コロナ禍を共に闘う
関西の華僑華人が地域の医療機関を支援

5月17日に発表された新型コロナウイルスの感染者数は、東京が5人、日本第二の都市大阪は0人であった。テレビの前でその報道を目にした日中国際文化交流協会の佐藤れい代表理事の顔にも安堵の笑みがこぼれた。

新型コロナウイルス感染症が関西地域で蔓延すると、医療現場で防護服が不足し、大阪市長は雨がっぱの寄付を市民に呼びかけ、京都の崛川医院は、最前線の医療スタッフのために市販のポリ袋で使い捨ての医療用ガウンを作成してもらいたいと市民に訴えた。また、著名な建築家の安藤忠雄氏は医療従事者支援のための「コロナ基金」に数億円を寄付した。日本で学び、長年生活してきた華人の佐藤れい氏は、これらの動向を目にし、気に掛けていた。

自分一人の力にも、日中国際文化交流協会だけの力にも限界があると感じた彼女は、寄付を募って医療現場を支えたいと考え積極的に働きかけた。その結果、日中国際文化交流協会の主導の下、多くの賛同者が集結した。京都の伊藤敬慧、王鵬、大阪の伊藤蕾、戸島綾子、神戸の梅田夏子、黄俏蓉、張芸、史暁梅、大畑恵美などである。「支援団体」も続々と手を挙げた。東京華僑華人互助センター、東京話劇芸術協会、中国留日同学会、大阪華僑江蘇同郷会、鑑真文化研究院、NPO法人国際技術交流協会等である。5月5日、彼らは共同で、オンラインの「関西医療物資思いやり救援防疫募金プラットフォーム」を正式に開設した。このプラットフォームは基本となる募金活動に加えて、「友誼、思いやり、支援」をスローガンに、在日中国企業および在日華人に積極的貢献を呼びかけた。華僑華人が寄付を行い易いように、プラットフォームではウィーチャット、アリペイ、PayPay(ペイペイ)等の電子決済だけでなく、銀行振り込みも受け付けることとした。現金や支援物資での寄付を希望する人のために、京都、大阪、神戸に拠点を設け、郵送による受け付けも行った。

思いやりの心は華僑同胞に伝播し、多くの団体が彼らを支持した。幸福を祈る歌声、支援者の写真、匿名での支援物資も届いた。中でも特筆すべきは中国人留学生たちの行動である。彼らはみな一人っ子で、親の目には「幼い子ども」と映っていた。ところが、京都の堀川病院が毎日使い捨ての医療用ガウンを300着必要としていることを知ると、グループチャットで呼びかけ、彼らはポリ袋を購入して病院が提供した説明書に従って裁断貼り付けをして成型し、それぞれが袋に詰めて送った。わずか数日で69着の簡易性ガウンが送られてきたという。

これらの支援物資が届けられると、大阪府議会の三田議長、大阪維新の会の金井幹事長、大阪保健医療室の長田室長らが日中国際文化交流協会をはじめとする華僑団体と面会し、困難な時に温かな手を差し伸べてくれた華僑華人に心からの感謝を述べるとともに、健康に留意し、今後も日中友好のために力を発揮して欲しいと望んだ。

日中国際文化交流協会の佐藤れい代表理事は本誌の取材に答えて次のように語った。「私は中国人留学生として日本で学んでいた頃、日本の友好団体からの奨学金を受けていました。私が『将来必ずご恩返しをします』と話すと、団体の責任者は『我々に恩返しをする必要はありません。ここぞという時に、助けを必要としている人々に救いの手を差し伸べてください』と言われました。今こそ、その行動を起こす時だと思ったのです。私たちの行動を通して、日本の人々に中日両国は困難に直面した時は助け合うのだとのメッセージを伝えたいのです。コロナ禍にあってもそうです。在日華僑華人はみな、これまで日本の社会、団体、個人から受けてきた援助に感謝の思いを抱いています。それ故、『一滴の水の恩を湧き出る泉をもって報いる』のです」。