〈インタビュー〉
先進技術で世界をさらに文化的に
王 小川 捜狗CEO

ピンクのシャツに黒のジャケットで現れた捜狗(sogou)CEOの王小川氏は、気が付けば流行について語っていた。色白でやんちゃな笑顔は若さと自信を表している。4月初めの午後、清華東南門の捜狗ネットビルに、1978年生まれのネット業界最年少企業家であるCEOを訪ねた。

長年の「希望」と「観察」

王小川は21歳で中国最大のキャンパスSNS(ソーシャルネットワークサービス)であるChinaRenの創設に参加し、27歳で捜狐の最年少の副総裁に、32歳で捜狗の戦略計画と運営管理を全面的に任された。「一般大衆には『少年得志』(若者が志を遂げた)と映っていると思いますが」と尋ねると、「若くして一定の成果を上げ、認められたということでしょう。でも、それまでの過程で失敗もし、苦労もたくさんしました」とさらりと答えた。

「学生時代から起業して成功するまで、高い目標にチャレンジされ続けていますが、身体的にも精神的にも大変だったのではないでしょうか」との質問に、王小川は「『焦慮』と比べれば、今までの過程は私にとってはさらなる『希望』と『観察』であったと言えます。『希望』は未来に対する憧れであり、目先の損得勘定ではありません。『観察』は自身が目標を実現していく過程で慎重なコントロールの下、優位性を発揮し、不足のないようにし、自己を向上させてくれます」。

「ロケットエンジン」が

捜狗を「追い越し車線」へ

王小川は話すのも、頭の回転も速い。捜狗は現在すでに中国ではユーザー数第3位のネット企業であり、捜狗サーチも国内第3の検索エンジンとなっている。しかし、捜狗の経営を王小川は「紆余曲折」だったと表現した。経営では、2つの深刻な事態に遭遇し、彼は「商品は土地に合わせる」、「草の根から学ぶ」ことを深く悟ったのである。

1つ目はhao123から受けたショックである。2003年、まだ清華大学計算機学部高性能研究所の大学院生だった王小川は捜狐のために検索エンジンを開発した。11カ月後、捜狐は捜狗を公開した。当時、王小川は捜狐のトップページのフローの3分の1が見知らぬサイトhao123から来ていることを発見した。「hao123のウェブマスターは中卒の学歴しかなかったのに、hao123の月間収入は300万元(約4741万円)もあり、捜狐は50万元(約790万円)しかなかったのです」。

2つ目のショックは、「番茄花園」であった。王小川によると、2006年に捜狗入力ツールを公開し、捜狐もプロモーションを行ったが、結果は悲惨で1年目の市場シェア率はわずか2%であった。「当時、私は『番茄花園』という刺激的なソフトを見つけました。これは自分でいろいろインストールする必要がありません。そこで『番茄花園』と提携し、製品をユーザーに直接提供しました」。その結果、2年目の捜狗入力ツールの市場シェア率は40%に達した。

2008年、王小川は入力ツールでウェブブラウザをインストールし、さらにウェブブラウザを通して検索のフローを牽引する、これこそが捜狗の「ロケットエンジン」である。捜狗は、技術と新機軸によって力を発揮し続け、「ロケットエンジン」式の発展モデルで追い越し車線へと進もうとしている。捜狐グループが発表した財務報告によると、昨年の捜狗の営業収入は1億3120万ドル(約128億8000万円)に達し、前年比108%と急増した。

スマホユーザーを囲い込む

「検索の未来形はサイトにリンクするものではなく、電話にリンクするもので、インターネットのもともとの商品形態と携帯電話を連結するもの」という王小川の考えにより、捜狗番号通、捜狗語音助手(音声)、捜狗路況(交通)ナビなどの戦略的アプリを次々に公開し、数千万のユーザーを引き寄せている。

王小川は、特に電話番号を選別する「捜狗番号通」を挙げて説明を加えた。このアプリは「クラウドソーシング」(インターネット上で業務委託)の考え方と検索技術を採用し、ユーザーのスマホに見知らぬ番号の電話がかかってきたら受ける前にその電話番号の帰属、目的と「ブラックリスト搭載」歴を判断する。最大限度に面倒を避けられるアプリで、とても人気があるという。

モバイルインターネットについては、「もっと技術革新やユーザーの気持ちを重視します。サービスと実感が良い商品だけがユーザーを引き付けます」と王小川は言う。今、ビッグデータ時代における「クラウドソーシング」モデルはますます注目され、イノベーションの土壌と遊び方は変わりつつあり、後発企業と大物のゲームのために重要性が増していると見ている。

現在、捜狗は20人余の研究開発センターから1300人の企業へと変身した。「もし会社が失敗したら、みんな結婚したり家を買ったりできなくなりますよ」と王小川は笑う。「将来はさらに捜狗の商業化を推進します。PC端末は流動性を向上させ、入力ツールを試験的に商業化します。スマホのユーザー囲い込みを加速します」。

信仰があってこそ未来がある

また、王小川は「信仰があってこそ未来がある」と言う。彼の信仰とは? 「私の信仰とはその土地の気風に合わせないことかもしれない」と彼は笑い、「信仰とは私のモチベーションを表すもので、私は科学や先進技術が世界をさらに文化的に成長させてくれることを望んでいます」。

インタビューが終わりに近づき、「現在の中国ネット業界の大物、例えば李彦宏、馬化騰には、技術の才能、チャンスをつかむこと、最後の頑張りが効くこと、優秀な青年であるなど共通性があります。あなたはさらに彼らより飛び抜けて若いですね。ご自分の未来に何を期待していますか」と尋ねた。王小川はこの質問を聞くと、持ち前の可愛い笑顔になった。「もっといい未来になるようにと願っています」。(敬称略)