プラットフォーム開放でインターネット起業家に活気

7月に北京で開催された『騰訊(テンセント)パートナー会議』。凡趣科技の商品監督である張威氏は北京国家会議センターでフラッシュに照らされ、舞台下の多くのアプリ開発者の羨望の眼差しを浴びた。彼が指揮した『猜歌王』が、その他21のアプリと合わせて、騰訊の2013年度“騰飛”賞を受賞したのだ。この賞は騰訊が『開放平台(Alading platform)』のアプリ開発者を奨励するために設けた年間アワード(賞)である。中国のインターネット企業のオープンプラットフォームにおける競争の激化は、中国のインターネット発展の新たな原動力となり、張威氏のような多くの起業家に夢を与えた。

 

 

競争の“硝煙”

2011年6月に正式に開設を発表してから今年の4月までの22カ月で、騰訊の『開放平台』が開発者に支払った収益は累計で30億元(約490億円)に達し、なお緩やかな増加を続けている。

近年、騰訊、百度、アリババなど大手インターネット企業だけでなく、人人網、新浪微博、盛大などの中堅、あるいは大衆点評網、盛大文学などの専門企業、さらにはチャイナテレコム、チャイナユニコム、チャイナ・モバイルなどの通信会社なども、次々にプラットフォームを開放し、競争は日増しに激化している。

百度のオープンプラットフォームには、すでに25万のディベロッパーが参入している。2012年の淘宝のオープンプラットフォームのサードサーバーディベロッパーは49万にのぼり、ツールアプリは8000余りになる。さらに、今年4月までの騰訊のオープンプラットフォームのディベロッパーは85万、アプリの総数は40万を超えている。

専門家は、オープンプラットフォームは健全で持続性のあるインターネット環境の形成を促し、若手企業家の育成にも寄与すると期待を寄せている。

 

起業家は巨人の“肩”に

「起業家の時代が来た」。2年前、創新工場(イノベーション・ワークス)の取締会長・CEOの李開復氏は、インターネットが開放され新たに興隆し始めた当時、こう断言した。そして今、彼の言葉は現実となった。

業界関係者は分析する。「オープンプラットフォームがデータインターフェイスに開放され、技術と資源を提供したことで、ディベロッパーはより簡単に自身の開発したアプリをプラットフォームにアクセスできるようになった。また、プラットフォームのユーザーリソース、有料チャンネルを所有できるので、ユーザーアクセスや営業の負担を大きく軽減でき、収益を得るために創造性を発揮するようになりました」。

「小さな企業は巨人の肩に乗るべきだ」というのが、多くの起業家の共通の認識である。統計によると、2013年4月までに騰訊のオープンプラットフォームに登録しているディベロッパーは85万にのぼり、月の成長率はおよそ11%で、個人ディベロッパーの70%、中小法人企業の96%以上が登録している。

 

プラットフォーム商品の相互通信時代

艾媒咨詢(iiメディアリサーチ)の統計によると、2012年11月末まで、中国の携帯アプリ開発者の8割近くが、投資だけで、利益を出していないか損失を出している状態であった。

この状況下で、中小法人企業を支援する政策が制定され、ゲームアプリ以外のビジネスモデルを模索するなかで、オープンプラットフォームが新たな注目の舞台となったのである。

騰訊は今年、トータルで20億元(約327億円)を中小企業開発者育成に投じたという。さらに、ゲームアプリ以外でも収益を上げられるように、アプリに広告やショッピングのモデルを取り込むという。

騰訊の劉熾平総裁は語る。「今後数年間で最大のチャンスはモバイルインターネットにあります。ユーザーがモバイルに移行したことで、端末器が分散化し、ウェアラブルコンピュータ(身につけられるPC)まで登場し、ディベロッパーを続々と呼び込んでいます。PCの10倍のチャンスを生むでしょう」。

調査会社のアナリシス・インターナショナルのアナリストは、「『相互通信』は次第にネットワーキングプラットフォーム商品の競争・発展の重要な趨勢となり、プラットフォーム商品の相互通信時代になりました。次なる開放合戦では、さらに激しいプラットフォーム間の競争を呼ぶでしょう」と予測する。

これは中国のインターネット業界の、さらなる発展のチャンス到来を意味している。