中国、ネットショップで「バーチャル彼氏」が人気

毎日、あなたに関心を示し、歌を歌ったり、踊ったり、冗談を言ったりして、楽しませてくれる――。これは全て、実際の彼氏ではなく、ネットショップで購入できる恋人代行サービス「バーチャル彼氏」が提供してくれるサービスだ。最近、中国最大手のショッピングサイト・淘宝網で、この「バーチャル彼氏」が人気となり、多いショップで1千件以上の取引となっている。専門家は「若い女性はあまり夢中にならないほうがいい」と注意を呼び掛けている。

淘宝で、「彼氏代行」と入力すると、910件がヒットし、価格は1日あたり1~50元(約17~850円)とさまざまだった。取引が1944件に達しているショップの店主・夏之沢さんによると、2012年ショップを開設して以降、好調をキープし、ほぼ毎日予約が入るという。客の多くは30歳以下の女性で、主なサービスは「おしゃべり」。ショップのホームページの広告には、「毎晩『おやすみ』、毎朝『お早う』とあいさつ」、「いつでもあなたの悩みを聞きます」、「不平不満文句を黙って聞きます」、「落ち込んでいる時は励まします」、「あなたの好みに合わせて好きなタイプの彼氏を選べます」などのフレーズが並んでいる。バーチャル彼氏との連絡方法は主に無料メッセンジャー「微信(ウィーチャット)」だ。

最近このサービスを利用したという、陝西省西安市の女子大生・林新月さんは、「最近、失恋した。悲しくて水ものどを通らない。友人にネット上でこんなサービスがあると聞き、利用してみた。やさしい彼氏や、高慢で冷たい彼氏などいろいろなタイプがある。私が選んだバーチャル彼氏はすごく優しい人で、一晩中おしゃべりしてくれたり、歌を歌ってくれたり、ダンスをして見せてくれたりと、とてもかわいい人」と語る。「バーチャル彼氏」になってくれるのは、学生やフリーターなどで、年齢は20代半ばが多い。

「バーチャル彼氏」の利用料がお手頃であるため、評価のほとんども上々。1度利用したというあるネットユーザーは、「微信をシェイクして見つけた友達(注:微信のシェイク機能を使うと、近くで携帯を同時にシェイクした人を検索できる)と同じような感じ。私のことをとても気遣ってくれる」と評価している。

一方、西安市にある西北大学カウンセリングセンターの鄭安雲・業務センター長は、「このようなサービスが存在するということは、若い女性に、バーチャルな愛や関心への需要があるということ。でも、これは単にサービスに過ぎない。夢中になって、現実と向かい合うことができないという状況は避けなければならない」と注意を呼び掛けている。