日本の政財界、文化界、華僑界が祝う
東方出版社東京支社を設立
中国メディア編集長と華人作家が編集長、顧問に

9月20日、準備期間3年を経て、中国で最も権威を持つ人民出版社の傘下である東方出版社の東京支社は産声を上げた。在日華人メディアの日本語版『人民日報海外版日本月刊』及び中国語版『日本新華僑報』の編集長である蒋豊が東方出版社東京支社編集長に、著名な華人作家である李長声氏が同社顧問に就任した。同社は日本で、版権、出版、翻訳、編集、取材、印刷等の業務を広く展開する。


黄書元人民出版社社長(右4)、潘少平東方出版社総裁(右3)
許剣秋同社編集長(左3)、喩陽同社『新華文摘』雑誌社編集長(右2)

この20年間で人民出版社傘下の東方出版社は80社以上の日本の出版社と提携し、500冊以上の日本の書籍を中国語で出版している。その中には、京セラの稲盛和夫氏、オリックス創業者の宮内義彦氏、インターネット協会理事長でブロードバンドタワー会長兼社長CEOの藤原洋氏、株式会社ストライプインターナショナル社長CEOの石川康晴氏ら、日本経済界のリーダーたちの著作も含まれており、中国で多くの読者を獲得しているだけでなく、日本国内の政財界、文化界、華僑界でも好評を得ている。


潘少平東方出版社総裁から本誌編集長蒋豊に東方出版社東京支社編集長の委嘱状授与

9月21日、ホテル椿山荘東京でおこなわれた「中国・東方出版社東京支社設立記念祝賀会」には、福田康夫元首相、中国大使館の劉少賓公使、西田実仁参議院議員、日中友好議員連盟幹事長の近藤昭一衆議院議員、「経営の神様」稲盛和夫氏、全日本華僑華人連合会の顔安会長など、日中両国の政財界、学術界、華僑界から150人が参列した。

福田康夫元首相はあいさつの中で、「ご存知のように東方出版社は中国で最も権威のある出版社の一つで、人民出版社傘下の会社です。東方出版社日本支社は本日設立されましたが、今後の日中両国がこれを契機に密接な関係となることを期待しています。私個人としても、これは大変喜ばしいことで、さきほど、今回来日された人民出版社の黄書元社長とお話させていただき、東方出版社が日中両国の文化交流を非常に重視しており、稲盛和夫先生の多くの書籍を出版し、発行部数の目標が1000万冊であることをお聞きしました。東方出版社には大きなパワーがあります。私の本は中国でそんなに売れるかどうかは分かりませんが…」とユーモアを交えて語った。最後に、「今後、東方出版社の影響力が日本の隅々にまで伝わり、また東方出版社が継続して日中関係を更に密接にし、友好的に発展させることを期待しています。」と述べた。

村山富市元首相は故郷の大分県から祝電を寄せ、「東方出版社は日中友好の促進に大きな役割を果たして頂きましたが、東京支社の設立により更にその活動が拡大強化され、日中友好の交流がより広く深くなるものとご期待申し上げます」とした。

石井啓一国土交通大臣は、「皆様の日頃のご努力に心より敬意を表する次第です。東方出版社東京支社の更なるご発展を心よりご祈念申し上げます」と祝電を寄せた。

また、安倍晋三首相の側近である自民党総裁特別補佐官・下村博文衆議院議員の代理として秘書がお祝いに駆けつけた。

中国大使館の劉少賓公使はあいさつの中で、「東方出版社東京支社の設立は、確かに日中両国文化界におけるビッグニュースであり、中国大使館を代表して心からお祝いを申し上げます」、「来年は日中国交正常化45周年であり、東方出版社東京支社がさらに素晴らしい作品を出版し、両国民間のさらに高いレベルでの交流に貢献し、両国のプラスのエネルギーを増加させてくれることを期待しています」とした。

黄書元人出版社社長はあいさつの中で、近年の日中両国の出版交流や東方出版社が出版した「経営の神様」稲盛和夫氏の一連の著作がすでに500万部以上となっていることを紹介し、「出版は思想の交流であり、文明の融和であり、異文化コミュニケーションの重要な媒体です。われわれは東方出版社東京支社を設立し、主に思想人文系の書籍や人類共通の課題に着目した雑誌を刊行します。習近平国家主席は『平和、発展、公平、正義、民主、自由は全人類が共有する価値観である』と述べています。グローバル化した今日、人類は運命共同体、すなわち『運命を共にする相互依存』の関係です。中日両国社会はともに責任と義務があり、全人類共有の価値観を浸透させ、人類の運命共同体を構築し、過激な思想の拡大を防ぐために、貢献しなければなりません」と話した。

文化、芸術、スポーツ交流で日中関係を進展

公明党の山口那津男代表が黄書元一行と会談

文/本誌記者 原田繁

9月21日、公明党の山口那津男代表は衆議院第二議員会館で「中国・東方出版社日本支社設立記念祝賀会」に出席するため来日した中国人民政治協商会議(政協)全国委員である人民出版社の黄書元社長、東方出版社の潘少平総裁、許剣秋編集長ら一行と会談した。

