ネット金融がもたらす金融業務革新の波

支付宝、財付通、快銭……の名前を知っていても、余額宝、微銀行、全額宝……の名前を知っているだろうか。例えば、投資商品である余額宝はオンライン発売開始18日間で累計251万5600人のユーザーが購入、集めた資金の総額は66億100万元(約1061億円)に上った。「国華二号増強版」ファンドは3日間の取引額が1億600万元(約17億388万円)となり、国内のネット取引が億の単位に上った最初の金融商品となった。金融業界は再び「ネットの襲来だ」と驚きの声を上げている。

 

馬雲グループは何をしたか

2004年第三者決済サービスである支付宝がオンラインに登場、2010年6月には浙江アリババ小額ローン公司が設立され、2013年6月には余額宝が登場、2013年7月には「東方証券資産管理公司―アリババ特別資産管理プラン」が批准され、9月には民生銀行と全面的に戦略提携を開始……、10年かけてアリババの金融動脈がつながった。

データによると、今年の第2四半期末、アリババ小額ローンはすでに32万のオンライン上の零細企業、個人の起業家にローンを提供しており、累計貸付額は1000億元(約1兆6058億円)を超え、1件当たりの貸付額は平均4万元(64万2100円)となった。

アリババに続き、京東、蘇寧、慧聡網なども次々に似たような金融業務を始め、オンラインで零細企業のための資金提供などの金融商品とサービスを行っており、最近数カ月間で、さらにスピードアップしている。

 

ネット金融は何を変えたのか

データの背後には、ネット金融が金融業に進出するトレンドが見られ、このトレンドが伝統的な金融業の形態や構造を変えることを暗示している。概念やオペレーションモデルから資金チェーンの流れに至るまで、ネット企業はある意味で出来ないことはないと、そしてネット金融時代は今までとは違うということを宣言しているのである。

また、ビッグデータに代表される新興の移動媒体ネット技術はまさに個人と企業のニーズに影響を与え、金融産業に大きな衝撃を与えた。中国人民大学法学院の副院長である楊東教授は、ネット金融は「国家の金融の大動脈の発展を促進し、国有金融機関では実現不可能な領域で成長してきた」と評価する。

 

試練に直面する銀行業務

「これは水面下の革命だ」と、中国人民銀行決済決算司の周金黄副司長は第三者決済を形容した。静かだがものすごい勢いを持つネット企業に対して、金融業界は決して無関心というわけではない。

中国社会科学院財経政略研究院の?林波副院長は、ネット企業の金融分野への進出が伝統的な銀行業務サービスのイノベーションを促しているという。

多くの変革が行われたとはいえ、伝統的な銀行のオペレーションはネット企業のスピードにはかなわない。現在、ネット金融業は単純に決済業務から、振替、送金、海外決済、資産管理、サプライチェーン金融、ファンド、保険の代理販売、クレジットカードなど、伝統的銀行業務の領域にも浸透してきている。預金以外の銀行の主要業務のほとんどが試練に直面している。