発展のための3つの課題
中国のAI産業の現実

ハイテクはすでに生活の隅々に進出し、急成長するAIが人々の生活への浸透を加速している。中国インターネット協会は最新の「中国インターネット発展報告書2018」の中で、中国AI市場が急成長中と指摘した。


天津の展示会で披露されたAIロボット(5月16日)

2017年の産業規模は51.2%増の152億1000万元(約2497億円)にのぼる。中国のAI産業規模は19年に344億3000万元(約5651億円)にのぼる見通しだ。清華大学が発表した「中国AI発展報告書2018」を見ても、中国のAI投融資が世界の6割を占めており、成長著しいことが分かる。

現実的に、AI応用がすでに大きな流れになっている。発展の成績は及第点だが、成長の道は依然として遠い。中国のAI産業が新たな段階に進むためには、次の「3つの関門」を突破しなければならない。

中核技術の把握が最も重要

「中国AI発展報告書2018」によると、中国AI論文数と高被引用論文数はいずれも世界一だが、世界企業論文産出ランキングを見ると、中国からトップ20入りしたのは国家電網公司のみだ。データは、AI発展は紙の上だけに留まってはならないことを伝えている。中国の多くの伝統産業がアップグレードと更新により、生産力を高めなければならない。スマートセンサー、AIチップ、基礎ソフトなどの産業の中核的基礎を強化し、重要技術の研究開発を加速することで、企業をAI革新の主導力にすることが特に重要だ。

標準制定は重要な取り組み

決まりがなければ整った環境を形成できないが、基準は産業競争の高地だ。基準がなければ、AIの研究開発と応用には乱れが生じる。基準が統一されなければ、市場と関連資源の連結が困難となり、データ的に無用な重複と浪費が生じる。中国はAI分野で良好な基礎を持つが、AI発展に適応するインフラ、法制度、標準体系の整備が待たれる。国は2017年以降、「次世代AI発展計画」、「次世代AI産業発展促進3カ年行動計画(2018−20年)」を発表し、AI標準体系、試験評価体系、安全保障体系の枠組みを初歩的に構築し、産業発展の推進を加速することを求めた。

安全管理の徹底は発展の礎

AIが起こしうる安全リスクも無視できない。自動運転車は、道路標識を正確に識別できず、交通事故を起こすようなことがあってはならない。家族の安全を守るホームセキュリティシステム、応用が進む顔認証技術は、ハッカーがプライバシーを盗む重要なツールになる。これらは産業発展において解決を急がなければならない、現実的な難題だ。専門家は、AIはハッカーが生んだ子供のようなもので、安全リスクの遺伝子を持つと形容した。発展だけを重視し安全管理を疎かにすれば、AIは不適切に利用されるだろう。しかし、適切に利用すれば、AIはマルウェアや異常なデータをチェックし、ハッカーの攻撃に備えることなどができ、有力な防御ツールになり、ネットの安全防御水準を高め、業界の発展にさらなるチャンスをもたらす。