ライブ配信ルームより
鳩山由紀夫元首相が中日関係と日本の政局を語る

『人民日報海外版日本月刊』主催の第8回日本新華僑ライブ配信ルームへ、ようこそ。2020年は歴史に刻印される年となりました。日本では、東京オリンピックの延期、新型コロナウイルス感染対策、政権交代、経済復興等の話題がトップニュースとなり、地域全体の情勢に多くの不確実性をもたらしました。

こうした状況の中、このライブ配信ルームに、元首相の鳩山由紀夫先生をお招き致しました。鳩山先生には、日本の政局の変化、中日関係の動向、さらには今後の世界情勢について語っていただきたいと思います。司会進行は本誌編集長の蒋豊です。

日本の防疫対策に対する評価

—— 鳩山先生は中国人民の古き友人であり、日本の政界で活躍する著名な政治家のお一人です。鳩山先生は1947年、東京の政治家一家に誕生されました。お爺様は自民党を結党し、初代総裁を務められた元首相の鳩山一郎先生、お父様は元外務大臣で参議院議員を務められた鳩山威一郎先生、弟さんは衆議院議員を務められた故鳩山邦夫先生です。鳩山先生は、2009年9月に第93代首相に就任されました。

首相退任後は、国際関係の発展、日本と周辺諸国との協力相互利益の促進に、より精力的に取り込んでおられます。現在、一般社団法人東アジア共同体研究所理事長、中国西安交通大学名誉教授、アジアインフラ投資銀行国際諮問委員会委員を務めておられます。

本日、共に進行役を務めますのは、弊社副社長の奥薩卓瑪です。彼女はチャイナドレス日本総会を設立し、海外華僑として中国の伝統文化を宣揚する重責を担っています。

では、一つ目の話題に移りたいと思います。鳩山先生は安倍政権の防疫対策をどう評価されていますか。

鳩山 コロナ禍における、中日両国政府及び両国国民の皆様のご尽力に心から敬意を表したいと思います。

現在、日本の感染状況はコントロール下にあります。これは国民の皆様の自覚と努力によるものです。まだ検査数も範囲も不十分ですが、それが改善されれば日本経済は回復に向かうと思います。

中日米の三カ国関係について

—— 中国と日本はお互いが重要な隣国です。中日関係の今後の展望につてはいかがでしょうか。

鳩山 日中関係は長期間冷え込みました。特に“島の問題”が大きく影響しました。安倍首相の執政時、日中関係の改善を図り、中国の最高指導者を国賓として招待していましたが、今年3月に予定されていた訪日が、コロナ禍の影響で取り止めになったことは残念なことでした。習近平国家主席の訪日が一刻も早く実現し、日中関係がさらに改善されることを期待しています。

—— 中日米の三カ国関係についてはどう見ておられますか。

鳩山 米中両国の争いは覇権闘争ではないと考えます。中国の経済力と軍事力の伸長に、米国は脅威を抱いています。米国の敵対的な態度が一連の問題を引き起こし、日本を困惑させています。

私はかねてより、日米中の三カ国関係は正三角形で、平等であるべきと主張してきました。ところが、現状では日米関係の方が日中関係に勝っており、問題が起きかねません。

私はずっと、日本は米国の話にだけ耳を傾けるべきではないと考えてきました。日本はアジアの一員であることを意識すべきです。特に米中が激しく対立する中で、これらの対立や争いを緩和し地域和平を促進するために、日本は独自の役割を果たすべきです。

「東アジア共同体」と

「人類運命共同体」

—— 鳩山先生は首相在任中、「東アジア共同体」構想を提唱されました。その原点についてお聞かせください。

鳩山 「東アジア共同体」の概念は祖父の鳩山一郎が提唱した友愛の精神に基づくものです。この概念はEUと関係しています。EUは平和、貿易、エネルギー、医療、安全保障等を協議する地域戦略組織で、最大の特長は平和のための共同体であるという点です。アジア地域は日、中、韓を中心に、このような地域共同体を建設して拡大し、アジア共同体に発展させ、アジア地域の和平を実現していくべきです。