山口代表は冒頭、東方出版社日本支社の設立に祝意を表し、「書籍出版の交流を通じて、お互いによく知り合うことが日中両国の国民感情の好転につながると信じています。皆さんの果たされる役割に敬意を表します」と述べ、黄書元社長は「書籍出版事業は知識を伝え、向上させ、民心を勝ち取る仕事です。われわれは東方出版社日本支社の設立によって、中日両国民の相互理解をさらに深めたい」と話した。

程永華駐日大使が黄書元社長一行と会見

大使館に「人民・東方図書コーナー」

文/本誌記者 呂鵬

9月20日、中国人民政治協商会議(政協)全国委員である人民出版社の黄書元社長一行は駐日中国大使館を訪れ、中国人民政治協商会議(政協)全国委員の程永華駐日大使を表敬訪問した。

黄書元社長は設立したばかりの人民出版社傘下の東方出版社東京支社の立ち上げの背景について程大使に紹介し、これにより中日文化交流をさらに推進させたいと述べた。

程大使は、ここ数年日本の新聞雑誌や出版界は中国に対する「選択性報道」によって日本国民の中国に対する認識を偏向させており、大使館は人民出版社のこの度の事業を支持し、大使館文化処が具体的に対応すると述べた。

また、黄書元社長は、人民出版社と東方出版社は大使館に1000種類の図書を寄贈して「人民・東方図書コーナー」を設置することで、「私は中国の出版界と外交界との提携を望んでおり、中国の外交官にさらに良好な読書環境を提供したい。人民出版社と東方出版社は率先して役割を果たしたい」と話した。

会見後、黄書元社長は自身が編集した『朱鎔基講話実録』の電子版を程大使に贈呈した。

 福田康夫元首相が日本語版出版を後押し

日本の政界で関心を呼ぶ『胡錦涛文選』

文/本誌記者 蒋豊

9月21日、福田康夫元首相は東京でおこなわれた「中国・東方出版社東京支社設立記念祝賀会」に出席した。

式典前、福田康夫元首相は記念式典に出席するため来日した中国人民政治協商会議(政協)全国委員である人民出版社の黄書元社長一行と会談した際、黄社長が編集した『胡錦涛文選』が北京で出版されたばかりであることを知った福田元首相は、もともと15分間だった会談時間を40分間に延長した。

福田元首相は、「『胡錦涛文選』が出版されたことを聞いて大変うれしい。『胡錦涛文選』日本語版の出版を推進できればいいと思う。東方出版社東京支社の設立後、私も一緒にこの事業に取り組みたい。また、法政大学の王敏教授を翻訳者として推薦する」と述べた。

そして自身の首相任期中、日本で胡錦涛前国家主席の訪日を迎え、日中関係の第四の文書と呼ばれる『日中の戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明』を締結したことを紹介した。

黄書元社長は福田元首相の長年にわたる日中友好への貢献に感謝し、同時に『胡錦涛文選』の出版が日中両国の相互理解と友好交流を推進させることを願っているとした。


福田康夫元首相と意見交換する黄書元人民出版社社長

 

「スカルプブラシ」で有名なエス・ハート・エス株式会社を訪問
「周恩来ここに学ぶ」の記念碑(東京神田)前で記念撮影
医療ツーリズムをサポートする企業「霓虹医療直通車」(陳建代表、前左)を訪問

 

人民出版社社長、日本で文化視察

文/本誌記者 呉暁楽

9月19日、北京で『胡錦涛文選』の編集を終えたばかりの中国人民政治協商会議(政教)全国委員である人民出版社の黄書元社長が率いる一行が来日し、日本の政治家を表敬訪問し、華人作家と座談し、「中国・東方出版社東京支社設立記念祝賀会」に出席した。この期間中、黄書元社長は日本の文化視察をおこなった。

東京に到着した日は小雨が降っていた。黄社長一行はまず神田に向かい、「周恩来ここに学ぶ」記念碑を見学、湘南堂書店で本を購入、内山書店前で記念撮影し、東方書店で「東方コーナー」の設置を検討、さらに三省堂書店では日本の図書の翻訳と版権問題について話すなど、日本の図書文化を視察した。

9月20日、一行は「霓虹医療直通車」を見学、陳建代表から中国人に対する日本の医療サービスの提供について説明を受けた。黄社長は最近、習近平総書記が「健康中国」の建設を打ち出したことを紹介し、海外でも積極的に努力し、サービスや紹介を通して日本の先進医療技術を中国に導入し、中国の医療水準の向上に貢献してほしいと述べた。

9月22日、一行は大阪に向かい、日本のブラシ生産のトップ企業であるエス・ハート・エス株式会社を視察した。同社は「匠の精神」でブラシを製造し、頭皮の血行を良くし、毛根を保護し、痴呆を防止する各種機能の研究開発に力を注ぎ続けている。黄社長は「製品の製造に『匠の精神』があれば、製品の品質と内部も変化する」と感想を述べた。同日、一行は日本の雑誌社『経済界』西日本支社の世田徹社長と会談し、日中両国の企業家の交流促進について話し合った。

