中国製造2025訪日調査団がインターネット協会理事長を訪問

4月は学ぶ交流の季節だ。

4月17日、中国製造2025訪日調査団の19名の各界のエリートたちが東京日比谷公園を見下ろす株式会社ブロードバンドタワーのあるビルを訪問し、インターネット協会理事長で、『人民日報海外版日本月刊』理事長である同社の会長兼社長CEOの藤原洋氏と意見交換をおこない、労働集約型の製造業からデジタルトランフォーメーションと環境保護型へ、いかに成長させるかについて熱心な議論を繰り広げた。

藤原理事長は日本のインターネット業界をけん引する人物であり、2010年、世界ではじめて「第4の産業革命」の概念を打ち出した。グループ傘下に上場企業3社を擁し、同時にSBI大学院大学の副学長、京都大学大学院特任教授、慶応義塾大学特別招聘教授、東京大学大学院客員教授などを務めている。

藤原理事長は自己紹介の際、自身は長年科学技術に従事しており、科学技術によって世界を変えたい、人々の生活を改善したいと思っていると語った。第4の産業革命とは、環境、エネルギー技術とネットワークの大融合であるとした。

「AI製造とインダストリー4.0 基準制定検討サミット」に出席した中国の企業家たちは、「IoT」をいかに新たに定義するかを質問し、藤原理事長はトヨタ式カイゼンの7つの特長を紹介した。日本の製造業はこの7つの特長に添って改善をおこなっている。なぜ日本に改善が必要なのか。藤原理事長は極めて具体的なデータを示した。インターネット経済が端緒に付いた1994年、中国のGDPは5600億ドル、米国は7.3兆ドル、日本は4.8兆ドルであった。2014年、中国のGDPは18.6倍に増え、米国は2.4倍、日本は3.4%縮小した。藤原理事長が、さらにドイツ、フランス、英国、オーストラリア、韓国など、11カ国のGDPの変化を追跡した結果、縮小したのは日本だけだということが分かった。日本の人口は2006年に1億2774万人に達した後、下り坂に転じ、今後100年間に人口は三分の一前後に減少する可能性もある。真の幸福度、富裕度を体現できるのがGDPであり、日本は人口減少の中で個人の労働生産力を上げることを考える必要がある。そこで、ロボットに人の仕事を代わりにさせるIoTモデルが出現した。

その上で、藤原理事長は、インターネット時代に入ってからの20年間で、世界のイノベーション企業の上位50位以内に日本企業は一つも入っていないという調査結果を紹介した。日本企業は利益を出し続けているものの、イノベーションの分野では進歩しておらず競争しないという事実がある。つまり、日本は生産方式の改善によって新しいものを生み出しているのである。

藤原理事長の紹介では、事実上のIoTの発明者はまぎれもなく、一人の日本人、坂村健氏であることが分かった。彼は2015年に 国際電気通信合(ITU) 150周年賞を受賞した、情報通信に卓越した貢献をなした6人のうちの1人である。

参加者の中国人企業家は、IoTとAIの出現により、多くの失業者が生まれるのではないかと疑問を投げかけたが、藤原理事長は、人間本位なのか機械を優先するのかということで、企業の経営理念と制度設計から決められるものだとした。別の参加者のトランプ大統領の「アメリカの製造業の復活」をどう見るかという質問に対し、藤原理事長ははっきりと「時代遅れだ」と回答した。

では、藤原理事長の率いる株式会社ブロードバンドタワーはIoTにどのような貢献ができるのだろうか。藤原理事長は、高精度、低コストのセンサーと、高速、安全、低価格の無線通信網がIoTに必須の技術であり、ブロードバンドタワーはこの二つの技術に貢献できるとした。

その他、中国の数之谷データ科技有限公司の王志軍会長、雲南経済管理学院の楊紅衛院長、大連理工大学常州研究員の李強院長、山東黙鋭科技有限公司の単海山工程総監督、北京工業大学博士課程の黄永賜主任教授、武漢科技大学の黄天蔚博士などが次々に藤原理事長に質問し、活発に交流した。

藤原理事長は中国市場とイノベーション人材を有望視している。インテルのゴードンムーア、マイクロソフトのビルゲイツ、クアルコムのアーウィンジェーコブズが第3の産業革命を実現したが、では第4の産業革命は誰が実現するだろうか、もしかしたらここにいらっしゃる皆さんかもしれない、と最後に参加者を激励した。

藤原 洋

インターネット協会理事長

(株)ブロードバンドタワー会長兼社長CEO

『人民日報海外版日本月刊』理事長