魅惑的なスマートフォン時代がスタート

 ケータイには何ができるのか――電話をかける、ショートメッセージを送る、写真を撮る、音楽を聞く。

 もし、これだけだったら、あなたはもう「アウト」です。

 今日、ケータイはすでに強大なスマートデバイスになり、インターネットの閲覧、メールの送受信、ナビゲーション、買い物の値段比較、読書、写真のデコレーション、ゲーム、ウェイボー、レシピ検索などなど。

 もちろん、そのすべてを実現するのがスマートフォンだ。

 

タッチパネル技術が

スマートフォン時代を産んだ 

いわゆるスマートフォンとは、主にパソコン同様に独立したOSを備え、ユーザー自身がサードパーティ(有名メーカー商品と互換性のある関連商品を販売するメーカーの総称)のソフトをインストールでき、移動体通信網を通じて、モバイルネットワークへのアクセスを実現したケータイだ。

 最新のデータによると、2011年の全世界でのスマートフォン出荷数は4憶6200万台に達し、2010年に比べ約6割の伸び。2010~2015年の世界のスマートフォン累計出荷数は40億台に達すると予想される。

 2011年中国のスマートフォン市場は急速な成長を遂げ、年間販売数は7000万台、市場占有率は27%に達した。2012年は45%にまで達すると予想され、今後2年間で、スマートフォンが販売の主流になるだろう。スマートフォン普及の嵐がまもなく襲来する。

 タッチパネル技術、特にマルチタッチコントロールの技術が、間違いなくこの嵐を巻き起こす重要な推進力の1つとなる。テンセント“微信(スマフォ向け無料音声チャットアプリ)”の「ケータイは人体器官の延長になる」ということも、スティーブ・ジョブスのiPhoneとiPadの「説明書は必要ない」ということも、この技術によるものだ。

まさに、指の直接操作によって可能になる。指での操作は人間の最も基本的で、最も自然な動作の1つで、人と機械の対話をさらに簡便にし、アプリもさらに豊富になる。

 

無限のアプリの開発が

想像の空間を引き出す

 次々と出現するアプリが、スマートフォンの魅力を増している。

アップル・ストアのアプリは早くも50万を超え、アンドロイドマーケットでは40万以上のアプリが、マイクロソフトのウィンドウズフォンのアプリケーション数も5万種を超えた。

それらは、ブラウザ、入力法などのシステムツールからニュース情報の取得まで、ソーシャルメディアからゲームまで、生活から仕事まで、各分野をほぼ包括している。

 従来の固定インターネット用ソフトウェアのモバイル化、たとえば、ネットイースト(網易NetEase)のニュースクライアントソフトや百度(バイドゥ)マップなどのように、ユーザーがさらに多くの「移動する」便利さを享受することを可能にしたものもある。

また、モバイルインターネットの新しいアプリを基にした、微信、米聊の「マイトークメッセンジャー」、 街旁網(jiepang.com)の「チェックイン」など、ユーザーに新しいサプライズを提供するものさえ出てきている。

さらに、阿里雲携帯(アリババグループのアリババクラウドコンピューティングが開発したAliyun OS搭載のスマートフォン)のように、クラウドストレージを実現し、ケータイをなくしてもデータはなくならないことを実現し、ユーザーに現実的な便利さをもたらした新技術の普及もある。

 一部の事業団体は、アプリ関連製品が急激に流行したことで、業界の「奇跡」をつくりだした。たとえば世界的に流行った「アングリーバード(Angry Birds:フィンランドのロビオ・モバイルが開発したモバイルゲーム)」や「トーキング・トム・キャット」がそれだ

 当然、少し「変わり種」に見えるアプリも、同様に多くのユーザーを虜にした。たとえば、トイレを探したり、ひまをつぶすための専門アプリ「???(ohbaba)」、女性をターゲットにした「美麗説(meilishuo.com)」。

 もっと重要なのは、ユーザーが使用過程で、自分の必要に応じて異なるアプリにアクセスし、ケータイ機能を拡張することができ、「自分だけ」のケータイにカスタマイズできることだ。

