中国企業の「お年玉」が表すもの

昨年末、兵庫県にある三田ソーラー発電所では、百名近い建設会社の作業員たちが帰郷せずに集合して、上海電力日本株式会社の刁旭社長一行が工事の検査を終えるのを待っていた。作業服に身を包んだ刁旭社長があちこち見て回り、工事の品質を一つ一つ認めたことに、作業員たちは安堵した。

また、刁旭社長がソーラー発電所の堤の上で、全員で記念撮影をし、彼らの仕事の成果を写真で留めようとしたことに、作業員たちは喜んだ。さらに工事の検査が終わった時、刁旭社長が現場の建設作業員たち一人一人に「お年玉」を配ったことに、作業員たちはびっくりした。お年玉の中身は1万円だったのだ。

「お年玉」! 中国企業が日本企業の従業員に「お年玉」を出す! 長年日本で記者をしている私は、すぐにこれが大きなニュースのポイントだと感じた。現場では、刁旭社長が「お年玉」を渡す時、微笑みながら一人一人の作業員にお辞儀をして感謝を表し、よい年を迎えるようにと挨拶していた。「お年玉」を受け取る長い列に並んだ日本人作業員も、全員子供のような笑顔を浮かべていた。

そばにいた工事を請け負った建設会社の日本人社長は、「日本でも、社長が年末に従業員にお年玉を配りますが、普通は3、4千円しか入れません」と話していた。刁旭社長はこの日本人社長に「200人以上の建設作業員がもう帰郷してしまった。今回は全員の分があるから、私に代わって渡してください」と頼んだ。日本人社長は「必ず年内に彼らに送ります」と答えていた。

中国企業が海外で新年に「お年玉」を出すことには、ただならぬ意義がある。まず、「郷に入れば郷に従え」ということで、海外進出を果たした中国企業がその国の風俗習慣を尊重していることを示している。

日本では新年は一年で最も大切な祝日であり、また日本人が最も大切にしている行事である。多くの日本企業では年末ボーナスを出した後、社長が個人的に「お年玉」を渡す。

今回、上海電力日本株式会社が日本の請負企業の作業員に「お年玉」を出すということは、日本の習慣を尊重していることを表している。これは、企業の「本土化」に有利であり、企業がその国に根付いて発展することを促すものである。

次に、中国企業が新年に海外で「お年玉」を出すことは、企業と現地従業員と間の距離を縮め、現地の企業と従業員に親近感を持ってもらえる。明らかに、中国の経済発展に伴って海外進出する中国企業はますます増えている。

彼らは進出先で成長すると同時に、いかに現地の企業や従業員と交流し、付き合うかという問題に直面している。多かれ少なかれ、一種の警戒感、一種の「心の壁」が存在しているが、そんな中、中国企業が新年に「お年玉」を渡すというやり方は、雰囲気を和ませ、心を通じ合わせることができ、それによって会社はますます発展するのである。

また、中国企業が新年に海外で「お年玉」を出すことは、中国企業の新しいイメージを創造する。少なくても日本では、中国企業の進出に対しては「経済の黒船の到来だ」、という声もある。

1853年、アメリカからの「黒船」により無理やり開国させられたように、中国台頭後の中国国営企業の日本上陸に対しては一種の不安感が漂う。

しかし、上海電力日本株式会社は折よく自らの行動によって、海を渡ってきた「紅船」(縁起のいい船)であると表明した。同社は中日民間友好を推進するため、両国経済の発展のため、両国の電力提携を助けるため、相互利益の確立のため、やってきたのである。

これは、海外進出する中国企業が樹立した一つの新しいイメージであり、またこの新しいイメージの樹立は静かに天地を潤す、温かい行動から生まれたのである。