中高年がスマートフォンやモバイル決済を利用しようと考えたその時、EC企業にとっては新たな成長源が出現したことになる。中国は今、高齢化社会に向かっている。「中国高齢者向け産業発展報告(2014年)」の予測では、2050年に中国の高齢者人口は4億8000万人に達する。高齢者向け産業市場における消費の潜在力は現在の4兆元(約66兆円)から106兆元(約1758兆円)に増え、国内総生産(GDP)に占める割合は8%から33%になるという。中高年はネット通販の新興パワーになり、市場の見通しは広く大きいといえる。
力強い消費力と広大な消費市場があれば、おのずと大手ECプラットフォームの高い関心を呼ぶことになる。EC各社は高齢者クラスターのネット通販への意欲が上昇を続けていることを、喜びをもって迎えている。
京東がまとめた「2017年高齢者ネット消費発展報告」によると、17年上半期に京東プラットフォームでは高齢者クラスターの消費金額が急速に伸びて、前年同期比78.0%増加した。商品購入金額も同61.8%増加し、プラットフォーム全体の増加率を上回った。阿里巴巴(アリババ)のデータでも、全国の50歳以上の中高年ネット利用者クラスターは、淘宝(タオバオ)と天猫(Tmall)だけで3000万人に迫るという。50代の年齢層の一人あたり年平均ネット通販消費額は5000元(約8万3000円)に上る。中高年はネット通販の新興パワーとして、日々成長を遂げている。
天津で開催された高齢者祭に参加している人々
ネット通販の主力はこれまでずっと若年層だった。中高年はインターネットに不慣れなため、ネット通販の利用が極めて少なく、技術が「障壁」になっていた。
だがスマートフォンの普及がこの障壁を打ち破るための土台を提供し、モバイルインターネットとモバイル決済の誕生により中高年はいつでもどこでもネット通販を利用できるようになった。大手EC企業は流れに乗ってさまざまなサービスを打ち出し、中高年がECプラットフォームで気に入った商品を購入できるようサポートした。
18年の春節(旧正月2月16日)の直前、淘宝が「家族アカウント」サービスを打ち出し、親の淘宝のアカウントを子のアカウントとリンクさせ、両親が気に入った正月用品を注文し、子どもが決済できるようにした。また両親が自分のアカウントを通じて子どもと一緒に商品の品定めをし、あれこれ相談できるようにもした。淘宝だけでなく、京東商城をはじめとする他のプラットフォームも同様のサービスを提供して、中高年市場の開拓をさらに進めている。
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