「9年前、われわれはオンラインショップの時代が来ることを予測したが、まさに今、偉大なネットショップの時代へと突入した」。先日開催された「第9回ネットショップ大会」の閉会セレモニーの席上、アリババグループの馬雲CEOはこう語った。
艾瑞コンサルティンググループによる最新データでは、2012年第二四半期、中国のネットショッピング市場の取引規模は2683億7000万元(約3兆3377億1770万円)と、前期比17.6%増、昨年同期比で51.6%の増加となった。
中国電子商取引研究センターの関連データでは、今年上半期、中国の中小企業のB2B(企業間の電子商取引)対外貿易電子商取引規模は1兆1000億元(約13兆6800億円)であり、2012年末のB2B対外貿易電子商取引規模は2兆2500億元(約28兆円)に達すると見込まれている。
ネットがグローバル化した今日、多くのネット業者が新市場を開拓するため、海外へと目線を向けつつある。
中国のエッセンスを海外に販売
広西チワン族自治区に生まれ育った楊春霞さんはネットショップを立ち上げて8年になる。彼女は地元の少数民族独特の資源を利用し、自分のファッションデザイン室を開設し、少数民族の服飾と雑貨を専門に開発している。「今の仕事の95%はネット上での操作です」と自分のネットショップを持ち、彼女は元気一杯だ。
2009年、楊春霞は海外市場の開拓を始め、現在、海外との貿易額は取引高全体の3分の1を占めているが、利益は国内市場よりもはるかに多い。昨年からは輸出に全力投球し、服の価格を2倍に上げた。
「2003年のタオバオ(淘宝)の取引高は1億に満たなかったが、今年は1兆元を超えた」。馬雲CEOは、現在のネットショップはすでに、30年前のコピー、盗作、海賊版ばかりという状況とは様相が異なり、自身のブランドを築くこともできると見ている。
中国電子商取引研究センターの張周平高級アナリストは、「国際的な経済情勢が不安定であるという要素があるなか、電子商取引のルートは日々対外貿易の中小企業から重視されつつある。今後数年間、中小企業のB2B対外貿易電子商取引総額は増加を続けるだろう」としている。
世界中の同業者と経験を分かち合う
レポートによると、ネットショップは臨界点を越え、電子商取引市場は今まさに1兆から10兆の単位へ飛躍しようとしている。
深?市創新佳電子タグ公司の呉君董事長は「2012世界のネット業者10傑」に選ばれた。彼は自身の会社を今年500人規模の、売上高30億元(約370億円)を超える会社にしたいと思っている。
「人材+Eビジネス」が呉氏の成功の秘訣である。現在、毎日数十名の見学者が彼の会社を視察に来ているが、彼はビジネスの機密事項と見なされる内部規約制度までも公開してしまう。
「私個人の夢は優秀な講師になって、世界中の同業者と自分の経験を分かち合い、それによってさらに多くの素晴らしい企業を作り、『天下のネット業者とともに天下を取る』ことです。これが私の生き甲斐です」と彼は言う。
米国カリフォルニア大学アーバイン校の林桂傑教授は、巨大市場は中国の電子商取引の最大の強みであり、この先5年から10年で、このチャンスをうまくつかみ、自身の道を探すことができれば、中国の電子商取引は米国を追い越し、世界の電子商取引をけん引するようになる可能性が強いとしている。
外国のネット業者も参入
インターネットは中国のネット業者に海外進出の機会を提供しただけでなく、海外のネット業者に参入の可能性も創出した。
米国のeBay社は今年、アリババグループの天猫ショップに出店した。将来は米国商品を輸入後に中国語に翻訳し、天猫の「美立客公式フラッグショップ」で販売する。現在、「美立客」ではバックパック、高級ベッド用品など15の米国ブランド、服飾、スーツケースなど78商品を扱っている。
eBay社のジョン・ドナヒューCEOは、中国の電子商取引は毎年取引額が1兆元を超え、業界全体の競争は熾烈だとはいえ、まだチャンスが多く、「特に携帯取引の分野では可能性がある。一人の中国人が何台もスマートフォンを持つかもしれず、発展のスピードは米国よりもはるかに速い」としている。これは一人の米国人ビジネスマンが予測するネットショップの未来である。
楊春霞が手織り木綿でデザインした雑貨
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