日本のアニメーション100周年プロジェクトが始動
第6期アニメビジネス・パートナーズフォーラム プレ開催シンポジウムを東京で盛大に開催

アニメビジネス・パートナーズフォーラム(ABPF)は、日本動画協会会員社のアニメ企業と一般参加のABPF会員の間でのビジネスマッチングを目指すフォーラム。ABPFは2012年から活動を開始し、アニメと異業種・新ビジネス開発に向けた様々なマッチングを実現してきた。2016年4月19日、第6期ABPFを迎えるにあたり、秋葉原UDX・GALLERY NEXT-1に過去最高300人超の参加者が集い、プレ開催シンポジウムが開催された。

冒頭、ABPFを主催する日本動画協会理事長の石川和子日本アニメーション株式会社代表取締役社長は、4月14日に発生した熊本地震で被災された方々に心を寄せて、自分たちにできることは何かと考えながら、できることを進めていきたいと挨拶した。

第1部、日本動画協会が推進する「日本のアニメーション100周年プロジェクト始動宣言。」では、プロジェクト推進会議座長の植田益朗株式会社アニプレックス取締役会長、同副座長の宮河恭夫株式会社サンライズ代表取締役社長、同副座長の石川和子氏、同委員の吉田力雄株式会社トムス・エンタテインメント特別顧問が登壇し、2017年に訪れる日本のアニメーション100周年を記念して日本動画協会が提案するプロジェクトの詳細を発表した。

「日本のアニメーション100周年プロジェクト」は、100年後の日本アニメの担い手たちのための創造基盤を作り、世代・性別・国境を越えた世界中の人々に「夢と絆・愛と勇気・心豊かな感動・生きる力」を伝えることを目的としたプロジェクト。

『機動戦士ガンダム』のシャアのコスプレで登壇した植田氏は、タイトル数1万1000超、エピソード数15万7000に及ぶ日本のアニメーションは世界に類を見ない唯一無二の財産であり、こうした日本のアニメが、今後どうやって世界の中で戦っていけるかを考え、そして日本のアニメ業界自体が、日本以外の国の協力・参画なしには成り立たないという国際的な視点が問われていく時代に来ていると話した。

さらに、産業市場規模で1兆7000億円弱というアニメ市場規模があり、コンテンツ産業規模では12兆を超えるマーケットであることを踏まえ、コンテンツ産業としてかかわってくる新たな部分にどのようにしてアニメーション、コンテンツ、そしてキャラクターが向き合っていけるかを真剣に取り組んでいきたいと語った。その上で、①「日本のアニメ大全」②アニメーション教育の取り組み及び人材発掘と育成③「アニメNEXT100」の3つを推進すると表明した。

これを受けて、吉田力雄氏は、「日本のアニメ大全」の趣旨は、アニメーションの歴史的分類をする上で、テレビシリーズ、劇場作品、商業アニメに限らず、アカデミックな見地から検証することで、日本のアニメ文化とその創造力を世界へ発信し、未来へつなげることだと述べた。

そして、アニメ大全の3つのプロジェクトの概要を説明。まず第1に可能な限りの作品情報を網羅し、歴史的文化を「データベース化」するとこによって、価値を可視化する。第2に「オーラルヒストリー」。これまで作品にかかわってきた先輩たちの証言を集め、作品価値を集約し、未来のクリエイターや研究者にレジェンドたちのメッセージを伝えていく。第3に、「国際シンポジウム」を開催し、世界に向けて日本のアニメーションを発信していく。

続いて、「アニメーションの教育、人材発掘、育成」について石川副座長が説明した。子供たちのアニメ教育は、未来におけるアニメの人材発掘という観点で、とても大切なことであり、子供たちの教育においてもアニメの果たす役割はたくさんあると述べ、ぜひ教育カリキュラムの中にアニメーション教育を取り入れていただけるように、国に対しても働きかけを積極的に行っていきたいと語った。

宮河副座長は、「アニメNEXT100」のポイントとして、日本のアニメーション文化とパワーを国内外に発信し、「国際フェスティバル×国際巡回企画展」や「企画上映会×シンポジウム、セミナー、カンファレンス」といった、アニメと産業の新しい関わり方や、アニメと先端技術のコラボレーションなどに注力すると述べた。

第2部、「アニメから始めるクールジャパン戦略~官民・異業種連携によるクールジャパン戦略が目指すものとは?~」では、慶應義塾大学大学院の中村伊知哉メディアデザイン研究科教授の進行で、宮河副座長と内閣府知的財産戦略推進事務局の浜野京政策参与が登壇し、官民・異業種連携での推進が期待されるクールジャパン戦略において、アニメ産業が果たす可能性について活発な議論が交わされた。

質疑応答では、登壇者が影響を受けたアニメ作品をそれぞれ披歴した。吉田氏は自身が制作に参加した『ルパン三世 カリオストロの城』、石川氏が大好きだったのは『キャンディ・キャンディ』、宮河氏は純粋な男の子を描いた『未来少年コナン』、植田氏はやはり『機動戦士ガンダム』だった。