世界エネルギーインターネットとは何か

習近平国家主席は昨年9月26日、「国連持続可能な開発サミット」で重要談話を発表した際に、「中国は世界的な『エネルギーのインターネット(Internet of Energy)』の構築を模索し、クリーンでグリーンな手段により世界の電力の需要を賄うことを促進するよう提案する」と述べた。世界エネルギーのインターネットとは何を意味しているのだろうか。実現するための手段とは何か。2016年世界エネルギーのインターネット大会において、各業界のエリートがこの問題について検討した。


2016年3月30日に北京で行われた「2016年世界エネルギーのインターネット大会」の会場の様子

世界的なエネルギー配置が可能に

国家電網公司董事長の劉振亜氏は、「飛行機がどんなに速くても、北京空港からニューヨークまでは13−4時間かかる。電力を北京から米国に送電する場合、毎秒30万キロの速度とすると、どれほどの時間がかかるだろうか。世界的な電力資源の配置は、これほどスムーズだ。世界エネルギーのインターネットの竣工後、電力資源の世界的な配置が完全に可能になる」と指摘した。

世界エネルギーのインターネットは、「スマートグリッド+超高圧送電線+クリーンエネルギー」によるエネルギーシステムだ。このシステム内において、スマートグリッドは基礎、超高圧送電線は支柱、クリーンエネルギーは根本的な原動力となる。

北京大学教授で、著名エコノミストの厲以寧氏は、「世界エネルギーのインターネットは世界のエネルギーインフラを網羅し、電源、送電線、設備、科学研究、情報など各分野に跨る。投資の大きな需要が存在し、産業チェーンが長く、強い影響力を持つ。世界エネルギーのインターネットの投資額は、2050年までに累計50兆ドル(約5367兆6000億円)以上に達するだろう」と予想した。

革新で永続的な供給を実現

同大会で発表された情報によると、世界エネルギーのインターネットにより、世界のクリーンエネルギーが現在から毎年12.4%の成長率を維持すれば、2050年には全体に占める比率が8割以上となり、エネルギーの永続的かつクリーンな供給が実現される。世界のCO2排出量は2050年に115億トン程度となり、1990年代前半の半分のみとなる。世界の気温上昇を2度以内に抑えることが可能だ。

アフリカ、アジア、南米などの各国は、風力・太陽光・水力などのクリーンエネルギー資源が豊富だ。世界エネルギーのインターネットを利用することで、各地の資源面のメリットを全国民に利益をもたらす経済面のメリットに変え、地域間の格差を縮小できる。