2020年度本誌理事会懇談会を開催 

「苦しい時期になればなるほど、中日両国の相互理解と交流を積極的に進めなければならない」。11月2日、オンライン会議システムを使って開催された本誌理事会懇談会の席上、出席者は口々にこう発言した。

新型コロナウイルスの感染拡大により、創刊9周年を迎える本誌は例年のような大規模な記念イベントは開催せず、藤原洋理事長の提案により、新しい形式の理事会を開催し、「アフターコロナ時代」の新しい中日ビジネスのあり方等について討議した。

懇談会の冒頭、藤原洋理事長が「日本のデジタル庁創設と中日ビジネス」というテーマで講演し、中国、アメリカと比べ、日本企業はデジタル化が遅れており、業務効率の低下を招いているため、社会のあらゆる分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務の課題となっていると指摘し、デジタル技術による業務やビジネスモデルの変革が重要だと述べた。そして、新型コロナウイルス感染拡大の中で、こうした弊害はすでに表面化しており、DXを積極的に進める上で、日本企業は中国企業のデジタル経営を学ぶべき時が来ている、と語った。

続いて各理事が近況報告を行った。株式会社 CHIの露崎強代表取締役社長は、新型コロナウイルス感染拡大は危機であるだけでなく、さらなる成長のチャンスでもあると述べた。ホテル経営と観光業の CHIグループは、新型コロナウイルスによる観光客の減少により損失を出しているものの、数百億円を投資し他のホテルを買収する予定であり、コロナ後の発展に向けて準備を進めている。

株式会社TAKARAの翁道逵代表取締役は、新型コロナウイルス感染拡大を教科書に喩えた。この教科書は私たちに多角化経営をしなければならない、タマゴを一つの籠に入れてはならないと教えている。ゆえに私たちは新型コロナウイルス感染拡大期間に元来の業務を調整し強化し続け、新しい業務、M&Aを開拓していくことで、春がやって来ると思うと語った。

行知学園株式会社の楊舸代表取締役社長は、新型コロナウイルス感染拡大は、一企業の対応能力と成長のポテンシャルを測る「検出器」であると述べた。同社では長年オンライン授業に投資しており、今回の感染拡大によって日本に留学する中国人留学生は不利益を被ったものの、同時にどのような困難があっても中日両国の交流は止まらないということが認識できたという。

株式会社ゴールデンブルの金幸健一代表取締役社長は、長年EC事業に従事しているが、この度の新型コロナウイルス感染拡大はEC業界にも打撃はあったものの、さらに多くの進展を見たという。今後、自然災害など、何が起きても、冷静になって自身の企業を変革するチャンスだと捉え、諦めずチームワークで戦術を立てていくことが重要だと述べた。

フォビジャパン株式会社の陳海騰代表取締役社長は、インターネットの時代は情報革命、決済方法の革命、貨幣革命をもたらし、新型コロナウイルス感染拡大の中、人々は仕事のスタイル、ライフスタイルに大きな変化が生じた。現在、日本では暗号資産関連の法律と会計基準が審議されているが、このことは中日経済交流にも新しい提携と発展のビジネスチャンスがあると述べた。

株式会社YAKの水神令良専務執行役員は、本誌理事である同社の成澤守夫常務執行役員の代理で出席した。新型コロナウイルス感染拡大は地震災害などと違い、同社の不動産業務に大きな損失をもたらさなかった。「アフターコロナ」のライフスタイルの変化に伴い、多くの人が人口が集中する大都市から離れることで、同社の業務にも新しいビジネスチャンスをもたらしたとした。

JBエナジー株式会社の刁旭代表取締役社長は、2011年の東日本大震災から現在の新型コロナウイルス感染拡大に至るまで、太陽光エネルギーと風力発電のもたらす蓄電の重要性への認識が高まったとし、それはこの産業が災害や疫病の中で成長するものだとも言えると述べた。災害に伴って新しい産業が生まれ、成長していることは、「ピンチはチャンス」であることをあらためて証明しており、われわれの思考と経営上の変革こそ重要であるとした。

株式会社小肥羊ジャパンの青山浩代表取締役、エノキフイルム株式会社の榎善教代表取締役社長、ジャパンローヤルゼリー株式会社の山口喜久二相談役・最高顧問、中国・鼎宴資本の陳軍総裁は、祝賀メッセージを寄せた。本誌の呉暁楽社長、蒋豊編集長、奥薩卓瑪副社長らも出席した。