惠京仔会長が新潟市内に元山東医院を開業してから半世紀以上になる。この間、氏は地元の医療に貢献するだけではなく、中日間の医療技術の交流や市民同士の友好促進にも尽くしてこられた。現在、新潟県親善大使、新潟市名誉市民、北京市栄誉市民など数多くの称号を贈られている。日本で育った中国人として、中日戦争という過酷な環境下、最も多感な時期をどのように生き、そして今があるのか。新潟華僑華人総会会長として、華僑の新しい世代へ継承したいものは何かなどについて伺った。
新中国建国70周年を迎える想い
—— 今年、新中国は建国70周年を迎えますが、会長の祖国への思いからお伺いしたいと思います。
惠 70年は人で言えば「古希」ですが、一言で言えば、非常に輝かしい歴史の歩みだったと思います。
5,000年の悠久の歴史を経て、新しい中国近代史の中、新中国成立からの70年間、自力更生、刻苦奮闘を踏まえた中華民族の力の結集が、ただ今の世界における祖国の立ち位置を表現していると思います。
世界のあらゆる人々の平和と安定と繁栄を願う人類運命共同体という基本理念を基軸として、21世紀を飾り、更に未来に及ぶ祖国の躍進並びに中華民族の夢の実現と達成へとつながることを念じています。
—— 会長は習近平主席にお会いになられたことはありますか
惠 2015年、戦後70周年のとき、天安門広場において中・日戦終結勝利記念イベントが行われました。そのとき、世界から5人だけの華僑代表が招かれました。私はその中の一人として、天安門楼上において国家主席や高官の方々、そして外国首脳の方々とご一緒させていただきました。
習近平主席は、大きな包容力をお持ちの文字どおり温厚篤実な指導者でおられるとの印象を受け、深い感銘を受けました。
新潟で初の人工透析専門のサテライト施設を開設
—— 会長は東京の昭和医科大学卒業後、新潟大学医学部で研究をされて、1968年に新潟市内に山東医院と人工透析専門の医療機関を開設しました。また、中国に初めて人工透析医療を導入するなどの功績もあります。
惠 まず、私の専門領域については、1973年新潟県において初の人工透析専門サテライト施設(個人開業)を開設し、新潟県の医療開発に微力をささげてまいりました。
その後1980年、中国において初の人工透析専門医療を包括した医療施設を中国北京に導入開設しました。以来40数年間、中国国内においてこのような先進医療が大幅に普及し、俗に地球よりも重いと言われる人の生命を数多く救うことができました。現在中国国内では人工透析医療機関が随所に設立され、私の最初の想いと念願が今や見事に開花結実し、中国の医療発展に少しでもお役に立ったことに、私は初志貫徹の思いでおります。
「老華僑」の歴史を「新華僑」に伝える
—— 新潟華僑華人総会はどのような経緯で設立されたのですか。
惠 老華僑の立場にある私は、私自身の自伝を含め更に20世紀の苦難を表す激動の昭和とともにのりこえてきた、いわゆる老華僑の歴史と歩みの真実を、戦後のしかもこの半世紀において極めて大きな変化を遂げた今日に生きる新華僑の皆さんに学習の一端として伝える必要があると考えました。
新潟華僑総会は、昭和15年(1940年)に設立され、私の父が初代会長を務めました。以来、昭和のあらゆる変化から平成に至る数十年間、新潟華僑総会は友好のシンボルとして地方から大なる信頼を得てきました。
時は流れ、平成23年(2010年)に新潟側からの提案を受け、私は新潟への中国総領事館設置に協力をいたしました。それを機に従来の新潟華僑総会を母体として、リフレッシュした形の新潟華僑華人総会をスタートさせ、老華僑と新華僑との融合する新潟華僑華人総会として、引き続き私が会長に就任し、現在に至っています。
新潟と中国、日本と中国との友好交流についての想い
—— 新潟と中国、日本と中国の友好交流についてどのような想いがございますか
惠 国と国との交流は民間の親しき交流から生まれるものと考えます。中国と日本は、引っ越しのできない隣同士であり、古来より多くの文化の伝承をはじめ同文同種の深い縁(えにし)で結ばれています。
特に、この新潟県においては劇的史跡を残した田中角栄元首相の故郷であり、他県にない友好の翼〝とき〟の交流、育成と、羽ばたきをもつ友好一大都市です。大切な関係です。
—— 最後に若い世代に語り継いでいきたいことは何でしょうか
惠 一衣帯水の絆と善隣友好の継承を基本に、若い華僑の人たちの草の根的交流を子々孫々にいたるまでつなげていくことと、偉大な祖国と愛する故郷を忘れず貢献していくことでしょうか。
血は水よりも濃いのです。私共は正真正銘ひとしく愛国華僑です。建国70周年に際し、改めて思うことは、在日老華僑の辿った辛苦の道程と新中国成立の歴史の記憶、そして、先人たちの遺した遺訓を鑑として、祖国の更なる振興と発展に向け、次世代を担う若い人たちはその双肩にかかる自覚と想いを堅持して、中華民族の誇りある王道をしっかり前進していってほしいと思います。
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