儲かっているのはわずか2割
ネット有名人のビジネス展開


エメラルドの鑑定をオンライ動画でフォロワーたちと交流している男性

ネットで稼ぐ人 その1

フォロワー数1200万で、起業の道歩む「95後」男性がいる。四川省に住む「95後(1995年-2000年生まれ)」の敬漢卿さん(男性)は、ネット上で1200万以上のフォロワーを抱えている。彼は、「年収100万元(約1660万円)以上」の超ネット有名人。しかし日常生活では、内気な青年だ。

「僕は、2014年からショート動画を制作し始めた。最初は、単なる趣味だった」と話す敬さんは、短大に相当する「専科」を卒業後、独立して北京に移り住み、外地から北京に来て生活し、働く「北漂」となった。毎晩、仕事が終えてから、2~3時間かけてショート動画を制作していた。「僕には、ほかに趣味もなく、ショート動画を撮るのは、僕の楽しみの全てだった」と敬さん。

しかし、動画を制作するようになって最初の3年間は、ショート動画での収入は皆無だった。

2016年から、ショート動画が徐々にブームとなり始めた。敬さんは、職業としてショート動画の道を進むべきだと次第に強く確信するようになった。その年から、彼は毎日新しい動画を一本、更新することにした。それにつれて、収入も、1カ月数千元(約数万円)から1万元(約数十万円)を上回るようになった。2018年下半期、彼は会社を設立し、自分のショート動画による起業の道に一歩を踏み出した。単独の闘いから集団戦まで、敬さんは、質的な転換を完成させたと感じている。

 

ネットで稼ぐ人 その2

ネットビジネス・インキュベータ―を頼みの綱に、ベビー・マタニティ業界に着目した「90後」女性がいる。敬漢卿さんのように、自分で会社を立ち上げる以外に、多くのネット有名人は、別の方法、つまり専門のMCN企業(マルチチャンネルネットワーク、俗に言うネットビジネスインキュベーター)を頼るというやり方に活路を見出している。

四川省成都に住む「90後(1990年代生まれ)」の李井さんは、妊娠5カ月の時、某コンテンツ・プラットフォーム上で、ベビー・マタニティ関連の科学普及に関する文章を書いた。それがMCM企業の眼に止まったことから、彼女はMCM企業と契約する芸能人となった。

「私はもともと、放送メディアのキャスターに関する勉強をしていた。小さい頃から、キャスターになることが夢だった」と話す李さんは、2018年11月、微博(ウェイボー)上でショート動画コンテンツを制作し始めた。専門業者による編集を経て、半年の間に、李さんの微博のフォロワー数は20万前後まで増えた。

この仕事を始めた理由について、李さんは、「ショート動画のコンテンツ制作は、時間的に融通が利き、質の高いコンテンツに集中することができる。また、例えばベビー・マタニティ関係など、ショート動画の細分化された多くの分野は、まだまだブルー・オーシャン(まだ競争のない未開拓市場)の状態だ」と説明した。

ショート動画で稼げるのかという点について、李さんは、「ショート動画ブロガーは、主に、広告と商品販売という2つのルートで収入を得ている。具体的な金額は提示できないが、世間でささやかれているほどは儲からない」と話した。

 

儲かっているのはわずか2割

通信事業者・聯通(チャイナ・ユニコム)やIT専門研究・分析会社の易観が発表した「2017年ショート動画MCN業界発展白書」によると、2017年、中国のインターネットにおけるコンテンツMCM企業の数は2300社に達し、2018年には4500社にまで増える見込み。このうちショート動画を取り扱うMCM企業は、全体の73%を占め、2018年、ショート動画関連MCM企業数は3300社に上ると予想されている。

あるショート動画関連MCM企業は、「企業内部のネット有名人インキュベーション体制によって、わずか1カ月でネット有名人を誕生させることができる。ただ、ネット有名人が淘汰される状況もかなり熾烈で、全員がお金を稼げるわけではなく、実際に儲かっている有名人は、トップの10~20%に過ぎない」と明かした。

一方、ショート動画の愛好者の一人である敬漢卿さんは、とても楽観的だ。彼は、「ショート動画には、将来発掘可能な大きな可能性が残されている。インターネット技術がさらに発展し、5G技術が普及するにつれて、表現スタイルもいっそう多様化するだろう。時代は刻々と変わり、考え方もそれに伴い変化する。だが、優れた品質のコンテンツを作ることが最も大事なことは変わらない」との見方を示した。