中日介護技能実習プログラムが始動
日本人介護専門スタッフ、中国での現場研修を実施

如何に優れた技能で有効に体の不自由な高齢者を介護するか。如何に心を尽くしてお互いの信頼を築くか。如何に忍耐強く高齢者の要求に応えるか。9月13日、大連雅風国際語言培訓学校で、初となる介護技能研修の講義が行われ、生き生きとしたデモンストレーションに、ひとしきり拍手が鳴り響いた。

日中介護プログラム委員会※は、中日両国が協力して高齢化社会に対応することを目的として、日本から国家資格をもつ専門スタッフを中国へ派遣し、中国で初となる介護技能研修を実施。厳しい選考を経た中国の学生60数名がこれを受講した。

同委員会の基本理念は「中日の関係改善は大局を見ながら小さなところから取り組むべき。高齢化の問題は両国共通の課題であり、両国が協力の基盤を固めれば展望が開ける。介護事業の交流・協力は中国の『一帯一路』、『走出去(海外進出)』戦略に符合するとともに、日本の介護人員不足と高齢化社会をカバーし互いの利益となる。信頼と互恵を前提に中日が誠実に協力し、自国資源の比較優位を発揮して、長期にわたる安定した協力体制を構築し、両国の技術と経験を交流する」こととしている。

医療法人社団ときわ会の神原章僚会長は、「中国の学生ができるだけ早く日本の介護技術を習得できるよう、委員会では各分野の専門家を招き、実習計画について検討を重ねてきた。そして、国家資格をもつ介護福祉士及び実践型の通訳を直接中国に派遣し、中国の学生達に講義と技能指導を行うことを決定した」と話した。

社会福祉法人かつみ会の伊藤重来会長は、「今回の研修では、日本の専門スタッフは、各介護施設が必要としている介護技能をまとめ教育内容に組み入れた。理想的な介護とは何か、学習の重点は何か、どんな課題があるか等、すべてを実体験に基づき指導をした」と紹介した。

株式会社日本技能教育機構の牧野敬一氏は、「出来るだけ介護現場に近い状態で研修を行うため、通常の教室以外に、日本にある実際の施設の部屋と同じような環境を準備し、学生が実践的な研修を受けられるようにした」と説明した。

これらの工夫による実践型のトレーニングは、研修に参加した中国の学生達の意識を変えさせた。

吉林から参加した劉暢さんは、「『高齢者体験スーツ』や『高齢者体験メガネ』を着用すると、体は重く目はかすみ、高齢者の孤独と無力を切実に感じた。自分もいつかそういう状態になれば人の助けが必要になる。介護技能を習得して高齢者に有効な介護ができれば、快適な生活の手助けができるだけでなく、心の慰めになる」と話した。

河南から参加した凌帥婷さんは、「研修を通して、介護は単なる技術職ではないと感じた。介護者は適切な言葉と仕草で要介護者に情報を伝え、信頼関係を築かなければならない。介護者は要介護者の思考や身体の状況をよく知る必要がある。人それぞれ必要とする介護は異なり、機械操作のように一律であってはならない。ヒューマンケアが重要なのだと感じた。介護者と要介護者が中国人と日本人であった場合、介護を通して築かれた深い信頼関係は、人間対人間に止まらず、中日の国民間の信頼関係にも波及し、両国の国民感情の促進にも重要な役割を果たすと思う」と語った。

同委員会は、受講生の様々な意見を集め、成果を検証と改善を行いながら、今後も研修を続ける予定。今後、実施が予定されている介護分野での技能実習に対するスムーズな実習開始に対する研究を引続き行う。

 

 

日中介護実習プログラム委員会

現在、中日両国は高齢化問題に直面しており、介護者の育成は高齢化社会における最重要課題である。両国の高齢者介護事業の発展及び専門技術者養成のために専門家により組織された。

社会福祉法人かつみ会及び医療法人社団ときわ会が委員長を務め、雅風国際教育、株式会社日本技能教育機構、株式会社日中韓・国際会計法務事務所、聯橋国際合作集団有限公司、にっぽん(つくば)技術振興協同組合で構成される。

同委員会は、中国で初の実習プログラムを始動した。当委員会が派遣した国家資格をもつ各分野の専門スタッフが、マンツーマンで中国の介護職員に研修を行い、研修終了後は日本での技能実習が計画されている。