常に心を一つに側に寄り添う
中国企業が大阪府に支援物資を寄贈

新型コロナウィルス関連肺炎が蔓延すると、湖北省武漢市をはじめとする各地を支援するため、感染防止用のマスク、防護服、ゴーグルなどを調達する動きが、官民問わず日本の各地で起こった。これに対し中国社会からは称賛と感謝の声が上がった。

中国国内での流行が収束に向かうと、今度は日本国内で感染が広がり、マスクや防護服が不足する事態となった。すると今度は、中国企業が行動を起こし、マスクや防護服を調達し日本に送った。

3月17日、日本の伸和工業株式会社の協力の下、中国の爹地宝貝株式会社は、マスク5万枚と防護服8838枚を大阪府に寄付した。寄贈式が大阪府庁舎で行われ、大阪府を代表して山野謙副知事、田中修大阪府健康医療部保健医療室室長が受け取った。寄贈式には伸和工業株式会社の西村浩社長、爹地宝貝株式会社の鐘正日本代表が出席し挨拶した。

はじめに、鐘正日本代表から山野謙副知事に対し、次のような御礼の挨拶があった。「中国国内での感染が最も深刻で最も支援を必要としていた時、最初に支援の手を差し伸べてくれた国の一つが日本でした。爹地宝貝株式会社及び上海盈兹不織布有限会社を代表して、日本の皆様のご支援に感謝申し上げますとともに、第一次支援物資としてマスク5万枚、防護服8838枚を寄贈致します。十分な数とは言えませんが、大阪府、そして日本の皆様のために少しでもお力になれればと願っています。日本から送られた支援物資には『住む場所は異なろうとも、風月の営みは同じ空の下でつながっている』との言葉が添えられていました。我々は、『常に心を一つに側に寄り添う』との言葉を贈り感謝の心を伝えたいと思います。中日の友好が永遠に続き、日本での感染症拡大が早期に収束し、桜花爛漫の春を迎えらますことを祈っています」。

西村浩社長が挨拶し、次のように述べた。「私は中国に頻繁に行き来し、中国に関するすべてのことに注目しています。弊社は中国国営企業国家電力投集団グループの上海電力様と合弁会社を設立し、日本での太陽光発電事業を大きく展開しており、この関西地区に於いても大阪市の南港や兵庫県の三田市に於いてメガソーラーの発電事業を展開しております。今年の1月から各主要メディアは、新型コロナウィルス関連肺炎が武漢で爆発的に流行し、一時的なマスク不足が起きていると報じました。仕方なく、他人が捨てたマスクを消毒して使っている女性がいるというニュースもありました。私は大変驚き、マスクを中国に送りたいと考えましたが、実店舗はすべて品切れ状態でした。幸い、高額ではありましたがネットで販売していたため、いくらか購入して中国の友人に送りました。3月10日、中国の指導者が武漢を視察に訪れ、事態は収束に向かっていると感じました。そればかりか、中国はさらにイタリアに医療団を派遣し、韓国とイランには物資の支援を行いました。この度、中国企業から大阪府にマスクと防護服を贈って頂きました。この度の世界的な感染拡大防止活動における中国の振る舞いは称賛に値するものです。日中両国国民は同じ空の下に暮らす地球村の住民です。共に手を携えて感染症との闘いに一日も早く勝利できるよう、私も微力ながら貢献したいと願っています」。

山野謙大阪府副知事が大阪府民を代表して支援物資を受け取り、心からの感謝を述べた。「ご存知のように、大阪府でも日本全国でも、新型コロナウィルスの感染者は増え続けています。感染症拡大防止の戦いにおいて最も重要なのは医療体制の整備と医療資源の確保です。本日お寄せいただいた医療物資は、医療現場の第一線で使わせていただきたく存じます。日本国民並びに大阪府民は、中国における感染症拡大に際して、マスク等支援物資の形で我々の気持ちを届けました。大阪府は1月に関西国際空港から入国する中国人観光客に対して、10万枚のマスクを配布させていただきました。日本には『まさかの時の友こそ真の友』という言葉があります。日中両国の感染症との戦における助け合いは、友情の証であり、必ずや共に勝利を手にすることができると信じています。そして、この度の相互支援を通じて、両国国民の友好感情がさらに深まることを願っています。本来ならば、府庁舎の窓から見える大阪城は多くの外国人観光客で賑わっているはずですが、感染症の影響で観光客の姿はありません。一刻も早く再び大阪城に中国から多くの観光客をお迎えできるよう、大阪府も一丸となって収束に努めてまいります」。


左から西村浩・伸和工業株式会社社長、王炳華・国家電力投資集団公司会長、
刁旭・上海電力日本株式会社代表取締役、王運丹・上海電力股份有限公司会長(役職は2018年当時)

寄贈式に参列したある在日華僑は、本誌の取材に答え次のように話した。「一衣帯水の中日両国には、礼儀や義理といった共通の文化があります。日本社会各界が中国に支援の手を差し伸べ、中国はマスクの生産能力が回復するとすぐに恩返しをする。こうした良好なコミュニケーションによって両国国民の理解と信頼は深まりました。新たに生まれた『マスク外交』という言葉は、困難な中でお互いを気遣うという両国の関係を表しています」。