国内の人材逼迫 海外では危機感なし
情報の不均衡はまだ深刻

政府のマッチング政策

ここ数年、国内では海外のハイレベル人材誘致への取り組みがますます強まっており、国際人材交流会を開催したり、あるいは政府が音頭を取って企業やベンチャーキャピタル会社等を組織し、海外で人材誘致をPRするなど、さまざまな方法によって誘致を試みている。

しかし、国内の発展過程における人材と技術の需要と海外のハイレベル人材との間には、情報を直接共有できるマッチングのプラットフォームがなお不足しており、需給情報はアンバランスである。

交流会では、海外ハイレベル人材が招聘に応えてプロジェクトや資金を持って帰国し直接商談しても、交流する時間が足りなかったり、参加人数と企業数に限界があるなど、ごく一部しか提携の同意に達することができないのが実情だ。

ネット情報は有効か?

海外のハイレベル人材の中には、海外で生活する期間が長かったり、すでに外国籍になったりしている専門家や教授が多く、中には国内の情勢や政策をよく理解していない人もいる。

一部のハイレベル人材は海外の社会団体組織やサイトを通じて国内の政策や発展を知ってはいるが、国内では具体的にどのような技術やプロジェクトが必要かという点についてはよく分かっていない。

「人と人が対面して話すことで、政府、地方と人材がお互いに何を必要としているかを知ることができるはずだ。物理的、時間的、空間的な制限によって、交流も限られている。共有できるプラットフォームが1つあれば、たまたま過去にやったことを長期的に継続できることに変えることもできる。需要と供給の情報を直接マッチングさせることが必要だ」とデジタル中国研究院の蒋永生博士は希望している。

 新しい情報共有プラットフォームの構築を

専門家は、情報共有プラットフォームを構築し、そこに国内政府の人材誘致政策や業界政策、地方の産業の基礎的発展状況、企業のモデルチェンジに必要な技術などの情報をリアルタイムで発表し、同時に海外ハイレベル人材のプロジェクトの技術の紹介と帰国して創業する意向の有無についても公表し、双方で需給を理解し合い、ネット上でマッチングを実現、商談にまで進めることを提案している。

しかし、このモデルにも多くの難点がある。「目下、国内には理論刷新体系とシステムのイノベーション概念が不足している」と蒋永生博士は言う。情報の真実性を保証することも難題である。このほか、プラットフォームの管理とセキュリティーの維持も大きな課題である。このような情報共有プラットフォームを構築するには、政府と人材との相互協力が必要だが、このプラットフォームは将来的に双方に利益となる。「例えば、海外のイノベーションでは過剰な技術が、国内ではモデルチェンジする中小企業をサポートしてくれるはずだ」と蒋永生博士は述べている。