ネットユーザー10億人が切り開くチャンスとは

 

中国インターネット情報センター(CNNIC)がこのほど発表した第48回「中国インターネット発展状況統計報告」によると、2021年6月末現在、中国のネットユーザーの規模は10億1100万人となり、20年末に比べて2175万人増加し、インターネット普及率は71.6%に達した。中国は10億人を超えるユーザーがインターネットに接続し、世界で最大かつ最も勢いのあるデジタル社会を形成している。ネットユーザー10億人突破は経済社会の発展にどのような意味をもつのか。世界最大のデジタル社会はどんなチャンスをもたらすのか。

 

デジタル化の波が加速的に盛り上がる

今年上半期には、中国のネットの基礎資源分野において、インフラ建設の持続的な強化、コア技術開発の加速、デジタル経済の質の高い発展推進、中国内外のネット基礎資源分野のリスク・挑戦への効果的な対応が、新たな進展を遂げた。

CNNICの張暁副センター長は、「現在、デジタル化モデル転換がすでに始まっており、今後は第14次五カ年計画の重要な命題になり、具体的に3つの変化が現れた」として、次のように説明した。

1つ目の変化は産業サイドのデジタル化の「加速と融合」だ。デジタル産業化の流れが勢いよく発展し、力強く加速する動きを見せた。上半期には全国の一定規模以上(年売上高2000万元以上)の電子情報製造業、ソフトウェア業務及び情報技術サービス業、一定規模以上のインターネット及び関連サービス企業の業務収入がいずれも前年同期比20%以上増加した。産業デジタル化の勢いは強く、デジタル技術と実体経済が深く融合している。小売分野では、ネット小売が消費の新たなエンジンになり、上半期には実物商品のネット小売額が社会消費財小売総額に占める割合が23.7%に上る。サービス分野では、モバイル決済が飲食、食品デリバリー、観光など複数のオンライン・オフラインのサービスシーンを連結している。工業製造の分野では、インダストリアル・インターネットのプラットフォームシステムがほぼ形成され、スマート工場、ドローン巡回検査などの産業デジタル化の応用シーンが絶えず刷新されている。

2つ目の変化は社会サイドのデジタル化の「拡大と縮小」だ。まずユーザー全体の規模が拡大した。中国のネットユーザー規模は10億人を突破し、人口の7割以上がネットに接続している。次に細分化された層ごとの利用率の開きが縮小した。インフラと関連のデジタル化サービスという「ソフトとハード」が絶えず整備されて、農村部ユーザーと都市部ユーザーとのネット普及率の開きが20年12月より4.8ポイント縮小した。また50歳以上の中高年のネット普及率が急速に上昇した。

3つ目の変化は政府サイドのデジタルガバナンスの「スピードアップと力強さ」だ。まず反独占の監督管理が市場の公平性を強調している。「プラットフォーム経済分野に関する反独占の手引き」が通達・実施され、新しいネット監督管理の時代の訪れを示している。次にデータに関する法律制定がデータのセキュリティを際立たせている。「データ安全法」と「個人情報保護法」が相次いで制定された。デジタルガバナンスの法律制定と監督管理の方向性が日に日に明確になり、市場のさらなる規範化と産業の発展にとってプラスになるうえ、ネットのビジネスモデルと発展の道のりにも深くて大きな影響を与えている。

 

デジタル社会の新生態圏を構築

中国のネットユーザー数が初めて10億人を超えた。これほど膨大な数のネットユーザー層はどのようなデジタル社会の新生態圏を構築するのだろうか。

中国インターネット協会諮問委員会の高新民委員は、「中国のネットユーザー規模10億人突破の背景には、ネット発展の4つの特徴がある。(1)世界最大規模で応用の浸透度が最高のデジタル社会を形成した(2)農村のネット普及率がさらに上昇して、都市部と農村部との格差が縮小している(3)中高年のネットユーザー規模が最も急速に増加し、恒常的なサービスが重視されている(4)ネットプラットフォームの経営とデータ安全の監督管理が強化され、ネット産業の健全で秩序ある発展を誘導している」と述べた。

ネットの応用とサービスが広く浸透するにつれ、中国にはデジタル社会の新たな形態が形成されるようになった。8億8800万人がショート動画を視聴し、6億3800万人がライブ配信を視聴している。この2つが中国国民の新たなライフスタイルになろうとしている。

8億1200万人がネットショッピングをし、4億6900万人が食品デリバリーを利用している。買い物や飲食のスタイルが明らかに変化した。3億2500万人が遠隔教育を利用し、2億3900万人がオンライン診療を受け、オンラインの公的サービスがさらに便利になった。

ネットのインフラが絶えず整備されるのに伴って、ネットがより包摂的な発展方式になろうとしている。一方で、農村のネットインフラ建設の整備が進んでいる。

全国の行政村の光ファイバー開通率と4G開通率はいずれも99%を超え、農村と都市との「同一ネットワーク・同一速度」が実現し、都市と農村のネット接続をめぐる溝が徐々に縮小している。

他方で、農村ではデジタル経済の新業態が絶えず形成されている。「インターネットプラス」による農産物の村から都市へというプロセスが効果を表し始め、ライブコマースを代表とするネットの新スタイルが販売力を発揮し、農産物のネット販売の新ルートになった。

注目されるのは、中高年のネットユーザーが増加率の最も高い層であることだ。20年以降、関係当局はネット応用が高齢化及び特殊な層に対応できるようバリアフリー化を進めている。

政府、企業、社会の各方面がともに努力したことを受けて、中高年のネットユーザーがユーザー全体に占める割合が目に見えて上昇している。21年6月末現在、50歳以上のユーザーの割合は28.0%となり、20年6月より5.2ポイント上昇した。

中国国際経済交流センターの陳文玲チーフエコノミストは、「中国の質の高いデジタル経済発展は人類共同の挑戦に立ち向かうための実行可能なプランを提供した。21年上半期には、インターネットが支援・誘導の役割をさらに発揮し、デジタル経済の規模の持続的な拡大、質のますますの上昇、構造の最適化・レベルアップ、イノベーションのさらなる活発化を促進して、将来の産業のコアエンジンと新発展構造を構築する重要な力になった」と述べた。