 これらすべてが、ケータイが日々身近で欠かせないものとなっている原因で、知らず知らずのうちに人々のケータイの使い方が変わり、ケータイに対するポジショニングと期待も変わり、人とケータイの「付き合い方」も変わったのである。

 

ルール改変で熾烈な覇権争い

 「ケータイの鍵はOSにあり」。この言葉はまさにアップルが台頭し、ノキアが没落するのは避けられないと言っているように聞こえる。確かに、「スマートフォン化」は人々のライフスタイルとコミュニケーションに重大な変化をもたらしたばかりでなく、ケータイの産業リンケージ(連鎖)にも根本的な変革をもたらした。

現在、「OS+ハードデバイス+サービスプラットフォーム」の三位一体のスマートフォン戦争のルールは、すでに初歩段階が確立し、人々には、業界企業はチップの集まり、スクリーンの集まり、さらにOSの集まりとして見えている。

 スマートフォンの国際市場では、アップル、グーグル、マイクロソフトが演じる「三国志」が精彩を放っていると言える。しかし、中国企業も、当然、のんびりと構えているわけではなく、相手を破る戦術を全力で探り、先を争ってスマートフォン競争の頂点を制しようとしているのだ。

 2011年、中国のケータイ市場は引きも切らぬにぎわいだった。華為技術(Huawei)、中興通信(ZTE)、聯想(Lenovo)など老舗携帯電話会社が大幅に戦略を練り、スマートフォンに向けて急速に舵を切っている。同時に、「中国インターネット軍団」はOS分野から切り込み、組織的にスマホに力を注ぐ。

 阿里雲は、2011年7月、正式にクラウドコンピューティングの阿里雲OSを世に送り出し、このOSを初搭載した天語(携帯電話メーカー)のスマートフォン「W700」も同時に発売された。現在、このOSは1115版まで更新されている。

小米科技は、同年8月に正式にMIUI-ROMを搭載したMIUI Phone「MI ONE」を発表し、人気を博している。12月には、百度・易(バイドゥ・イー)プラットフォームと緊密に連携をとったデルのケータイが正式に世に出た。

 3大通信キャリアも弱みを見せず、次々と各携帯端末の会社と連合して、オーダーメイド版や相応する補助サービスを打ち出し、共に大きな市場を作り出し、有利な立場を占拠しようと試みている。

 当然、長旅に足を踏み出したばかりの中国軍団の前途は、一面の花畑ばかりではない。「模倣改造が多い」「新機軸を打ち出したものは少ない」「安全性には向上の余地がある」「終了できない」「アプリが大量に電池を消耗する」「基準が不統一」など、どれも目前の障害物だ。

 我々はスマートフォンの大市場を前にして、新IT帝国が誕生するのか、古いIT王朝が陥落するのか、予測できないでいる。

しかし、幕が上がったばかりのこの“大河ドラマ”は、必ずや歴史に刻まれるだろう。消費者としての我々は、絶対にこのドラマの傍観者ではない。我々の選択が最終的な物語の結末を決するのだ。

 

スマートフォンのとっておきの武器

 タッチパネルは接触パネルとも言い、触れた先端を入力信号として受けとる感応式液晶装置で、画面上のキーにタッチすると、触覚フィードバックシステムが、予めプログラミングしたものに基づいて、装置に連結することを可能としたものだ。

従来のキータッチにとって代わり、液晶ディスプレイ画面により、生き生きとした動画的効果を作り出す。反応速度が速く、操作も簡単などの長所がある。この技術を利用すれば、ユーザーは、ただタッチパネル上の図や文字に軽く指で触れるだけで、機器とのコミュニケーションを実現できる。

 マルチタッチは、多重コントロールパネル、マルチセンサー、多重センサーとも言い、人と機器とのコミュニケーションとハードウェアの設備を共に実現する技術を採用し、従来の入力システムがなくても、コンピューターの人と機械の交流を行うことができる。

この技術がタッチパネル、またはタッチスクリーンを構成して、スクリーン上のマルチ操作を同時に受けとり、人と機器のコミュニケーションを実現するのである。