中国式共同購入――需要は大きいが運営は難しい

ネットで流れている小話――1人のユダヤ人がガソリンスタンドを開店して金儲けをした。2人目のユダヤ人はガソリンスタンドのそばにレストランを開店し、3人目のユダヤ人はそのそばにスーパーを開店し、みんな金儲けに成功した。1人の中国人がガソリンスタンドを開店して金儲けをした。2人目の中国人もそのそばにガソリンスタンドを開店し、3人目の中国人もそのそばにガソリンスタンドを開店し、みんな商売に失敗した――この小話の情景は中国の共同購入サイトに似ている。

 

流行すると真似をする

59元(約903円)で298元(約4563円)相当のステーキコースが食べられたり、29元(約444円)でもともと80元(約1225円)の映画チケットが買えたり、なんと無料でiPadがもらえたり、と共同購入サイトは安値で商品を提供している。

電子商取引の重要な形としての共同購入サイトは2008年のアメリカのグルーポン社から始まった。当初のビジネスモデルはネット上に毎日共同購入サービスを提示し、ディスカウントで消費者を引き付け、ユーザーは購入後オンラインで決済し、サイトと企業は一定の比率で収益を分配する。

2010年初め、グルーポン社の業態が中国に入ってきた。「毎日1つの共同購入」という形式がネットユーザーに受け入れられ、いくつかのサイトが急速に成長した。同年9月、拉手網が引き続いて「1日複数の共同購入」のモデルを開発し、1日に多くの共同購入品目をユーザーに提供したのである。ユーザーも開始当初は半信半疑だったが、すぐにこれに飛び付いた。一時期、中国の共同購入業はサイトの数はもちろん、1日当たりの商品数も倍々ゲームで増加した。

1年足らずの間に、5000社を超える共同購入サイトが雨後のタケノコのように出現した。特に北京、上海、広州などの大都市の共同購入争奪戦は激烈となった。消費者は共同購入による低価格で盛り上がり、「共同購入でなければ買わない」という風潮となった。

 

激烈な競争による淘汰

「共同購入」の概念がますます誇大宣伝されるにしたがい、「中国式共同購入」はゆっくり変化していった。共同購入の競争は激しく、「低価格また低価格」という悪循環に陥った。狂乱の背景は、中国の共同購入市場を急速に発展させたと同時にこの業界を慢性的な不景気に陥らせた。多くのサイトが一夜のうちに消えたり、倒産、破産に直面したり、資金チェーン断絶のリスクに直面した。

観測データによると、2012年末までに誕生した全国共同購入サイトは6177だったが、閉鎖されたものは3482と閉鎖率56%であった。今年2月末までに、運営を維持(サイトは開けても7日以上更新されていないものは除く)しているのはわずか943であった。

『北京商報』によると、利益のないものに金を注ぎ込んだピーク期の半年間で、拉手網の損失は4億元(約61億4100万円)近くに上ったという。それはまた平均して毎秒2500元(約3万8346円)を注ぎ込まなければならなかったということだ。人人網の財務報告によると、その傘下の共同購入サイトの糯米網は2012年の純損失が2730万ドル(約25億7000万円)に達した。

激烈な競争以外にも、共同購入サイトの信用問題も業界からメンバーが追い出された重要な要因である。315消費電子苦情網のデータでは、共同購入で騙されたというクレームが全体の42.56%を占めた。多くの消費者は企業の信用、商品の品質、サービスの優良性などについて理解していなかったため、購入後大きな失望を味わった。これらの共同購入のマイナス面は、共同購入サイト自身によって「精算」するしかない。

 

業界の整理統合

業界内では損失もあったものの、共同購入全体の上向きの勢いには影響しておらず、結局は消費者も企業も、このルートを通してオンラインでの取引を求めている。国内の共同購入のナビゲーションサイト団800のデータによると、2013年4月度の共同購入サイトでの購入者はのべ4509万8000人となり、前月比8.8%増、共同購入の品目数は依然として30万以上を維持しており、34万8000品目と前月比1.4%増であった。また同月の取引総額は23億9000万元(約3674億2466万円)と再び最高額を更新し、前月比1.9%となった。2011年の同月度は6億5000万元(約99億9232万円)であったことから、2年間でこの市場が4倍になったことを示している。

業界関係者は、共同購入業界は持久戦になっており、また戦局は混戦から果たし合いの様相に転じていると言う。生き残っているサイトは自身のサービス体系を強化し続けており、さらに専門化、細分化、地域化、個性化を加え、独自性を際立たせようとしている。

 

モデルチェンジ

人気の高い拉手網と窩窩団はモール形式にモデルチェンジしている。商品の共同購入主体から業者のプラットホームへと転換し、現地での生活サービスによって電子商取引でのブレークを図っている。また美団網、糯米網は目立つことで訪問人数を大幅増加させる計画を開始しており、昨年閉鎖した2、3級都市の下部組織を復活させる以外に、国内の4級都市にも触手を伸ばしている。

アナリストは、中国式共同購入は続けて新しい動向を示すと予測している。むやみに拡大する時期が終わり、細分化した運営が主流になること、共同購入市場が2年前の資本指向型からサービス指向型へと転換することである。ユーザーの体験を重視し、共同購入サービスの品質で首位となる企業が現れ業界トップに立つと思われる。