「世界の屋根」にも広がるネットショッピング

物流配達はチベットのオンラインショッピングの消費者を長きにわたって悩ませている問題だ。だが近年、中国のタオバオ、京東、蘇寧などの大手ネット通販は続々とチベット地域で配達サービスを展開している。「世界の屋根」でのオンラインショッピング消費者の数と消費額が日に日に増加するのと同時に、他地域のネット通販者によるチベット市場を開発も現地のネット通販を発展させる原動力となっており、現地のネット通販も雨後の竹の子のように続々と現れ、高原に住んでいる農民と遊牧民にインターネットによる「ボーナス」をもたらしている。

高原ネットショッピング

チベットの消費者は現在ネットショッピングによる「快感」を味わえるようになった。今年9月以来、ラサ全市で北京、上海、広州などの大都市と同じく「当日配達」サービスが実施され、山南市乃東区とミニヤコンカ県では「翌日配達」サービスが始まった。

配達スピードの向上はラサ市をカバーする物流に繋がっている。今年5月、京東がラサ市にネット通販物流パークを設置し、テスト運用を開始している。その面積は1万平方メートルに近くに達し、チベットにおいて最大規模の物流パークとなっている。

京東グループの席大偉氏によると、数ヶ月にわたるテスト運用を経て、ラサ市では午前11時までの注文に関しては当日配達を実現しており、山南、林芝、日喀則などのエリアでは9月から翌日配達を逐次実現させることを明らかにしている。配達スピードだけでなく、ラサ市の消費者は安くて高品質なショッピングを体験できるようになった。

アリペイが年初に発表した「2016年中国国民消費勘定書」によると、チベットのモバイル決済率は90.3%と全国一位であり、また一人当たりの消費金額は8260元(約14万863円)で、中国全土で第10位だったという。

2016年12月、京東は墨脱県や阿里地区などの地域で大型家電の配達サービスを展開した。これによりこれまで「高原の孤島」であったチベット高原も「インターネット+」という大きなファミリーに加わることになった。

ネット通販のほか、一部の物流企業もチベット区域でのサービスレベルを次々と高めている。順豊、中通、申通などの物流企業は北京、上海、広州から発送された荷物を3、4日間でチベットに届ける。また、順豊はラサ市に初の航空運輸エアラインを開通する計画だ。


ネットショッピングを利用しているチベット人

高原農作物が他地域に進出

物流産業の急速な発展は、チベット高原における取引を牽引している。「第12次五カ年計画」以降、高原の特色ある製品がネット通販を通じて、次々と販売され、市場と利益は急速な発展を遂げている。

投資総額6億元(約102億円)の規模を誇るチベットのネット通販プロジェクトは「第12次五カ年計画」において、中央政府がチベットの経済社会の発展を支援する重点プロジェクト226件のうちの一つとして、3年間の発展を経て、すでに初歩的な成果を見せている。アリババは2015年9月に開いた「タオバオ特色中国―チベット館」は、中国の大型ネット通販として初めてチベット製品を集中して取扱い、マーケティングと販売のプラットフォームとなった。

チベット自治区商務庁の辺巴庁長は、「現在チベットにはネット通販農村進出プロジェクトの総合モデル県が14県あり、オンラインで販売されている特色製品は120種以上で、『インターネット+旅行+特色農作物』の運営モデルを通じて、1000人以上の雇用を牽引している」と語った。

現代市場経済の勢力が登場

インターネットが「貧困脱却」において果たす役割はますます顕著になってきており、より多くの農作物はインターネットを通じて農村から外へと進出を果たしている。

近年来、積極的に「貧困脱却」活動に参加する大型ネット通販が増えている。国務院は先行して蘇寧雲商グループや京東グループと戦略協力協議を結んだ。9月14日、チベット自治区政府が京東グループと「インターネット+」全面戦略協力フレーム協議を結び、共に産業構造のモデル転換を促進しようと試みている。

「貧困脱却」のサポートのほか、産業牽引と経済利益の面での効果もますます顕著になってきている。ネット通販はチベットの現代市場経済の大きな躍進を進めている。2016年にオンラインでの運営をスタートさせたチベット商品取引センターとチベット刺繍商品取引センターは、いずれもチベット政府の承認を得て成立し、重点的な支援をうける総合サービスプラットフォームで、現地大口商品の取引の「インターネット+」時代への歩みを大いに進めさせている。

また、チベット初の特色文化ネット通販サービスプラットフォーム「中国扎西德勒網」が今年8月にオープンし、日喀則地域の文化や旅行や農作物をとりまとめ、産業の発展を牽引することが期待されている。

チベット自治区科学技術情報研究所の其米次仁氏は、「チベットの特色ある製品の経済効果の潜在力はいまだ巨大で、ネット通販モデルは経済発展と産業統合を加速する効果的な手段だ。チベットは既存の優れたネット通販モデルを参考し、特色製品の販売方法を革新するべきだ」と語った。