う若い世代の交流が重要

―― 1994年以来、中国陝西省との友好交流を推進されていますが、県では、どのような人的交流の取り組みをされていますか。特に、次世代交流の重要性についてはいかがですか。

浜田 香川県と陝西省は、本県出身の偉人である弘法大師空海が、今からおよそ千二百年前に唐の長安で学んだことをご縁に友好の絆を深め、1994年に友好県省提携を行い、経済、文化、スポーツなどの分野で幅広い友好交流を重ねてきました。

これまで、代表団の訪問や視察団の派遣を相互に行っており、昨年11月には、友好県省提携20周年の節目の年を迎えたことから、私と県議会議長らが陝西省を訪問し、今後も両県省が引き続き友好交流を深めることをお互いに確認しました。

また、国際交流員や海外技術研修員の受入れ、スポーツ交流、書道を通じた人的交流も行っております。

今後ますます両県省の友好交流の絆を深めるためには、感受性の豊かな青少年期に相互の社会や文化などに直接触れ、理解すること、また、日中友好関係の礎となるひとづくりが重要であることから、次代を担う若い世代の交流に取り組みたいと考えています。

 

中国との経済交流を推進

―― 2014年11月、中国青島で開かれた中国国際漁業博覧会に参加されていますが、中国市場の販路開拓や中国進出に関する県内企業への支援などに、どのように取り組まれていますか。

浜田 中国国際漁業博覧会には、本県の主要な水産物の販路拡大を図るため、前年度に引き続き参加し、特産のハマチのフィレやイリコの展示・試食を行い、おかげをもちまして、多くの方々から高い評価をいただきました。

また、香川県をはじめ四国4県で設立した「四国4県・東アジア輸出振興協議会」により、中国市場における香川の県産品のブランド化と販路開拓を進めています。

具体的には、上海を拠点とする貿易会社と連携し、農林水産加工食品や酒類等について、中国バイヤーを招聘しての商談会や現地の百貨店などでの「四国フェア」の開催などに取り組んでいます。

このほか、県内企業が最も多く進出し、高松空港からの直行便がある上海市にビジネスサポーターを置き、県内企業のビジネス展開の支援や、ビジネス情報の収集・提供・相談などを行っています。今年1月には、中国に進出している県内ものづくり系企業の販路開拓を支援するため、日系大手企業とのマッチングのための商談会を開催しました。

 

愛読書は中国の古典

―― 知事の愛読書は「三国志」だそうですが、中国の印象についてお聞かせください。

浜田 「三国志」は、高校生の頃から親しんでいます。他にも、項羽と劉邦の物語や「唐詩選」も好きですね。また、私の尊敬する郷里の大先輩の故大平正芳元内閣総理大臣は、日中国交正常化に尽力され、両国の友好関係の揺るぎない基盤を築かれました。

こうした関わりがある中、私は、2010年9月に知事に就任して以来、空路開設や県産品のセールスなどのため、十回ほど中国を訪問しましたが、いずれも温かい歓迎を受け、感謝しております。

一昨年に開催した現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」では、中国からゲストを招き、「中国現代アート事情」と題したイベントを行いました。来年3月には、三回目となる芸術祭を開催いたしますが、中国にはダイナミックなアートシーンが存在しているとお聞きしており、ぜひ多くの皆様に「瀬戸内国際芸術祭2016」においでていただきたいと思います。

 

県民すべてが「おもてなし」の心で

―― 「世界の宝石」と称される瀬戸内海や、うどん・オリーブなどの食、アートをはじめとする魅力あふれる香川県の県民性について教えてください。

浜田 昨年、四国八十八カ所霊場が開創して千二百年の節目の年を迎えましたが、香川県には、この霊場を巡る巡礼者である「おへんろさん」を温かく迎える文化が、代々、受け継がれており、県民誰もが「おもてなし」の心を持っています。

また、年間を通じて晴天が多く、美しい瀬戸内海を望む温暖な気候は、海の幸、山の幸をもたらすだけではなく、穏やかで人あたりが良く、明るくのんびりした気質を育んでいます。

そして、香川県民は、何より「讃岐うどん」を愛しています。うどんの生産量、消費量は、ともに全国1位を誇り、700以上のうどん店がしのぎを削っています。お正月には、太く長く続く幸せを願い、白い麺に赤いトッピングを添えた、紅白のおめでたい「年明けうどん」をいただきます。