日本の政治家の中には、勇気を持って自分が将来必ずや首相を務める人物だと表明する人は少なくない。しかし、国会議員事務所の中に、国旗を打ち立てている人は多くない。8月8日、私は元防衛大臣の林芳正・自民党参議院議員を訪ね、事務所に入った時、将来日本の首相を望む政治家の応接間に立てられている国旗を見た。訪問インタビューはそのような環境のもとで行われた。
日本は国家の転換問題について検討すべきだ
—-7月6日、先生は参議院の自民党・民主党の有志で「日本型国家を考える会」を立ち上げました。その中で、日本は国際社会の一員として「夜警政府」から転換すべきだと主張されていますが。
林芳正:「二つの世界大戦」の後、日本は辛抱強く苦労に耐えて努力し、経済が高度に発展している国々の列に入りました。日本はかつて「一億総中流」と言われました。一億人以上の国民がすべて中流の経済水準にあるということを示した言葉です。みんなが一緒に豊かになり、一緒にそれを享受し、「大きな政府、小さな国家」の仕組みを作り上げ、どの政権もそれを受け継いできました。たとえて言えば、政府のコントロールのもとにある警察は、昼間の仕事にとどまらず夜間にも仕事をしています。そこから「夜警政府」が作られていったのです。この種の国家発展のパターンは、ひとしきり国際社会の尊敬を受けましたが、しかし、今日の日本の発展は、この国家パターンを改変する必要があるということを証明しています。
「戦略型」と「戦術型」の区分け
—-民主党が政権を担ってから、日米軍事同盟ならびに対中国外交など、安全保障に関して不協和音が生じています。先生はかつて福田康夫内閣で防衛大臣を務めましたが、どのように見ていますか。また、自民党と民主党の対中国外交はどう違うのでしょうか。
林芳正:民主党は、外交・国防に関して成熟した理念がありません。それに引きかえ、自由民主党、公明党、共産党はいずれも政党自身の理念があります。民主党の選挙公約の中にはそのような内容があるにもかかわらず、しかし、聞こえてきたのは、誰が防衛大臣になるか、誰が首相になるかというようなことだけだった。例を挙げると、沖縄のアメリカ軍基地の普天間飛行場の移転問題が正にそれでした。
私は福田内閣で防衛大臣を担当していた時、かつて自ら普天間飛行場に行って視察したことがあります。確かに、軍機の離着陸の際、本当に大きな騒音をもたらすし、周囲にガソリンのにおいが濃くただよい、私たちはそのことからも飛行場を比較的人口の少ない名護市に移転することを想定したのです。当該地の住民の方は比較的温和な心でもって、この移転計画案を受け入れてくれ、アメリカ軍もこの案を受け入れてくれました。しかし、これは決して簡単に話がついたことではないのです。それなのに民主党が政権を取ってから、それを全部ひっくり返されてしまった。そればかりか、いかなる代替案も打ち出していないのです。だから、私は、民主党はあまりにも無責任であると言うほかありません。
改めて日中関係を見て見ると、昨年9月に尖閣諸島(本紙注:中国名「釣魚島」)で起きた衝突事件によって悪化しています。自民党政権時には、中国と戦略的互恵関係の共同認識の取り決めを行い締結していました。民主党が政権を取ってからは、日中関係は戦術型互損関係を作り上げています。もし戦略型外交関係を思考するなら、両国関係の問題を処理する時には、大局的にものを見ることが肝要です。しかし、ただ戦術型外交関係を思考するのなら、両国関係の問題を処理する時には、細々したすべてのことに気をかけなければならないのです。これも民主党の外交経験のなさを反映しているものです。
日本は中国の軍事範囲の拡大を直視しなければならない
—-最近、民主党政権による2011年版『防衛白書』をめぐり、中国の外交部と国防部はどちらも強烈な批判をしています。先生はどのようにご覧になりますか。
林芳正:はっきり言って、今年の『防衛白書』を私はまだ全部読み終えていません。でも、いろいろな報道を見るに、白書の中は、ほとんどが中国の海軍の発展に触れています。一般的に言って、この種の我が国以外の国に関わる内容の政府文書というものは、正式な発表の前に相手方の国と水面下で意思疎通をさせなければなりません。私が在任中にはそのようにしていました。しかし、このたびの中国の反響があのように強烈なことから、日本の外交ルートがスムーズにいっていないことが証明されるわけです。民主党政権の外交上の問題点をいま一度物語っています。
それから、日本のメディアはしばしば、中国の海軍が「第一列島線」や「第二列島線」を運行しているという言い方をします。このことから、中国経済の発展と総合的実力の向上につれて、中国資本力は世界のより多くの地域に出ていくことを必要としており、中国の国益が以前に比べて、もっと広範囲に広がっていることが十分に理解できます。日本は中国ともっといろいろな場面でこれらの問題を討論し、意見交換をしなければならないのです。それは、あたかも植民地争奪の競争をする、というようなことではありません。日本と中国は、いかにして地域の安全を守るか、いかにして拡大均衡に歯止めをかけるかなどの重大問題について、対話を推し進め結論を求めて交流していかなければなりません。もちろん中国側もこれを機会に、もっと努力をしなければいけません。
日本は中国からの投資に対応して自信を作り上げねばならない
—-「3.11大地震」発生以後、一部中国の民間資本が日本への投資を希望していますが、日本のメディアの反応はまたしても比較的冷淡です。今後の中日経済関係の発展の観点から、先生はどのような見方をしていますか。
林芳正: 私もメディアの、中国の民間資本が日本で土地を買っているという報道に注意を払っています。中国資本が日本に入ってきて土地を買う、もしこれが工場を建てて生産に就くというのなら、何の問題もないと思うのです。しかし、ただ土地だけ買って、甚だしきは土地を買いだめしている。こういうことでは、日本国民も心配になるでしょう。
さらに大事なことは、私たちは中国からの資本投資のこのような動きから、日中経済関係の重大な変化を見てとらねばならないということです。この種の変化は、両国の資本がすでに相互に浸透し合っている段階にあるということを示しているのです。私はあなたの中にあり、あなたは私の中にあり、互いに頼りにし、互いに発展していくという段階です。こんなふうにしていったら、日中両国は再び戦争をするようなことはないでしょう。
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