日本企業とECビジネスでウィンウィンを目指す
第2回「中国電子商取引法」セミナーを開催

2月22日、池袋としま産業振興プラザには100人近くの貿易、ECビジネス、薬品・化粧品メーカーなどの日本企業の担当者が集まり、第2回「中国電子商取引法」セミナーに入場するため長い列を作った。

中国の「電子商取引法」が2019年1月1日から施行され、日本の電子商取引関連企業の収益は急降下している。これまでは日本の大企業も中小企業も、自社の高品質製品を中国の購入代行業者たちの爆買いに任せているだけでよかったし、日本製品の宣伝も無料でしてくれていた。しかし、代理購入業者も中国国内で会社を設立し税金を納付しなければならないという内容の「電子商取引法」が公布されたのにともない、以前のような「ぬれ手に粟」のビジネスモデルは強制終了させられたのである。

多くの日本企業の不安を取り除き問題を解決するため、今回のセミナーには、深圳経貿文化促進会の会長で本誌編集長の蒋豊、ベリーベスト法律事務所パートナーで中国弁護士の翁道逵氏、株式会社ゴールデンブル社長で日中グローバル企業連合会会長の金幸健一氏という強力な講師陣を迎えた。講師たちはそれぞれ、「中国ECビジネス新時代の理解と対応」、「中国新電子商取引法の挑戦―新電子商取引法解読」、「日中貿易の現状と業界の新動向」のテーマで講演をおこなった。

蒋豊編集長は、「今日の国際ビジネス環境は複雑であり、米中貿易摩擦によって中国の経済成長も影響を受けている。ここ数年中国の電子商取引が大きく発展する中、電子商取引法の施行によって、日本企業はその販売モデルを見直す必要があり、中国の主流メディアと提携し、自社製品をPRする必要がある。今年の春節に日本製品の販売額が下降したことは、明らかに中国の訪日観光客の消費モデルが『モノ』消費から徐々に『コト』消費へと変化していることの現れである。現在、中国の訪日観光客数は依然として増加傾向にあり、日本はその製品の品質とサービスの水準を向上させ続けると同時に、訪日観光客の経済効果の成長ポイントを創造する必要がある」と強調した。

ベリーベスト法律事務所の翁道逵弁護士は「電子商取引法」について詳しく解説した。まず「電子商取引法」の立法過程を紹介し、この法律の立法審査時に4回の審査という特殊な現象があったことに着目した。通常、一般的な法律は3回の審査で通過するのだが、「電子商取引法」は3回目の審査の後にも多くの修正が加えられた。これは中国が電子商取引業界の規範化を重視していることの現れであり、また電子商取引業界がすでに中国の経済成長を支える柱の一本になっていると指摘した。そして、「電子商取引法」と経営者との関係、「電子商取引法」の適用範囲、海外の電子商取引の注意すべき法律の要点とグレーゾーン、そして最近の各大規模プラットフォームのクロスボーダー電子商取引の新戦略などについて全面的、多角的な解説をおこなった。最後に、今はまさに日本企業がさらに規範化された中国での電子商取引、貿易を進める絶好の機会であると強調した。

株式会社ゴールデンブルの金幸健一社長は3人目の講師として登壇し、中国の「電子商取引法」はクロスボーダー電子商取引をさらに規範化させるものであり、日本の正規企業にとっては良いシグナルだと述べた。そして、日中貿易の重要性を考えると、規範化された後の電子商取引市場は日中間の関税の引き下げに影響を与えるだろうとした。さらに、2019年10月に日本で消費税が10%に上げられると、外国人観光客向けの免税店にとっては有利になると予測した。また、訪日観光客の窓口としての日本製品の役割を重視する必要があり、もし日本訪問期間の観光客に日本製品の品質が高いことを気づかせることができれば、彼らが口コミで自発的に広めてくれ、日本製品のファンを増やしてくれると説明した。

参加者からは、2019年の「黒い」春節を経験し、企業の存亡にもかかわる中国の「電子商取引法」の情報を急いで集めている。日本の多くの販売業者、メーカー、ドラッグストア経営者に将来の成長の道筋を示すためにも、さらに、現在の日中関係の「ハネムーン」期間中にともにクロスボーダーECビジネスの規範化に向かっていくためにも、こうしたセミナーを継続して開催してほしいと要望があった。