猛烈な勢いのインターネット、次の段階へ

ネットユーザーが6億1800万人、携帯ネットユーザーが5億人、情報消費が全体で2兆2000億元(約36兆1669億円)、回線速度4M以上の高速ブロードバンドのユーザーが全体の78.8%、3Gネットワークは全国のすべての町と村をカバー……これはこの1年間の中国のインターネットの成績表である。2014年、中国のインターネットは20年目に入った。ずっと猛烈な勢いで発展してきたインターネットは今後、社会にどのような変化をもたらすのか。中国のインターネットはいかにして新しい段階に昇るのか。これらが両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の開催期間中、代表委員たちの話題となった。

 

 

モバイルインターネットチャンスは多い

「ネット業界の代表として、私は特にネット銀行業関連の内容に関心があるが、報告の中には関係する数字は少なかった。ただ、情報量は莫大だった」と、全人代代表である小米公司の雷軍会長兼CEOは言う。

今年の政府の業務報告の中では、はっきり「ネット金融の健全な発展を促進する」、「情報消費を促進する」、「情報化と工業化の深い融合を促進する」など一連のネット関係の措置に言及し、業界関係者を奮起させた。

「わが国の最高指導部は国家の発展に対するインターネットの重要性を十分に認識している。これはネット産業には大変有利だ」と全国政治協商委員である、Baiduの李彦宏会長兼CEOは述べた。

「現在最大の産業トレンドは無線だ」と李会長は言う。モバイルネットの分野はまだ始まったばかりで、まだ大きな成長の余地があるとしている。

全人代の代表で、安徽科大訊飛信息科技の劉慶峰会長は、モバイルネット時代には、携帯などの端末の相互プログラム、バックグラウンドのセンマティックウェブなどが重要な戦略的意義を持つという。ポータルサイト、オンライン教育などの学習サイト、車載ネットワークなどは重要なビジネスチャンスで、ネット企業のハードとソフトの一体化も大きなトレンドであるとしている。

国際市場もターゲットになっている。「中国の市場規模と消費能力はわれわれにチャンスを与えている。中国のネット企業は中国市場とともにグローバルに展開していく可能性がある」と劉慶峰会長は述べている。

 

伝統産業にもチャンスネットで発展

小売業、金融、テレビ、タクシーなど、過去1年間で伝統産業もますますネットからの衝撃を受けてきた。

全人代代表である海信集団の周厚健会長は、中国の家電業界が今日のように世界の一流企業の技術との差が小さくなったことはないが、この時期も長くは続かないと直言する。企業間の差はネット技術の衝撃によって急速に大きくなっているので、産業調整はしたいとかしたくないとかの問題ではなく、しなければならないという段階だという。

伝統産業がネットに出合うとどのような火花が散るのだろうか。プレッシャーもあり、チャンスもある。「将来、この業界はネットによってさらに先進的になる」と李彦宏会長は言う。

全人代代表である、格力の董明珠董事長は、ビックデータ、ネットなどを技術の応用から販売の分野まででなく、さらに企業管理と技術開発上まで応用すべきで、この種の先進技術によってスピーディーに効率と利益を上げることができるとしている。

全国政治協商委員であるテンセントの馬化騰代表取締役兼CEOは大会に向けて、ネット技術を利用して食品の安全管理を推進するように提案している。彼は、モバイルネットとビッグデータ技術は食品の安全向上に大いに役立つとしている。

 

ネット「大」国から「強」国へ時は待っていない

とはいえ、急速な成長が見られると同時に、業界内でも中国ネット産業の発展を手放しで楽観できないという声も上がっている。

中央のネット安全と情報化指導グループの第1回目の会合で、習近平総書記は、われわれはイノベーションの分野でやや立ち遅れており、地域や都市農村間の格差も明らかになっているとし、特に1人当たりのブロードバンド普及率は世界の先進レベルとは大きな差があり、国内のネット発展のボトルネックは依然として際立っていると述べた。

ネット大国からネット強国へと進むにはどのような努力が必要だろうか。

李彦宏会長は中国ネット産業の発展にあたっては、分野全体の市場化レベルとグローバル人材の吸引力に注目すべきだとしている。李会長は、政府関係部門が「引き算政策」を行うことを提案し、「こんなに多くの障壁を設けず、もっと多くの企業にやりたいことをやらせるべきだ」と言う。

人材の分野では、「米国は世界中のほとんどすべての国から人材を集めているが、現在中国が集めている人材は主に華人で、人材獲得競争ではすでに負けている」と李会長は率直に認め、積極的に問題を解決する道を探すべきだとしている。

良好な競争環境の構築も、業界が注目している点だ。李会長は、政府はネット業界の中の不当な競争を制約、取り締まることを重視すべきだとし、馬化騰会長も提案のなかで、ネット犯罪の撲滅がモバイルネット発展の用心棒となるとしている。

情報の安全も広く関心を集めた。特に昨年の「スノードン事件」は業界に警鐘を鳴らした。「国家の情報安全問題を根本的に解決すべきだ。やはり自主規制できる情報技術を発展させ、国家の重要情報インフラのなかで国際化代替工程を実施すべき」と全人代代表である、浪潮集団の孫丕恕会長兼CEOは提案している。

雷軍会長はインターネットを国家戦略に組み込むことで、さらに業界全体の発展と中国経済全体の発展を推進することを提案している。