森田健作 千葉県知事を訪ねて
中国人観光客は千葉県から入国

62歳の森田健作千葉県知事はかつて映像世界のスターで、40本以上の映画でさまざまな役を演じてきた。2009年3月に知事に当選してからは、地方政治の「スター」となった。「リタイアしたら、中国を見て回るのが夢です」と語った。7月4日、千葉県庁で、俳優出身の森田知事にインタビューした。

中国の人々に千葉をもっと理解してほしい

―― 中国人はほとんどが千葉県の「成田国際空港」から日本に入国しますが、千葉県についてご紹介ください。

森田 中国の皆さんは成田空港に降りて、千葉県を素通りしてそのまま隣の東京へ行ってしまい、千葉のことをあまり知らないようです。でも、私が知事になってからは、少しでも多く千葉を知っていただこうとアピールしています。

千葉県はポテンシャル(潜在能力)の優れた県です。たとえば、成田国際空港。それから、イセエビやアワビなどの水産物、ナシなどの果物や農産物などどれもおいしい。これらは多くが日本のベスト5に入ります。それから、エンターテイメントではディズニーランド。さらに、マザー牧場、東京ドイツ村など非常に多くの名所があります。今年の4月には木更津に大型のアウトレットモールがオープンしました。羽田空港から東京湾アクアラインを通ると30分で着きます。ビジネスでも、日本最大級のコンベンション施設である幕張メッセに、中国から多くの方が訪れています。

 

千葉県民は人情が厚くておおらか

―― 千葉県の「県民性」についてはいかがでしょうか。

森田 千葉県の面積は東京都と神奈川県を合わせたよりも大きくて、広々しています。温暖ですし、野菜や果物、海の魚もお米もいっぱい取れます。房総方面には代々千葉県にお住まいの方もいれば、東京に近い地域を中心に他の地域から引っ越してこられた方もいらっしゃいます。千葉県は豊かなので、非常におおらかで人情が厚い、あまりせかせかしていないところがあります。

 

大震災後の中国の援助に感謝

―― 東日本大震災の教訓を受け、災害に強い千葉県づくりを進める上で、千葉県は首都圏において、どのような役割を果たしていこうとお考えですか。

森田 まず始めに、大震災の際に日本を援助してくださった中国国民の皆さまに厚く御礼申し上げます。千葉県は被災県です。津波で14人の方が亡くなりました。それから、液状化でも大きな被害を受けました。しかし、素早く対応し、瓦礫などの処理もほとんど終わりました。現在、県民が一致団結して復旧から復興、発展へと進んでいるところです。千葉県は首都圏に一番近い食物の大きな供給源として、野菜、魚、米、肉などを順調に出荷しているところです。また、整備を促進している圏央道はアクアラインとともに、震災時には都心の代替路として、首都圏の防災力に大きく寄与します。

 

青少年の交流は将来の経済発展につながる

―― 千葉県では、多くの中国人観光客が訪れ、毎年、中国の高校生訪日団を迎え入れています。今後、中国との経済交流をどのように進めて行くお考えですか。

森田 私は特に、将来、経済を背負っていく若い人の交流が必要だと考えています。

中国はとても大きな国です。人口も13億人いる。そして、経済成長が著しい。技術交流なども含め、中国とよりいっそう絆を強めた方が、両国だけでなく、アジアの発展のためにも有意義だと思います。

ですから、日中間の経済交流と同時に、将来、両国の経済を背負っていく若者たちの交流をぜひ深めてもらいたい。現在、県としても若い職員を上海や香港などに視察に行かせて、中国との交流を深めることにより、中国のいいところを勉強させていただいております。

 

観光を発展させるには県内在住の中国出身の方のアドバイスが必要

―― 中国人観光客には、どんな施設が人気でしょうか。また、中国人観光客誘致に、どのように取り組まれていますか。

森田 人気の施設はやはりディズニーランドでしょう。来日する前は、みんな東京にあると思っていますが、実は千葉県にあるのです。これから県としても、中国人観光客の皆さんに色々PRして、興味を持ってもらいたいと思っています。

千葉県では毎年、中国の広州、深?などに、県内の観光業者などを率いた訪中団を派遣しています。また、中国人留学生等に、ツイッターとかブログで自分が体験した千葉県の魅力をどんどん発信してもらったり、千葉県の民放放送『千葉テレビ』に出演していただいたりしています。中国の若い人たちから、日本に来て良かったところ悪かったところを含め、本当の気持ちを中国の皆さんに伝えてほしいと思っています。

 

日本人は中国人のチャレンジ精神に学ぼう

―― 知事は中国に何回行かれていますか。中国で一番印象深いことは何ですか。

森田 五回くらいですね。初めて北京に行ったのは30年以上前です。テレビの番組で行きました。それから観光でも行き、さらに矢野浩二(森田知事の秘書を経て現在中国で活動する俳優。日中国交正常化40周年の記念事業として今年9月、北京で開かれる「日中交流博覧会」の実行委員に選ばれた)の撮影現場を見に行きました。矢野は中国でよく知られているようですが、私の弟子なのです。ですから、中国での活躍を応援しています。

やはり大きいですね、中国って国は!そして中国人はチャレンジ精神があり、ダイナミックですね。世界中のどの国にもチャイナタウンがあります。どこに行っても中華料理があります。ハングリー精神っていうのでしょうか、頑張る精神を日本人は見習うべきだと思います。

行ったことはありませんが、日本のテレビで中国の秘境がよく紹介されます。すごく綺麗な田舎の風景とかね。世界遺産ですよね。それを見るたびに、行きたいと強く思うのです。

中国には五千年の歴史がありますが、中国人が今まで築いてきた歴史の名所を、リタイアした後に見て回りたいです。そして、本場の中華料理をたくさん食べたいと思います。