SNS依存でうつのリスクが増大

休日残業で夜中の12時まで働き、ようやく帰宅して微博(ウェイボー)を見てくつろごうと思いきや、画面はネットユーザーが世界各地で休暇を楽しむ写真やミニ動画で埋め尽くされていた。

子供の宿題を見てあげてから、微信(WeChat)のソーシャル機能「モーメンツ(朋友圏)」を見て友達の近況をチェックすると、Aさんの娘はピアノコンクールで優勝、Bさんの息子はテストでクラスのトップ3入り。一方の我が家といえば、「5+8」の計算問題に四苦八苦している出来の悪い子供がいる。

先月のクレジットカード利用代金の清算を済ませると、もらったばかりの給料の残りはほんのちょっとに。一方、「白富美(色白・裕福・美形の3条件が揃った女性)」は、アプリ上で、また「限定版エルメス」を見せびらかしている。

このように連日、SNSから全方位的な攻撃を受け、ネットユーザーは追い詰められておかしくならないのだろうか.。

その答えは、「本当にあり得る」だ。

カナダとオーストラリアの研究者が行った研究から、SNSの利用によって、人はうつ状態に陥りやすいことがこのほど明らかになった。

SNSの利用時間が長いほど
うつになるリスクが上昇

研究チームは、青少年3826人(平均年齢12.7歳)を対象として、約6年間に及ぶデータを収集した。研究の結果、青少年は、年齢が上がるにつれて、うつ症状も増加していくという事実が判明した。

SNSの利用時間が1時間増えると、青少年のうつ症状は0.64単位増加した。ある年齢のSNS利用時間が例年より増えると、うつになるリスクもそれにつれて高まり、1時間長く利用するたびに、うつ症状は0.41単位増加した。

思いがけないことに、ゲームとうつとの間には相関関係は見られなかった。研究チームの分析によると、これは、今どきのゲームの多くが、チームを組んで行うものであり、チームを組んでゲームをすることで、社交が促進されることから、うつになるリスクが高まるのを抑えることができると考えられる。

現実の世界に戻り
微笑みを忘れずに

ゲームとうつとは関係ないという見方について、浙江大学第二病院精神科副主任の禹華良医師は、「ゲーム依存症の青少年については、これは必ずしも当てはまらない」という考えを示している。

禹医師は、臨床経験から、「一部のゲーム依存症の青少年は、ゲームに依存するまでに、うつや社交障害といった心理的問題が現れていた場合が多い。ゲームは、彼らが現実社会や他社との付き合いから逃避する一つの方法となっている。彼らは、現実生活の中から、問題の根本的原因や解決方法を探っていく必要がある」と指摘した。
また、禹医師は、「SNSで情報を得る場合であっても、ゲームによって娯楽の刺激を受ける場合でも、現実生活のなかで他人や物事と関わる時間を大切にすべきであることを肝に銘じてほしい」としている。

早速スマホをチェックしてみよう。毎日、あなたの時間を最も多く奪っているのは、SNS系のアプリでは。あなたの答えが「イエス」なら、少し立ち止まって反省する必要があるかもしれない。