ネットでの誹謗中傷に刑事罰を適用
転送500回で犯罪に

ネットでの誹謗中傷への刑事処分

最高人民法院(最高裁)の孫軍工報道官は、『解釈』の公布によって、ネット上で「事実をねつ造し他人を誹謗する」ことの認定と、有罪の基準と起訴手続きを行う条件が明確になったと述べた。

認定について、『解釈』では、「故意に他人の名誉を毀損する事実をねつ造、ネット上で公開、流布し、その事案が悪質なものは『事実をねつ造し他人を誹謗する』ものとする」と規定している。

有罪の基準については、厳格な量的区分を行っている。孫報道官によると、閲覧数5000以上、転送数500回以上の規定は、「実証研究と専門的論証を経て」作られたものだという。しかし、同時に、「被害者またはその近親者に精神失調、障害、自殺などの重大な結果を及ぼした場合」は閲覧や転送の回数を問わず、直接事案が悪質と認定し、法律によって刑事処分を行うと規定している。

『解釈』では、ネットでの誹謗中傷に対する起訴手続きを行う条件も明確にしており、「社会の秩序と国家の利益に深刻な危害を与えた」7種類の事案に対して、たとえ被害者が起訴しなくても、公安機関が立件調査し、人民検察院に公訴の手続きを行うとしている。

 

過失は罪にならない

ネット言論の境界を定めるなかで、いかに国民の表現の権利、監督権と誹謗中傷などの犯罪との区別のバランスをとるかが、注目を集める問題となっている。最高人民法院と最高人民検察院(最高検察庁)はメディアの質問に対する書面での回答のなかで、達成したい効果は「ごく少数を取り締まり、大多数を教育する」ことだとした。また、具体的な施行にあたり、当事者が「故意に犯した」か「過失」かについての明確な区分を行ったとしている。

孫報道官の発言と最高人民法院・最高検察庁の回答のなかで、行為者が「主観的意図」を持っているかどうかが、有罪と無罪を分ける重要な基準となる。、「ネットでの汚職告発」を例に挙げれば、たとえ検挙されても、告発された内容の一部が事実でなくても、故意にねつ造したものでない限り、名誉棄損罪での責任は追及しないとした。

しかし同時に、最高人民法院・最高検察庁は回答で、たとえ有償で発表した場合でも情報が虚偽であると知らなければ法には触れないが、もし有償での削除が「広範なネットユーザーの合法的権利を侵犯する」場合、オンラインPR会社などが削除した内容が真実か否かにかかわらず、不法経営の罪に問われるとしている。孫報道官は、『解釈』の制定・公布は、ネット上の発言の法律上の境界を明確化したことによって、市民の表現権と監督権の必要性を保障するものだとし、「いかなる国家の法律も他人の『言論の自由』を中傷することは許していない」と述べた。

 

重いほうの処罰によって罪が決まる

誹謗中傷以外に、今回の『解釈』はネット上で故意に面倒を引き起こすことや、恐喝や違法なビジネスなどの犯罪に対して具体的な規定を設けている。広範なネットユーザーが熟知している「書き込み型」と「削除型」の詐欺からネットでの恐喝に至るまで明確化した。

公共スペースの一つとして、ネット空間は現実の生活と徐々に融合しており、ネットを利用してニセ情報を発信したり、騒ぎまで起こしたりすることが、現実生活の秩序に影響を与えることは必至である。孫報道官は、さらに書き込みあるいは削除によって恐喝を行うことは、「完全に刑法で規定する恐喝罪を構成する案件である」とし、刑事責任を追及すべきだとした。

「オンラインPR会社」、「口コミビジネス」、「仕掛け人」などの違法なビジネス行為への処罰について、『解釈』は具体的に金額まで規定、個人の違法な売上高5万元(約80万6900円)以上、あるいは不法所得が2万元(約32万2800円)以上、事業所の違法な売上高15万元(約242万円)以上、または不法所得5万元以上の場合には罪に問われ、処罰の対象となる。

また、ネットを利用した犯罪は、その他の犯罪も同時に構成する可能性があるということにも注意すべきである。孫報道官によれば、上述のネット犯罪は、さらにビジネスや商品の信用に対する名誉棄損罪に抵触する可能性もある。『解釈』では、この種の行為を法律の処罰ではより重いほうにするという規定によって罪状を定めている。