—— 「一帯一路」戦略構想についてはどう評価されていますか。

鳩山 中国の最高指導者である習近平主席が提唱する「一帯一路」戦略構想は非常に壮大で、国際社会の和平と発展に関わるものです。その実施プロセスにおいては、一帯一路沿線の発展途上国に発展をもたらし、社会の安定と和平に寄与するものと考えます。

アジアインフラ投資銀行の顧問を務めた三年間に、皆様からいただいたご支援に感謝致します! 二年前、中国の最高指導者である習近平主席と接見した際、習主席は、孔子が説いた仁愛は中国の伝統的思想であると語られました。

今後、一帯一路建設に友愛の精神、孔子の仁愛の精神が脈打つことを願っています。習近平主席も支持を表明されています。

菅義偉政権への期待

—— 9月16日、菅義偉氏が第99代首相に就任しました。新首相には何を期待されますか。

鳩山 経済再生に取り組む中で誕生した菅義偉首相は、日本国民の期待を背負っています。

安倍首相在任中に起きた一連の出来事で、一部国民の信頼は失われました。菅新首相には、この状況を打開し、国民の内閣と政府に対する信頼を取り戻してほしいと思います。

米中の激しい対立は重要な外交問題であり、コロナ禍によって延期された、中国国家最高指導者の国賓としての訪日も、日中外交における重要な問題です。これらの問題をどう解決するかが菅政権の課題です。

そして、米国は日本に中距離ミサイルを配備することを望んでおり、この動きは日中関係に影響を及ぼすに違いありません。この問題の解決も課題です。

ハイレベルな質疑応答

—— では、視聴者との質疑応答に入りたいと思います。まず、菅総理が提唱する携帯料金の値下げについてうかがいたいと思います。

鳩山 日本のデータ通信設備が遅れている三つの大きな原因は、日本政府の認識不足、大企業による電気設備電気通信事業の独占、近年の日本政府による教育、特に科研費予算の削減です。

—— 次に、菅政権と安倍政権で、中日関係に変化はあるでしょうか。中国の国家指導者の国賓としての訪日は実現するでしょうか。

鳩山 先ほども申し上げた通り、菅政権には、早いうちに中国の最高指導者の国賓としての訪日を実現してほしいと思います。菅政権は安倍政権の対中基本政策を継承していると考えます。具体的な動きに注視していくべきでしょう。

—— 続いての質問です。ご子息の紀一郎さんは多くの科学研究の成果を上げ、現在、交通工学、都市工学の分野で活躍されています。今後、政界に進出され、鳩山先生とお爺様が実現できなかった夢を継承される可能性はあるのでしょうか。

鳩山 紀一郎は東大で都市工学を学び、この分野である程度の成果を収めてきました。そうした現実的な問題を解決できる人間として、今後政界に進出することがあれば、側面から応援したいと思います。

—— 次の質問です。鳩山先生は一貫して中日友好と東アジアの和平と繁栄のために尽力してこられましたが、今後、日本は中国との歴史問題をどのように解決していくべきでしょうか。

鳩山 日本はかつて誤った戦争を起こし、中国と朝鮮半島を侵略しました。日本は中国及びアジア諸国を侵略し傷つけた罪を認め、謝罪する姿勢を持たなければなりません。

そうした姿勢を保っていくことによってはじめて、民衆の理解を得、心の傷を癒し、他国との良好な関係を築くことができると思うのです。

—— 次いての質問です。菅政権は中日友好路線を継承するとともに、安倍晋三氏の実弟である岸信夫氏を防衛大臣に任命しましたが、中日関係に何か影響はあるでしょうか。

鳩山 防衛大臣は間違いなく重要な閣僚です。日本が米国に頼ることなく、独自の安全保障体制を確立することを期待しています。岸信夫防衛大臣には、安倍政権後半の対中国政策を継承し、日中関係を良好に発展させてほしいと思います。

—— 今回、視聴者の皆様から寄せられた質問はどれも素晴らしい内容で、ハイレベルなライブ配信となりました。鳩山先生、視聴者の皆様ありがとうございました。次回の配信で再びお会いしましょう!