ウェイボー上の「健康情報」をどう見るか

ウェイボー、微信などのSNSの普及に伴って、さまざまな健康情報コミュニティーが人びとの目を引いている。「一日に何杯水を飲むべきか」、「いつ寝るのが良いか」、「知られていない百の秘密」、「美容美顔の秘訣」など、すべて健康に関する悩みについて細かく解決方法を示している。しかし、専門家は出所不明なアドバイスの大部分が科学的根拠を欠いており、盲目的に信用すると健康を害するかもしれないと指摘する。ネット上では若い医師たちがデマ撲滅を掲げ、余暇を利用して専門知識を普及させている。

 

 

健康情報のデマが広がる

少し前、「爪の縦の線に注目したことがありますか? 縦線が多いほど健康に問題がある」という情報が新浪ウェイボーに500万人以上のフォロワーを持つ大Vから流された。民間科学伝播公益団体である科学松鼠会のメンバーで、ハルビン児童病院の李清晨医師はこのツィートに根拠がないというコメントを書き込み、この種のもっともらしいツィートには理由がないが、転送されているとした。

雑誌『半月談』の記者は、養生、美容に関する情報を発信する「@修心養生辞典」、「@健康一身軽官方微博」、「@美食健康顧問」などのウェイボーには百万人以上のフォロワーがおり、人気のコミュニティーのコメントと転送は1000万に上る。

?坊医学院の3年生、趙之徳さんはネット上の不確かな情報に気づき、非常に驚いた。「まさかこんなに長い間批判されてきたエセ科学が、いまだに広まっているとは思わなかった。一般大衆の生活知識に対するニーズは高いが、判別能力は高くない」。そこで、彼は余暇を利用して『長年追い求めた飲食誤区』というコミュニティーをつくり、果?網など科学普及サイトに転載されている。

趙さんは、「コラーゲンを食べると美容に良い、豆腐とネギを一緒に食べてはいけない、ナツメと黒糖は血を作るなど、という広く拡散した話は実はみな根拠がない」など、間違った情報に対し真面目に反駁している。

「私は専門知識に拠って情報に対して収集と整理しているだけです。多くの名医も以前この種のデマを発信していました」と、趙さんはデマがどんどん新しく出てくる状況は理解し難いと話している。

 

デマと医師との戦い

「こんな医者や専門家は本物なのかしら。私は信じてもいいように思う」と、ブタの蹄と大豆のスープをよく作る劉さんにとって、コラーゲンを多く含むブタの蹄は美容に良いはずで、劉さんはネット上の情報の民間の体験談は科学的ではないにしても、危害もないと言う。

しかし、医師は一部の「あてにならない」知識は、健康に良くない影響を及ぼすかもしれないと指摘している。『飲食養生は誰を信用すべきか』を発表した北京友誼医院の栄養士で、北京栄養士協会の顧中一理事は、「私は多くのあてにならない情報に触れています。受診に来る患者さんの一部にも不適切な飲食指導を受けて健康に問題が生じた人がいます」と話す。

一般人にとって「貧血」といえば、すぐに「ナツメで補血」を思い付く。顧中一理事によると、これは誤りで、実際にはナツメはホウレンソウなどの野菜に比べて鉄欠乏性貧血の改善効果は少なく、赤身の肉などに比べると非常に少ないし、ナツメはビタミンが豊富だが、貧血の人は鉄を補充すべきであり、植物性の食物に鉄の含有量は少ないという。

中国農業大学食品学院は栄養と食品安全学部の副教授である、中国栄養学会の范志紅理事は、一部の食品の「食べ合わせ」については典型的なネットの誤った情報だとし、「いわゆる食物の食べ合わせには根拠がないと何百回も説明した。この種の正しくないうわさは絶つのが難しい」と言う。

 

最も良い医師は自分自身?

新しいコミュニケーション媒体の忙しいテンポと流し読みの影響によって、人々は関連の情報を見て真偽の判別もせず、何も考えずに転送してしまうことすらある。専門家は、誰もが「専門家」となれるメディアの時代、専門知識と弁別能力がないのであれば、勝手に拡散させるべきではないと警告する。

まず第1に、明確な出所のない「栄養知識」は信用しない。范志紅理事は各人の体質は異なるため、飲食上の禁忌にも大きな差があるので、絶対とか統一といった言い方は非科学的であるとし、盲信するよりは、むしろ関連書籍や衛生計画委員会の『中国居民膳食指南』などを真面目に読むほうがいいとしている。

第2に、情報のソースに権威があるかどうかも重要だ。有名な大Vの情報を見ると、警戒を緩めてしまう人もいる。最も重要なのは元の情報のソースに権威があるかどうかであり、転送した人が信頼できるかどうかではない。

第3に、正確な知識を持たなければ、信頼できない書き込みを弁別できないということだ。健康に関するブログ『春雨掌上医生』を主宰する畢磊さんは、「一般の人は自身の健康に対する関心が高く、判断力を欠いている。これは見たところもっともらいしいものの、実は信頼できない情報が広く拡散される原因だ」と、疑問のある書き込みについては医師個人のウェイボーや、専門機関が開設しているコミュニティーサイトや科学普及サイトで確認することを勧めている。

常識とロジックによって判断され、証明、質疑を経て、選択された情報を受け入れることを学んだら、人々は最終的に最も良い医師は自分自身かもしれないと気づくはずだと、専門家は指摘している。