岡本 三成 衆議院議員
日本と中国の若者はどんどん交流してほしい

公明党は、歴史的に中国との友好関係を最も強く主張してきた政党である。同党所属の岡本三成衆議院議員は、米国ケロッグ経営大学院で経営学修士号 (MBA)を取得後、世界的金融機関ゴールドマンサックスのニューヨーク本社に勤務し、40歳の若さで同社の執行役員に就任した。不動産王だった現米国大統領のトランプ氏と面識を持ち、実際に仕事をした経験を持つ。また、テンセントのマーティンラウ社長はケロッグ時代の同級生であり、グローバルな交友関係を築いている。

公明党新型コロナウイルス感染症対策本部副本部長である岡本三成議員に、党の日中友好路線、コロナ対策、金融ビジネスから学んだことなどについて、お話を伺った。

日中友好路線を貫く

—— なぜ公明党は日本の政党の中で唯一、日中友好路線を貫いているのですか。

岡本 公明党の創立者である創価学会の池田大作会長(当時)は、1968年に「日中国交正常化提言」を行いました。その背景には、長年にわたる交流があり、地理的にも近い両国がより良い関係を築いていくことが、未来の平和のために重要であるとの思いから提言をされたわけですが、そのことを党としても強く共感し、日中国交正常化にかじを切る、大きな一歩を踏み出しました。

その4年後の1972年に日中の国交が正常化されるわけですが、ただ、これは出発点であり、その後、どのように人々の交流や経済交流がなされるかということが重要でした。

国交正常化から2年後の1974年12月に池田会長は北京を訪問し、周恩来総理と会見され、日中友好の未来について話し合いました。翌12月6日付の『人民日報』に、この会見の様子が掲載されており、そこでは大変友好的で親密な話し合いがなされたと出ています。

政治レベルだけでなく民間レベルで、そして経済、文化、教育、青少年など、いろんなレベルでの交流を強くしていくことが、両国の将来にとって大切なことだと思っています。

—— 公明党はこれまで日中関係の構築にどのような貢献をしてきましたか。

岡本 ここ20年ぐらいをみても、日中間には幾つも政治的な大きな問題がありました。そういうときこそ、対話の窓を開け続け、常に対話を進めることが重要です。

例えば安倍総理が就任直後、習近平国家主席と直接会って会談することがなかなか難しかった時に、公明党の山口那津男代表が安倍総理の親書を携え北京に伺い、習主席と会談をし、両国関係の改善を一歩進めたわけですが、どのような時代であっても、常に対話交流が促進されるような役割を、公明党として今後も担っていきたいと思っています。

日本人と外国人を分けない

—— コロナ禍において、日中間ではマスクや防護服の寄贈など相互支援が行われました。

岡本 日本でマスクなどの防疫物資が不足したときに、中国の方から支援をいただいたことは、すごく感謝をしています。私自身も、日本にお住まいの華僑の方々の団体から、マスクを中国から輸入したのでぜひ寄附をしたいと言われ、その方々と一緒に東京都に寄附をさせていただきました。

中国は、新型コロナウイルスの感染抑止に成功し、経済活動が再開しています。今では国内だけでなく、世界にもコロナに対する支援を広げていることについて、心から敬意を表します。

—— 国籍を問わない一律10万円の給付金支給が実現しました。

岡本 4月に、日本にお住まいの全ての方々に、所得制限を付けずに一律10万円ずつ受け取っていただくように予算付けをして給付を行いました。

当時は緊急事態宣言の中で、人の移動が制限されていて、経済活動が滞り、所得が少なくなった方も大勢いらっしゃいましたし、将来に不安をお持ちになった方もいらっしゃったわけです。

国民が団結して新型コロナウイルスと戦わなければいけない状況でしたので、所得制限によって国民を分断させることなく、全ての国民に受け取っていただくようにしました。

また、日本には外国人の方もたくさんお住まいです。ウイルスは日本人を攻撃して、外国人は攻撃しない、というわけではありませんから、皆さんが被害を受けています。

これは、特にコロナに限ったことではなく、例えば、所得が少なくて生活保護を受けたり、年金だけで生活されている方が大勢いらっしゃいます。日本にお住まいの外国人の方も同様です。人の命の重さという観点では、日本人も外国人もないわけですから、人道支援という観点から、日本国内にお住まいの外国人の方にも同様に、一律10万円を受け取っていただきました。

