シルクロードの美術コレクションは「一带一路」に寄与
平山郁夫シルクロード美術館 開館15周年記念式典を開催


平山美知子名誉館長(中央)と来賓による記念撮影

「お互いを知るには遠いか近いかは関係ない。万里を離れても隣人となりえる」。ユネスコ親善大使であった平山郁夫氏は中国人民の古き良き友人である。氏の中日文化芸術交流及び人類文化遺産保護への卓越した貢献に対し、「中日友好の使者」の称号や「文化交流貢献賞」が贈られている。平山郁夫氏は、生涯でシルクロードの視察に70回以上赴き、その行程は地球の20数週にあたる80万㎞にも及び、「当代の玄奘法師」と呼ばれた。1990年、ユネスコの「シルクロード基金」設立に100万ドルを寄付し、敦煌学研究を支援した。1994年には2億円を寄付し、中国敦煌石窟保護研究基金会を設立した。

2004年、平山郁夫氏は美知子夫人とともに山梨県に「平山郁夫シルクロード美術館」を設立。40年をかけて、西はローマから東は中国・日本まで、ヨーロッパ、西アジア、中央アジア、東アジアの37カ国・地域から収集された絵画、彫刻、工芸品は10000点に及び、シルクロードの多様な文明を紹介している。「平山郁夫シルクロード美術館」は、最も包括的かつ体系的にアジアのシルクロード文物コレクションを収蔵する文化施設のひとつである。

2019年8月26日、平山郁夫シルクロード美術館の開館15周年記念式典が盛大に開催された。孔鉉佑中国駐日本国特命全権大使、自民党幹事長の二階俊博衆議院議員、青柳正規元文化庁長官、長崎幸太郎山梨県知事、渡辺英子北杜市長、株式会社黄山美術社の陳建中社長等、中日の来賓が出席し挨拶した。


平山廉美術館理事長、二階俊博自民党幹事長、孔鉉佑中国駐日本大使、
長崎幸太郎山梨県知事、渡辺英子北杜市長、青柳正規美術館代表理事が登壇し、挨拶

孔大使は、平山郁夫氏の中日友好交流と中国の文化遺産保護に対する卓越した功績と、日本の近代絵画の巨匠として、中日両国の芸術の交流・協力の推進に果たした多大なる貢献を感慨深く振り返った。「平山先生の弛まざる努力によって、今日、シルクロードは国際社会に広く認識されるようになりました。先生が数十年一日の如くに中日友好に尽力し、芸術文化交流を推進し、敦煌文化遺産の保護に献身されたことを、多くの中国人民が高く評価しています」。

孔大使はさらに、「シルクロード文化の核心は平和、協力、発展です。中日両国の有識者が平山先生の志を継ぎ、中日両国民の国民感情を増進し、『一帯一路』沿線諸国と心を通わせていかれるよう期待申し上げます」と挨拶した。

二階俊博幹事長は、平山郁夫氏との交流を振り返りながら、平山先生への感謝と尊敬の念を行動に変えて美術館を繁栄・発展させていきたいと呼びかけ、「美知子夫人は私と同じく和歌山県のご出身で、奥様を通じて、平山先生から和歌山の文化振興についてご指導いただきましたことに、この席をお借りして改めて感謝申し上げます」と挨拶した。


コレクションを熱心に鑑賞する二階俊博幹事長

長崎幸太郎山梨県知事は、「平山郁夫シルクロード美術館は『地域の宝』、『山梨県の宝』であります。同時に、山梨県の芸術創造の拠点、日本と中国とシルクロード沿線諸国の交流の拠点となることを願っています」と述べた。

渡辺英子北杜市長は、「北杜市はこの15年間、美術館とともに歩んで参りました。この美術館は2004年6月に開館しました。その年の11月に、市町村が合併して北杜市が誕生しました。平山先生は北杜市の第一号の名誉市民であり、今も名誉市民は平山先生お一人であります。この美術館が市民のみならず県民、日本、そして世界との芸術交流の場所となることは我々の誇りであります」。

青柳正規美術館代表理事は、平山氏の偉業を讃嘆し次のように挨拶した。「平山先生は私財を投じ、三つの大きな事業を成し遂げられました。一つ目に、芸術文化を通じて世界平和と国際交流を推進されたこと。二つ目に、世界的規模で文化財の保護を進められたこと。そして三つ目に地域貢献です。先生が10年前にお亡くなりになった時は、正に「巨星落つ」という感じで、この三つの偉業をどうやって引き継いでいけばよいのだろうと不安にかられました。今は安堵しております。この場をお借りして、黄山美術社の陳建中社長に感謝申し上げたいと思います。陳先生のご尽力のもと、2018年に「平山郁夫のシルクロード世界」展を中国の七大都市で開催し、高い評価を得ることができました」。


陳建中社長が孔鉉佑大使に「平山郁夫のシルクロード世界」中国巡回展を報告

陳建中社長は『人民日報海外版日本月刊』の取材に答えて、「平山先生の足跡を辿り、中日の文化交流に取り組み、シルクロード文明の精神を伝えていくことは、私の幸運であり責任なのです!」と語った。

平山氏の夫人である平山美知子名誉館長、長男の平山廉理事長、夫人の平山東子館長が参列者に歓迎と感謝の言葉を述べた。

かつて平山先生は「生命の悠々たる大河の流れにあっては、誰もがほんの小さな塵でしかありません。しかし、誰もが自分の居場所をもっているのです」と語った。平山郁夫シルクロード美術館には、詩や異郷への憧れ、美と平和への感応だけでなく、偉大なる精神の洗礼がある。平山郁夫シルクロード美術館は「一帯一路」沿線諸国・地域の人文交流事業に新たな章を綴るであろう。