ザ★刀剣――千年の匠の技と美
東京富士美術館で日本独自の伝統美――刀剣展を開催


月山貞利氏

一千有余年の伝統を持つ世界に誇る日本独自の美──日本刀。日本・八王子市の東京富士美術館では2016年3月29日より、同美術館所蔵の刀剣の中から、平安時代から現代までの日本国の重要文化財3振を含む47振の名品を紹介する本格的な刀剣展が開催されている。

3月29日の報道内覧会で、来賓として挨拶した奈良県無形文化財保持者で、全日本刀匠会顧問でもあり、800年の伝統を持つ月山一門の刀匠・月山貞利氏は、2012年12月、大相撲の横綱・白鵬の後援会が彼に太刀を贈ることになったが、それは白鵬自身が「日本の“魂”が欲しい、それは日本刀です」と申し入れ、その制作を月山貞利さんに依頼されたたというエピソードを紹介し、「今回の展示会では、海外でも評価の高い日本独自の伝統美を再認識してもらいたい」と語った。


報道内覧会の様子

 
重要美術品 刀 無銘 伝正宗(名物武蔵正宗)相模 鎌倉時代末期 刃長74.1cm、反り1.2cm刀剣博物館蔵 
一説では有名な剣豪・宮本武蔵が所有していたと言われている

東京富士美術館の五木田聡館長は「芸術の分野には絵画・彫刻など様々ありますが、日本刀は日本独自の芸術であり、他の国にはありません。日本の土や水など自然の風土から生まれ、日本人の精神性を象徴するものです。日本のみならず、中国やアジア、海外の方にもご来館いただき、日本独自の伝統美を新たに発見してもらいたい」と話した。

古代、中国大陸より鉄器が伝来し、日本に刀剣がもたらされ、平安時代後期には鎬造と緩やかな反りを持つ日本刀独自の姿に完成する。

鎌倉に武家政権が確立し、武士の文化が花開くとともに日本刀も黄金時代を迎える。鎌倉武士の美意識を反映し、各地域各派の刀工による鍛錬・焼入れ技法が発達し、数多の名工が生まれた。

続く南北朝時代には、戦乱の影響を受け、刃の長さ約90cm以上もある大きな太刀が流行するなど豪壮な造りが特色となる。

江戸時代、乱世から天下泰平の時代が到来すると、幕府により武士の大小二本指しが規定され、刀は宝物・贈答品としての性格を強めていく。各地の大名は刀工を抱え刀剣を作らせるが、刀工が活躍した中心地は江戸と大阪だった。

会期は2016年3月29日~7月3日まで。