中国のゲーム大手「KONGZHONG/空中網」が日本進出

中国におけるオンラインゲーム開発の大手「KONGZHONG/空中網」の日本法人である「KONGZHONG JP/空中網 JP 株式会社」(コンゾン・ジャパン)は、2014年9月18日から21日まで幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2014」に出展した。その期間中、実に約400社、5000人の人々が同社のブースを訪れた。すでに複数社と具体的なアライアンス提携に向け協議を進めており、年内にも国内ゲームタイトルの中国展開に合意できるよう交渉を行っている。

「空中網」コンゾンとは?

「空中網」ことKONGZHONGは、中国でトップクラスのオンラインゲーム開発・運営会社だ。中国では、PCオンラインゲーム、スマートフォンオンラインゲーム、モバイル関連サービスの3本を主軸に事業を展開している。

2002年の創業以来、急成長を続け、設立からわずか2年後の2004年に米ナスダック(NASDAQ KZ)への上場を果たしている。

日本市場への参入の目的

ゲームメーカーが群雄割拠する日本市場へどうして参入するのか。

KONGZHONG副総裁の張涛氏は「当社のオンラインゲームのラインアップに三国志をテーマにしたゲームがいくつかあります。また、中国の戦国時代をモチーフにしたゲームもあります。三国志や中国の戦国時代は欧米では認知度が高くありませんが、日本では、誰でもが知っているほどポピュラーです。そうした点から、日本展開という自然な発想が出てきました」と話す。

さらに張氏は「中国と日本は、極めて近い国であること、そしてお互いに漢字文化を持っていること。さらに、前漢(紀元前200年~)の時代から中国と日本は長期交流を続けて来ています。そうした長い歴史からも、KONGZHONGの日本参入は当然だと思っています」と述べる。

日本らしさを押し出す

では、勝算はあるのか、今後の事業展開はどうなるのか。

「私はこれまで日本に長く暮らし日本の習慣や文化、そして気質というものを理解しています。日本に骨をうずめるくらいの気持ちでいます」と言う日本法人の代表取締役である楊彬氏は「日本に根付いた経営を行うのが大前提である」と述べ、「例えば、外資系のゲーム会社は日本法人と言っても管理職全員がその国の人間だけで占められていて会議もメールも日本語がよく通じないということがあるが、KONGZHONG JPは日本の会社です。だから日本語で仕事ができる。日本の人たちに働いていただきます」と流暢な日本語で語る。

そして、「当社は、日本ではゲームライセンス(ローカライズ、カルチャライズ)、IPライセンス、共同開発の3本を柱に事業展開を行います。この3つを2~3年以内に収益を上げることができる形にまで持って行く。まずは第一段階としてそこを目指します」と意欲を示す。

日本製オンラインゲームの中国進出への足掛かりへ

例えば日本国内のパートナー企業から同社が日本で展開しているゲームのファイルを著作権等の契約条件を詰めたうえで受領、その後、KONGZHONGが中国向けにローカライズや中国向けにカルチャライズ、さらに中国国内のサーバー運用やプロモーション展開に関するすべての業務とコストを負担する。

同社を経由することで、日本国内のパートナー企業のコスト負担やIP管理などの作業負担を低減し、メリットを最大化する条件提案を行うことが可能になる。

また中国でのIP事業に関しても、コンゾン・ジャパンおよびKONGZHONGの強固なネットワークを活用することで、戦略的な展開が行える。

特に自国以外の著作権に対して緩やかな対応を取りがちな中国において、同社が版権をきちんと取り扱うことで著作権問題をクリアしつつネットでのアニメ配信などが可能になる。

すなわち、日本企業の中国進出の手伝いをするというのも日本参入の最も大きな理由なのである。

その他、「KONGZHONGが中国展開しているゲームタイトルの日本展開」、「日本国内のアニメ・IP(Intellectual Property Right=知的財産権)などの中国展開」、「日中展開を視野に入れたゲームの共同開発」といった事業展開を計画している。