「新潟春節祭」の新時代における新たな試み

2018年が明けて早々、中部地方で開催された「名古屋春節祭」は大盛況のうちに幕を下ろした。西日本では「福岡春節祭」の準備が始まる。その間隙を縫うように、2月1日から3日まで日本海地域では「新潟春節祭」が盛大に開催された。

日本では春節を祝わなくなって150年近くになるが、近年、日本各地の中国総領事館、華僑団体及び地方自治体、企業、民間団体の協力の下、日本地図には「春節祭」の紅い前線が静かに伸び、冬の日本列島のあちこちを深紅の暖色に染めている。

12回を数える「名古屋春節祭」に比べれば、「新潟春節祭」の歴史は浅く4回を数えたばかりだ。筆者は幸運にも4年連続して参加し、中国駐新潟総領事館と華僑団体による、年ごとに趣の異なった「春節祭」を堪能している。

今年の「新潟春節祭」は先ず、中日関係の「初心を忘れてはならない」とのメッセージが際立っていた。周知のように、新潟は故田中角栄首相の故郷である。今日に至っても、田中角栄氏の生涯については賛否両論あるが、1972年の中日国交正常化への貢献は高く評価されている。

2015年以来、中国駐新潟総領事館と華僑団体が主催する「新潟春節祭」は、現地の日本人に、両国にはかつて春節を祝う習慣があったという中日の民族文化の「出発点」を教え、「水を飲む時、井戸を掘った人のことを思う」とのメッセージを伝えている。

そして、中日関係の発展に重要な貢献をした日本の政治家に想いを馳せ、中日両国は世世代代にわたって友好を永らえていかねばならないとの「初心」を訴えている。そのため、「新潟春節祭」の開幕式に出席する日本の政治家のランクは次第に高まり、地域全体の対中感情にも影響を及ぼしている。

また、今年の「新潟春節祭」は日本人の文化的共感を喚起するものであった。過去三回の「新潟春節祭」は「食文化」に光を当て、華僑華人や留学生の屋台だけでなく、国内の有名シェフや老舗も招かれていた。

今年は甘粛省の芸術団「甘粛省歌劇院」を招聘し、「敦煌の調べ~シルクロードへの誘い」が三度上演された。多くの日本人にとって「敦煌」は眠れる記憶であるとともに、潜在的に文化の一部となっている。

平山郁夫画伯は『敦煌』を描き、作家の井上靖は『敦煌』を著した。竹下登元首相の敦煌への憧憬もよく知られている。さらに、NHKがドキュメンタリー番組を組むなど、敦煌は日本人の間に深く根ざしている。

いま、「敦煌」の故郷からやってきた舞台は、新潟の人びとを魅了する。上演ごとに満席となり、チケットは抽選でしか手に入らない。このことは、中日両国民の心の交流と相互理解の促進には、「共感」に基づいた努力が必要であることを教えている。

さらに、「新潟春節祭」には中国新時代の要素が色濃く出ていた。昨年開催された中国共産党第十九回全国代表大会から、中国は新時代に入った。その特色の一つが「一帯一路」戦略構想の提唱と推進である。

多くの日本人が「一帯一路」を認識していないこの時に、「新潟春節祭」で上演された「敦煌の調べ~シルクロードへの誘い」は単なるロードショーではない。それは、「一帯一路」の歴史の淵源とその美しい未来を、歌と踊りによって表現してくれている。

日本各地で、中国総領事館と華僑団体の手による「春節祭」が活況を呈する時節、通り一遍でない、新時代にマッチした新しい言葉で語りかけ、新しい音を伝え、新しいコンセプトを創造する「新潟春節祭」は称賛に値する!