教育支援を使命とする新華人・露崎強

9月21日は横浜山手中華学校の創立120周年の記念式典が行われた。その中、本誌理事で日本深圳経貿文化促進会の副会長を務め、在日華人一の富豪といわれる日本CHIグループの露崎強代表取締役社長が、同校に500万円寄付したことに対し、程永華駐日大使から感謝状が贈られた。露崎氏は今年前半、神戸中華同文学校にも500万円を寄付しており、李天然大阪総領事からも感謝状を受け取っている。

露崎氏は中国の改革開放後に来日した新華人であるが、日本の華人教育事業に対する多額の支援は、日本の華僑華人社会で美談となっており、同時に華僑華人社会に大きな啓示を与えるものとなっている。

中国の改革開放政策により、露崎氏は大勢の中国人学生とともに日本に留学し、艱難辛苦の末に日本社会の中で成長しようと何度も起業し続け、ついには観光ホテル業界で頭角を現した。今日では14の観光ホテルを所有するまでとなり、日本の華人たちには「ホテル大王」と呼ばれている。

一人一人のサクセスストーリーには多くの涙と汗と血が流されているものだが、露崎氏も例外ではない。彼の努力は新華僑華人の成長の縮図であり、彼の成功は中国の改革開放政策によって得られた新華僑華人の満足感を体現したものである。これらはみな海外の華僑華人共通に誇りとするところである。

さらに称賛すべきは、露崎氏が成功していく過程でずっと初心を忘れなかったことである。当時、中国で学生だった彼は経済的に恵まれなかった。一言で言えば貧乏だった。彼は大学に入学した後に、現代中国に生まれたビジネスに身を投じる大学生の仲間入りをし、発足したばかりの深圳経済特区に金鉱を掘りに向かった。

そんな経歴のためか、露崎氏の心の中で「教育」はどうしても解決できないコンプレックスとなった。日本で起業してほどなく、彼は日本語学校を創設し、多くの中国人子女が言語の壁を乗り越えて日本の高等教育機関に入学できるよう支援した。現在では、日本で立ち上がるという段階から、突出するという段階に入っているが、彼の視線はなお教育に注がれており、今年の中華学校に対する多額の寄付によって、新華僑華人界の教育支援の第一人者となったのである。

人が多く集まれば大きな力となる。華僑華人の支援があってこそ、日本の中華学校は発展できる。過去にも多くの老華僑が生活を切り詰め、成功してから気前よく寄付をして、中華の文化と伝統を伝え続けるべく学校を支援してきた。現在、新華僑がそれを受け継いで学校を支援し、日本の華人教育が盛んになり、新しい成果を出しているのを見れば、老華僑は満足を感じることだろう。

もちろん、露崎氏が何度も教育支援を行っていることにしても、駐日大使や駐大阪総領事がそれに対して感謝状を贈っていることにしても、成功しても初心を忘れず使命を全うするということを、新華僑華人に全身全霊で呼びかけているのである。

海外の華人教育事業は、大きな意義を持つ。歴史が長く深遠な中華文化を伝えるだけでなく、さらに海外の華僑華人の次世代に対するルーツの育成、つまり伝統のルーツに生命という水を注ぎ、中華というルーツを結実させる役割がある。

日本の新華僑華人は露崎氏を鑑とし、自身の手本として、海外の華人教育事業に自らの持つさまざまな力を提供し、新しいパワーを形成していかねばなるまい。

海外華人教育事業に対し、日本の華僑華人が尽力するのは、「成功は自分だけのものではない」という気持ちがあるからだ。しかし、華人教育事業のこれからを展望すると、さらに「成功するには自分が必要だ」という決意と行動が必要だろう。