「戦後70年・日中関係の未来を ひらくつどい」を東京で開催

本年は戦後70年の節目の年だが、歴史問題などにより日中関係はこれまでにない緊張関係にある。そうした中、今こそ戦後脈々と続いてきた日本と中国の民間における交流を確認し、日中が二度と戦争をすることのない関係をつくっていくとの趣旨で、9月11日から13日の3日間、東京の明治大学で「戦後70年・日中関係の未来をひらくつどい」が開催された。

9月12日、オープニングセレモニーで、主催者を代表し、呼びかけ人代表の姫田光義・中央大学名誉教授は「戦後70年の節目の年にあたり、これまでにない緊張関係にある日中関係を改善できるのは私たち、日本と中国の両国の市民です。このつどいが平和と日中友好を促進する上で大きな働きを果たすことを信じています」と挨拶した。

続いて、作家で呼びかけ人代表の石川好氏は「日中両国にはまだまだ未解決の問題があり、今後もまた新しい問題が起きるかもしれない。世界史の中の日中十五年戦争の意味を問い直す機会にしたい」と挨拶した。

来賓を代表して挨拶した中国駐日本大使館政治部の薛剣公使参事官は、中日両国の国民交流を積極的に進める必要性に言及。日本人の留学先が米国を抜き中国が一番多く、駐在する日本人は十万人に達している一方、日本を訪れる中国人観光客は昨年240万人を超え、今年は倍増するとの予測がある。これは中日2000年の交流史の中で初めてのことであるとし、「今、中日国民大交流の新時代を迎えようとしています。両国国民がフェイストゥーフェイスで直接交流することは相互理解を促進し、両国関係の長期的発展のための社会的基盤をつくることが出来ると確信しています」と強調した。続いて、白西紳一郎・日中協会理事長、顔安・全日本華僑華人連合会会長がそれぞれ挨拶した。

『清王朝と江戸幕府 歴史を踏まえて日中関係の未来を語る』と題して記念講演した作家で日本ペンクラブ会長の浅田次郎氏は、両国の歴史を広く踏まえた上で、これから両国はどう歩むべきかについて語った。

翌13日、日中の歴史を振り返り、平和と友好を願う三つの合唱団がコラボして、見事な合唱と舞踊劇を披露し、会場は感動につつまれた。そして、作家の石川好氏と漫画・映画評論家の石子順氏とのトーク「漫画展『私の八月十五日』について」では、故・高倉健さんの8月15日の思い出を書いた文章をちばてつやさんが漫画にしたパネルが紹介され、高倉さん本人による文章の朗読が披露された。

その他、小説「悪魔の飽食」で731部隊を描いた作家の森村誠一氏と同作を合唱組曲にした作曲家の池辺晋一郎氏との対談やパネルディスカッション、シンポジウムなどが3日間を通して活発に行われた。