9月23日、一行は京都に向かい、「経営の神様」である京セラの稲盛和夫名誉顧問と会見した。これに先立って稲盛和夫氏は9月21日に東京でおこなわれた「中国・東方出版社東京支社設立記念祝賀会」に出席している。

稲盛氏は、「今日は私の会社に皆様をお迎えできて大変うれしい」と話し、黄社長は稲盛氏の一連の著作が中国で出版され、ベストセラーになり、その独特な企業文化が中国の企業家や若者に大きな影響を与えたと同時に、中日文化交流や両国国民の相互理解を促進する役割を果たしたと述べた。

さらに、東方出版社の劉剣秋編集長は稲盛氏の一連の著作が同社から500万部発行されていると紹介した。稲盛氏は再三感謝の意を表するとともに、引き続き東方出版社で自身の著作を刊行することに同意した。最後に84歳になる稲盛氏は一行の一人一人と記念撮影をおこない、自らエレベーター前で一行を見送った。


京セラ本社を表敬訪問、稲盛和夫名誉会長(左から2番目)と会見

東方出版社・在日華人作家座談会

いかに中国を語るかを検討

文/本誌記者 王継洲

9月20日、中国人民政治協商会議(政協)全国委員である人民出版社の黄書元社長は、『日本新華僑報』主催の「東方出版社・在日華人作家座談会」の席上、「中国のメディアが海外でいかに中国を語るかは、その国にいる華僑華人の作家やジャーナリストと密接な関連がある」と語った。

その日、黄書元社長が率いる代表団は、『日本新華僑報』でおこなわれた東方出版社東京支社の開業式に出席した。開業式は東方出版社の許剣秋編集長が執り行い、東方出版社の潘少平総裁が著名な在日華人作家である李長声氏に東方出版社東京支社顧問の委嘱状を授与した。


東方出版社東京支社の銘板除幕式

その後開催された「東方出版社・在日華人作家座談会」で、黄書元社長は「東方出版社東京支社設立の目的の一つは、この場を通してさらに日本理解を進めることであり、特に日本の中国に対する疑惑、疑問を理解し、その後焦点を定めて説明していくことにある。現在、中日両国は相互理解をさらに進める必要がある」と話した。

そして、「長年、われわれは中国のメディア、出版界は『海外進出』しなければならないと主張し、多くの努力を重ねてきた。現在、われわれメディア、出版界は『海外進出』した後、いかにその国に『入り込む』かという問題に直面している。つまりいかにわれわれの宣伝を“独り言”に終わらせず、その国の政財界や国民に受け入れられ、影響力を発揮するかということである」と述べた。

 
東方出版社と在日華人作家との座談会を開催

出席した在日華人作家たちはそれぞれの見解を発表し、積極的な提案をおこなった。日本ですでに50冊以上の著作を発表している莫邦富氏は率先して、「日本のような中国文化に関心のある場所で、中国を語ることはハードルが高い。われわれは日本人に向けて中国について語る時、日本人の好みに合わせる必要がある」と指摘した。

ベテラン作家である李長声氏は、「中国を語る時に最も重要なのはいかに語るかということだ。昔から日本人は中国から民間伝説、文化、文学を取り入れている。われわれは今まで真に積極的に中国文化を発信してこなかった。日本人に向けて中国について語る際には、日本人がいかに中国文化を取り入れたかを参考にすべきだ」とさらに進めて指摘した。

東京大学で客員研究員を務めた『中華新聞』の姜建強編集長は、「日本人と中国人の歴史に対する見方は違う。もし視点と観点を転換できれば、別な手段で日本人の思考に合わせられる。そうすればわれわれの語る中国も受け入れられるだろう」と提案した。


著名な在日華人作家・李長声氏(中)に東方出版社東京支社顧問の委嘱状を授与

『扶桑閑話』、『あなたの知らない日本』などの著作のある在日「草の根」作家の万景路氏は、「日本の文化は奥ゆかしさ、才知と切り離せない。われわれはそうした要素を考慮して中国を語った方がいい」と話した。

さらに、在日作家である黄亜南、賀強、汪先恩、汪致正、楊文凱、華純、韓氷の各氏も日本の出版物との比較を通して、東方出版社東京支社に具体的な提案と意見を述べた。

黄書元社長は在日華人作家たちの「中国を語る」上での貢献を高く評価し、「どの時代にもそれぞれの英雄がいる。どのような人物が時代の英雄になれるのだろうか。自己を超越し、時代のために貢献できる人物こそが英雄となる。皆さんは日本に長く住んでおり、日本人の感情や日本の風物、政治に理解が深い。皆さんこそがこの時代の英雄です」と称賛した。


9月20日、東方出版社東京支社設立式典での記念撮影