5G基地局建設の様子
新型コロナウイルスによる肺炎への対策が行われている間、全国各地の遠く離れた場所にいる名医や専門家が5G技術を通じて遠隔診療や患者のモニタリングを行った。大勢の学生やサラリーマンがオンラインプラットフォームを通じて授業を受け学習し、企業活動や生産活動を再開した。より迅速、より快適、より便利な5G技術は中国人の暮らしを変えつつあり、世界の消費モデルと生産モデルも変えつつある。
北京出身の女性・張水涵さんはデジタル製品の愛好者で、今年3月初め、オンラインショッピングで華為(ファーウェイ)の5G対応の最新機種を発売後すぐに購入した。張さんは、「未来は5Gの世界になる。早く買って早く恩恵を被るのが私の消費理念。今は5Gのカバー率がそれほど高くないが、未来は5Gスマートフォンが主流になると確信する」と話した。
工業・情報化部のまとめたデータによると、2019年末までに中国では5G基地局が13万基以上設置され、2020年1月には中国国内の携帯電話の市場出荷量が2081万3000台に達し、このうち5Gスマホは546万5000台で25%以上を占めた。国産5G携帯チップは商用化され、多くの分野で5Gの応用が積極的な成果を上げた。
中国移動はすでに5Gモバイル・ネットワーク主要設備の第2期調達を始めており、5G基地局は8万基以上を擁し、5G向け料金プランの利用者数は1000万人を超える。感染症の影響はあるものの、今年の目標の「5G基地局30万基設置、5Gネットワークが全国の地級市(省と県の中間にある行政単位)以上をカバー」に変更はない。
中国国際経済交流センター経済研究部の劉向東副部長は、「4Gに比べ、5Gには低遅延、広帯域といった特徴があり、5Gネットワークの便利さが多くのユーザーが機種変更する重要な要因だ。5G基地局がますます広範囲に広がり、インフラがますます整ってきた状況の中、5Gに機種変更しても費用がそれほど変わらないのであれば、多くのユーザーは5Gを試してみたいと考える。5G端末への機種変更の歩みはこれから徐々に加速するだろう」との見方を示した。
感染対策期間中に、サラリーマンはテレワークのソフトウェアを利用して在宅勤務をし、学生はライブ配信ソフトを利用して自宅で授業を受けた。5G技術が加わったことでオンライン教育とテレワークの効率を大幅に改善することが可能になった。
在宅勤務、WEB会議の開催、遠隔教育には現場のリアル感が重要だ。劉氏は、「未来にはこうした分野で拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの技術が応用される可能性があり、そのためモバイル・ネットワークの伝送には安定性と連続性の高さが求められるようになる。5G技術ならこの方面で十分なサポートを提供することができる」と分析した。
今回の感染症との「闘い」では、5Gが遠隔診療、遠隔指揮、WEB会議などの方面で極めて大きな役割を発揮した。
5G遠隔WEB診察をする医療専門家
武漢の火神山医院と雷神山医院では、5Gネットワークが標準装備となり、遠隔診療、遠隔看護のスムーズな展開を保障した。全国各地の医師が「5G遠隔CT協業プラットフォーム」を通じて、雷神山医院での共同診療に参加した。
国際的に通用する医療画像の国際規格DICOM(ダイコム)および日常の臨床実践に基づくと、標準的なCT画像は5000-6000枚の連続した画像で構成され、スキャンパラメータのいろいろな設定も保存され、医師にとって重要な判断材料となる。こうした画像ファイルの容量は小さくても数10メガあり、大きければ数100メガに達し、これまでの技術では大規模な遠隔伝送は難しかった。5G技術を利用すれば各種医療画像の「オリジナル画像」を北京、上海、広州などの都市へ迅速に伝送することができ、遠隔オンライン診療の医師は患者のクリアなCT画像を見て、速やかにフィードバックすることが可能になる。これは5G技術と医療の遠隔診療のニーズが結びついて完成された最新の応用ケースでもある。複数の専門家が、「感染対策の中で5G技術の極めて大きな優位性が明確になった。感染症が終息した後は、こうした技術イノベーションがレベル別診療の推進や資源のアンバランス緩和といった問題をめぐり、非常に良好なモデル効果を発揮するものと予想される」との見方を示す。
同部の陳肇雄副部長は、「5Gは経済社会のデジタル化、ネットワーク化、スマート化へのモデル転換を支える重要な新型インフラとして、感染症対策や業務再開を支えるという点で突出した役割を果たすだけでなく、投資の安定、消費の促進、高度化のバックアップ、経済発展の新原動力の育成など各方面での非常に大きなポテンシャルを備える。将来には、5Gが産業のインターネット、オンライン教育、医療などの分野で『接着剤』のように各方面を結びつける役割を果たすと同時に、消費高度化を促進する力にもなる」と指摘した。
同部の苗圩部長はこのほど、「今後、工業・情報化部は市場の法則を尊重し、5G応用の漸進的な発展を推進する。同時に対外開放協力を堅持し、グローバル産業界と共同で5G産業の発展を推進する」と述べた。
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