国際協力でワクチン開発を

—— ワクチン、治療薬の開発が急務の課題です。

岡本 ワクチンと治療薬の開発というのは非常に重要です。国民の皆さんの命を守り、安全を守り、安心感を与えることに加えて、経済活動を進めていくに当たって、ワクチンがきちんとあり、万が一感染した場合に治療薬があるということは、非常に重要な条件ですので、日本政府としても、予算を大きく取って、ワクチン等の開発支援をしています。

このワクチン開発で大切なことは国際協力です。世界が知恵を出し合い、世界の人々の命を守るために、ワクチン、そして治療薬を開発するという国際協力が何より重要だと考えています。

ですから日本政府も、日本国内の企業を支援するだけではなく、例えば途上国へのワクチン普及を進める国際組織「Gaviワクチンアライアンス」にも資金を供与して支援しています。

また、世界連携でワクチン開発を促進するため、2017 年1月のダボス会議において発足した官民連携パートナーシップCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)にも支援をさせていただいています。

公明党はこれまで、新型コロナウイルス感染症ワクチンを共同購入する国際的な仕組み「COVAXファシリティ」に参加すべきだと提案してきましたが、9月に実現しました。

最初に申し上げたように、日本だけが良ければいいとか、うちだけでやるとかではなく、世界のために世界が知恵を出し合って協力していくことが一番大切だと思っています。

大きなお金の価値が分かる

—— 世界最強の投資銀行と謳われるゴールドマンサックスで、国や国連機関、国際企業を顧客にした金融ビジネスの経験は、現在の議員活動に役立っていますか。

岡本 私はアメリカの銀行でしか働いたことがありませんが、議員活動に大きく役立っています。

国会議員の役割というのは、究極は3つしかありません。1つ目は予算を決める。日本の国民の皆さんからお預かりした税金の使い道を決めることです。2つ目は法律を決める。日本のルールを決めることです。そして3つ目は外交です。他の国とどのようなことがあっても話し合いで解決できる関係をつくっていくことです。

この3つが国会議員の最大の使命と考えていますが、特に1つ目の予算を決める上ですごく役に立っていることがあります。それは金融業界で22年働き大型の金融取引をやっていた経験から、ある政策にかかる費用について、1兆5000億円だったら高いけれど、1兆円なら妥当だといったことが、分かるのです。

当然、人々は自分の生活の中で、お金の価値を分かりながら生きていますが、会社の売買とか、国の支援などをやっていたので、億や兆といった単位の大きなお金の価値を分かっていることが、使い道を決める上ですごく重要だと思っています。日本の予算は100兆円以上ですが、その大きなお金の価値が分かるということが、今とても役に立っています。

—— 最後に中国と日本の若者へメッセージをお願いします。

岡本 日本と中国はこれからもっと仲良くしていかなければいけません。ですが、政府と政府の間ではいろんなことがあるので、仲良くしたくてもできないことがあります。そういうときに、民間の交流を長く続けていくことが大切です。

とりわけ、コロナが終わったら、両国の人がお互いにどんどん旅行に行ってもらいたいと思います。それは、そこでお金を使うとか、そんな小さな話ではなく、中国の中に日本のことを嫌いな人はたくさんいるでしょうし、日本の中にも中国のことを嫌いな人はいるでしょう。しかし、そのほとんどの人は、お互いの国に行ったことがないのです。つまりお互いを知らないのです。実際に行ってみて、その雰囲気を感じて、その国の人に接すれば、その国の良さがわかり、評価がかわってくると思います。

ですから、やはり交流を増やすことです。とりわけ重要だと思っているのは、若い人同士の交流です。若い人がお互いの国で学び合い、将来仲良くしていくことが大切です。

それから、文化芸術の交流ですね。とにかく交流をしっかりしていきながら、どこまで行っても日本と中国は仲良く平和な環境を維持できるように頑張っていきたいと思いますので、皆さん、どんどん交流をお願いします。